慢性骨髄性白血病で高頻度にみられる染色体の構造異常はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
慢性骨髄性白血病(CML)のほとんどの患者では、9番染色体長腕と22番染色体長腕の間に相互転座(t(9;22))が認められます。この異常な染色体は「フィラデルフィア染色体(Ph染色体)」と呼ばれ、BCR遺伝子とABL遺伝子が融合したBCR-ABL融合遺伝子が形成されます。この融合遺伝子は異常なチロシンキナーゼ活性を持つタンパク質を産生し、細胞の増殖を促進することでCMLの発症に関与します。したがって、転座がCMLにおいて高頻度にみられる染色体構造異常です。
選択肢ごとの解説
- 1. 逆位は染色体の一部が反転する構造異常ですが、慢性骨髄性白血病(CML)に特異的または高頻度にみられる異常ではありません。正しくは:逆位は遺伝子機能に影響を与えることがありますが、CMLの主要な原因となる染色体異常ではありません。CMLの主要な異常は特定の転座です。選びやすい理由:染色体構造異常の一種として知られているため、一般的な知識が曖昧な場合に選びやすいかもしれません。混同注意:他の染色体異常、特に転座と混同しやすい可能性があります。
- 2. 欠失は染色体の一部が失われる構造異常であり、様々な疾患で見られますが、CMLの主要な原因となる異常ではありません。正しくは:欠失は多くの悪性腫瘍で見られますが、CMLにおいては特定の転座が圧倒的に高頻度で認められます。選びやすい理由:白血病を含む多くの癌で遺伝子欠失が病態に関与することがあるため、選択肢としてもっともらしく感じられるかもしれません。混同注意:欠失も重要な染色体異常の一つですが、CMLにおけるフィラデルフィア染色体とは異なるタイプの異常です。
- 3. 挿入は染色体の一部が別の位置に組み込まれる構造異常ですが、CMLに特異的または高頻度にみられる異常ではありません。正しくは:挿入は比較的稀な染色体異常であり、特定の疾患との関連が報告されていますが、CMLの主要な病態形成には関与しません。選びやすい理由:転座と似た概念として誤解されることがあり、染色体異常のタイプとして選んでしまう可能性があります。混同注意:転座と一部類似している点があるため、両者の違いが明確でない場合に混同しやすいです。
- 4. 重複は染色体の一部が二重に存在する構造異常であり、特定の疾患の原因となることがありますが、CMLの主要な原因となる異常ではありません。正しくは:重複は遺伝子量変化を引き起こすことがありますが、CMLの病態形成において最も重要な役割を果たすのは特定の転座です。選びやすい理由:遺伝子量の変化が疾患に関与するケースがあるため、選択肢としてもっともらしく感じるかもしれません。混同注意:欠失とは逆の現象であり、これら一般的な構造異常とCMLに特異的な転座を混同しやすいです。
- 5. 正解。慢性骨髄性白血病(CML)の約95%の症例で、9番染色体と22番染色体の間で相互転座(t(9;22))が生じます。この転座によって「フィラデルフィア染色体」と呼ばれる特徴的な異常染色体が形成され、BCR-ABL融合遺伝子が生じることで、CMLの発症と進行に極めて重要な役割を果たします。
国試ポイント
慢性骨髄性白血病(CML)と「フィラデルフィア染色体」、そしてそれが示す「転座」という染色体構造異常の関連性は、臨床検査技師国家試験において非常に頻繁に問われる重要事項です。特に、どの染色体間で転座が起こるのか(t(9;22))や、それによって形成される融合遺伝子(BCR-ABL)もセットで理解しておく必要があります。
混同注意
フィラデルフィア染色体はCMLに特徴的ですが、一部の急性リンパ性白血病(ALL)でも認められることがあります。ただし、CMLにおける検出頻度の方が圧倒的に高いため、通常CMLと結びつけて学習します。また、他の白血病やリンパ腫でも特徴的な染色体異常(例:急性前骨髄球性白血病におけるt(15;17))が存在するため、混同しないように整理して覚えることが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、他の代表的な血液疾患(急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、骨髄異形成症候群など)における特徴的な染色体異常とその種類(欠失、転座など)、さらにはそれによって形成される融合遺伝子の名称や、関連する分子標的薬について問われる可能性が高いです。
関連知識
フィラデルフィア染色体の検出はCMLの診断に不可欠であり、染色体分析、FISH法、RT-PCR法などの検査が用いられます。BCR-ABL融合遺伝子によって産生される異常なチロシンキナーゼを標的とするチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)は、CML治療の根幹をなしており、治療効果のモニタリングにもBCR-ABL融合遺伝子の測定が用いられます。