抗HLA抗体が原因となるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番
解説
血小板輸血不応の主な原因の一つは、レシピエントがHLA抗体を保有していることで、輸血された血小板がこの抗体によって速やかに破壊されるためです。また、臓器移植後の急性拒絶反応は、レシピエントの免疫系がドナー由来のHLA抗原を異物と認識し、特に既存の抗HLA抗体や新たに産生される抗HLA抗体が移植臓器を攻撃することで生じます。
選択肢ごとの解説
- 1. 輸血後GVHDは、輸血されたリンパ球がレシピエントの組織を攻撃することで起こります。これは輸血されたリンパ球がレシピエントのHLA型を異物と認識し、レシピエント側が免疫抑制状態にあるか、あるいはレシピエントとドナーのHLA型の一部が一致している場合に生じやすいですが、直接抗HLA抗体が原因となるわけではありません。正しくは:この病態はドナー由来リンパ球によるレシピエント攻撃によって引き起こされます。選びやすい理由:免疫反応に関連する病態であるため、HLAが関与していると誤解しやすいです。混同注意:HLA適合がGVHDのリスクに影響を与えるため、抗HLA抗体と直接的な関連があると考えてしまうことがあります。
- 2. 正解。血小板輸血不応は、輸血しても患者の血小板数が増加しない状態を指します。その主な原因の一つとして、患者が過去の輸血や妊娠によってHLA抗体を産生しており、この抗体が輸血された血小板(ドナーのHLA抗原を持つ)を攻撃し、破壊してしまうことが挙げられます。混同注意:出血などの非免疫性原因による血小板輸血不応と混同することがあります。
- 3. 遅発性溶血性輸血副作用は、輸血後24時間以降に発症する溶血反応で、主に既往歴のある不規則抗体(ABO以外の赤血球型抗体、例: Rh, Kell, Kidd抗体など)が、輸血された赤血球を攻撃することで引き起こされます。抗HLA抗体は赤血球ではなく、主に白血球や血小板に発現するHLA抗原に対する抗体であるため、赤血球の溶血には直接関与しません。正しくは:この病態は、赤血球表面の抗原(例: Rh、Kidd)に対する不規則抗体によって引き起こされます。選びやすい理由:輸血による免疫学的副作用であるため、HLA抗体が関与する可能性を考えてしまいがちです。混同注意:即時型溶血性輸血副作用(ABO不適合など)や他の輸血副作用と混同し、原因抗体を誤認することがあります。
- 4. 正解。臓器移植後の急性拒絶反応は、レシピエントの免疫系が移植された臓器(ドナー由来)を異物と認識し攻撃することで起こります。特にドナーとレシピエントのHLA型が不適合な場合、レシピエントが事前に形成している抗HLA抗体(抗ドナー特異的抗体: DSA)や、移植後に新たに産生される抗HLA抗体が移植臓器の細胞表面に発現するHLA抗原を標的とし、拒絶反応を引き起こします。混同注意:慢性拒絶反応(長期的な組織損傷や線維化が主)や超急性拒絶反応(事前に形成されたABO抗体などによる血管閉塞)と混同することがあります。
- 5. 輸血関連循環過負荷(TACO)は、急速な輸血や大量輸血によって循環血液量が増加し、心臓に過度の負担がかかることで発症する非免疫性の輸血副作用です。肺水腫などを引き起こします。これは免疫反応とは無関係で、抗HLA抗体は関与しません。正しくは:この病態は、輸血による急速な血液量増加が原因で心負荷が増大することで引き起こされます。選びやすい理由:輸血の副作用の一つであるため、他の免疫性副作用と同様にHLA抗体が関与していると誤解しやすいです。混同注意:輸血関連急性肺障害(TRALI)のような免疫性肺障害と混同してしまうことがあります。
国試ポイント
HLA抗体の病態生理学的役割、特に輸血反応と臓器移植におけるその重要性を理解しているかどうかが問われています。各選択肢の病態の原因を正確に区別することが求められます。
混同注意
免疫性輸血副作用と非免疫性輸血副作用の区別、およびそれぞれの免疫性副作用に関与する抗体の種類(例:赤血球抗体、HLA抗体、HNA抗体など)を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、各病態の原因となる免疫学的因子(抗体や細胞性免疫)とその標的抗原(赤血球抗原、血小板抗原、白血球抗原、組織抗原など)を正確に特定できるかがポイントとなります。
関連知識
HLAタイピング、交差適合試験(クロスマッチ)、不規則抗体スクリーニング、血小板抗体検査、輸血関連急性肺障害(TRALI)の原因(抗HLA抗体、抗HNA抗体など)