MRI検査で脳脊髄液が高信号となる撮像法はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
T2強調像は、T2緩和時間の差を利用して画像を構築します。水分を多く含む組織(脳脊髄液、浮腫、炎症など)はT2緩和時間が長いため、T2強調像では高信号として描出されます。これにより、病的な水分貯留や脳脊髄液の動態を評価するのに適しています。
選択肢ごとの解説
- 1. FLAIR法は、T2強調像を基本としながら、脳脊髄液からの信号を特殊な方法で抑制する(減衰させる)撮像法です。そのため、脳脊髄液は低信号として描出されます。正しくは:この方法の目的は、脳脊髄液の信号を抑制することで、脳実質とCSFの境界に存在する病変(例:脱髄性疾患のプラーク、くも膜下出血)をT2強調像よりも明瞭に描出することです。選びやすい理由:T2強調像の派生であるため、T2強調像の特性と混同しやすいかもしれませんが、FLAIR法の最大の特徴はCSF抑制にあります。混同注意:T2強調像と、CSFを抑制する目的の違いを混同しやすいです。
- 2. T1強調像では、水(脳脊髄液など)は比較的T1緩和時間が長いため、低信号として描出されます。水分量が多い組織は黒っぽく見えます。正しくは:T1強調像では、脳脊髄液は低信号、脂肪組織は高信号、脳実質は中間信号として描出され、病変の解剖学的情報や造影効果の評価に用いられます。選びやすい理由:MRIの基本的な撮像法の一つですが、信号強度の原理を正確に理解していないと、他の撮像法と混同して選んでしまう可能性があります。混同注意:T2強調像との信号コントラスト(水が高信号か低信号か)を混同しやすいです。
- 3. 正解。T2強調像では、水(脳脊髄液、浮腫、炎症による水分増加部位など)はT2緩和時間が長いため、高信号(白く明るい信号)として描出されます。これは、水分子が自由に動き回り、スピン間の相互作用が小さいため、位相の乱れがゆっくりと進むことに起因します。
- 4. 拡散強調像は、水の拡散運動を評価するための撮像法です。通常の脳脊髄液は自由に拡散するため、拡散強調像では低信号として描出される傾向があります。急性期脳梗塞など、水の拡散が制限される病変部位が高信号として描出されますが、脳脊髄液そのものを高信号で描出する目的の撮像法ではありません。正しくは:拡散が制限された病変(例:急性期脳梗塞)を早期に検出するために用いられます。選びやすい理由:MRIの特殊な撮像法として重要度が高いため、その特徴を曖昧に理解していると選択肢として選んでしまうかもしれません。混同注意:病変(拡散制限のある領域)が高信号になることと、正常な脳脊髄液の信号特性を混同しやすいです。
- 5. プロトン密度強調像は、組織中の水素原子核(プロトン)の密度を反映する撮像法です。脳脊髄液はプロトン密度が高い組織の一つですが、この撮像法では水と脂肪のコントラストがT1強調像やT2強調像ほど極端ではなく、脳脊髄液は中程度の信号として描出されることが多いです。T2強調像のような突出した高信号にはなりません。正しくは:プロトン密度強調像は、脳脊髄液を高信号として強調するよりも、軟骨や靭帯、脳の灰白質・白質間のコントラスト評価などに用いられることが多いです。選びやすい理由:水分量が多い組織はプロトン密度が高いという事実から、高信号になると誤解して選ぶ可能性があります。混同注意:プロトン密度が高いことと、T2緩和時間が長いことによる高信号の原理を混同しやすいです。
国試ポイント
MRIの基本的な撮像法(T1強調像、T2強調像、FLAIRなど)における組織の信号特性(特に水、脂肪、脳実質)は、臨床検査技師国家試験で頻繁に問われる重要事項です。各撮像法がどのような目的で用いられ、どのような病変の描出に適しているかを理解することが求められます。
混同注意
T1強調像とT2強調像における水と脂肪の信号特性の逆転は特に混同しやすい点です。また、FLAIR法がT2強調像の一種でありながら、CSF信号を抑制する特殊な機能を持つことも注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、MRIの各撮像法において「水(CSF、浮腫)」「脂肪」「脳実質(灰白質・白質)」「骨皮質」「病変(出血、腫瘍、梗塞)」がそれぞれどのような信号強度を示すかを正確に判断できるかを確認することが重要です。
関連知識
T1緩和時間とT2緩和時間の生理学的意味、それぞれの撮像法が強調する組織学的特徴、FLAIR法が多発性硬化症の病変検出に優れている理由、拡散強調像が急性期脳梗塞の診断に不可欠である理由なども関連知識として重要です。