子宮頸部細胞診のPapanicoloau染色標本の弱拡大写真(別冊No. 11A)と強拡大写真(別冊No. 11B)を別に示す。適切な判定はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
下に示す画像は、著しい核の多形性、クロマチンの粗造化、目立つ核小体、不規則な核膜、好酸性の細胞質、細胞質内のケラチン化傾向(オタマジャクシ細胞や紡錘形細胞など)、および単独または集塊をなして出現する悪性細胞を示している。これらの細胞学的特徴は、子宮頸部扁平上皮癌(SCC)に典型的なものである。NILM、LSIL、HSILはそれぞれ異型度が異なるが、浸潤癌特有の細胞所見は含まない。腺癌は腺性細胞由来であり、形態的特徴が異なる。
選択肢ごとの解説
- 1. NILMは悪性所見を認めない状態を示す。提示された画像には明らかに悪性を示唆する細胞が認められるため、NILMではない。正しくは:提示された画像は悪性細胞の形態的特徴を示しているため、NILMではない。選びやすい理由:正常細胞の認識が不十分な場合、この選択肢を選んでしまう可能性がある。混同注意:正常な細胞像や反応性・修復性変化と、腫瘍細胞とを混同している。
- 2. LSILはヒトパピローマウイルス(HPV)感染による軽度な異形成(細胞質の拡大、軽度な核異型、核周囲ハローなど)を指す。提示された画像では、より重度な核異型と細胞密度の増加、不規則な核膜などの特徴があり、LSILの範囲を超える。正しくは:提示された画像はLSILよりも重度の異型細胞を示しているため、LSILではない。選びやすい理由:異型細胞の存在は認識できても、その程度を軽度と判断してしまう可能性がある。特に核の大小不同や細胞質の変化に注目しすぎると、全体的な悪性度を見誤ることがある。混同注意:LSILで見られる軽度な細胞異型と、扁平上皮癌で見られる顕著な異型とを混同している。
- 3. HSILは重度な異形成および上皮内癌(CIN2, CIN3)に相当するが、浸潤性の所見は含まない。提示された画像は、腫瘍細胞が密集してシート状あるいは個々に散在し、明らかな核の多形性、クロマチンの粗造化、核小体の目立ち、不規則な核膜、細胞質の著しい減少といった、浸潤性扁平上皮癌に特徴的な所見を呈している。正しくは:提示された画像はHSILの範囲を超える、浸潤性扁平上皮癌に特徴的な細胞像を示している。選びやすい理由:高度な異型細胞であることは認識できても、浸潤癌との区別が難しい場合、HSILを選択してしまう可能性がある。特に細胞の集塊が見られると、上皮内病変と誤解しやすい。混同注意:HSILとSCCの境界診断、特に核の異型度や細胞構築、細胞質量の特徴を混同している。
- 4. 正解。提示された画像では、大型で不整形な核、粗大で不均一なクロマチン、目立つ核小体、核縁の不整、細胞質の好酸性変化とケラチン化の兆候、そして単独または集塊をなして出現する腫瘍細胞が確認できる。これらの所見は、浸潤性扁平上皮癌(SCC)に特徴的な細胞像である。
- 5. 腺癌は円柱上皮由来の悪性腫瘍であり、腺腔形成、腺管構造、細胞質の豊富な粘液産生、核の極性消失、羽毛状集塊(feathering)などが特徴である。提示された画像に見られる細胞は、扁平上皮系の癌細胞に特徴的な形態(多角形、好酸性の細胞質、ケラチン化)を示しており、腺癌の所見とは異なる。正しくは:提示された画像に見られる細胞は扁平上皮系の癌細胞の形態を示しており、腺癌の所見とは異なる。選びやすい理由:一般的な悪性細胞であることは認識できても、扁平上皮癌と腺癌の細胞学的鑑別点が不明確な場合、この選択肢を選んでしまう可能性がある。混同注意:扁平上皮癌細胞と腺癌細胞の形態学的特徴を混同している。
国試ポイント
本問題は、子宮頸部細胞診における代表的な病変、特に扁平上皮癌の細胞学的特徴を正確に識別できるかを問うものである。各病変(NILM, LSIL, HSIL, SCC, Adenocarcinoma)の鑑別診断に重要な細胞形態学的知識が求められる。特に、HSILとSCCの境界、および扁平上皮癌と腺癌の鑑別は重要。
混同注意
LSIL, HSIL, SCCの鑑別、特に異型度の判定。扁平上皮癌と腺癌の細胞学的特徴の区別。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、まず悪性細胞の有無を確認し、悪性であれば扁平上皮系か腺系かを判断する。次に、扁平上皮系であればLSIL、HSIL、SCCのいずれに該当するかを、核の大きさ、形、クロマチンの性状、核小体の有無、細胞質の特徴(ケラチン化の有無、細胞量)から総合的に判断する。
関連知識
Bethesdaシステム分類、子宮頸部細胞診のスクリーニングと診断、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染と異形成の関係、各病変の組織学的裏付け(CIN1, CIN2, CIN3, SCC, Adenocarcinoma)。