血球への移行率が高い薬物はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
タクロリムスは免疫抑制剤であり、その脂溶性の高さから赤血球への移行率が非常に高く、全血濃度がTDM(治療薬物モニタリング)の指標として用いられます。血液中の薬物濃度を測定する際、血漿(または血清)ではなく全血で測定することが特徴的な薬物の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. ジゴキシンは主に心臓組織に分布し、血漿タンパク結合率は比較的低い(約25%)ですが、赤血球への移行率は高くありません。正しくは:ジゴキシンは消化管からの吸収率が比較的高いものの、血球への移行率は低い。選びやすい理由:強心薬として重要な薬剤であり、分布に関する知識は求められるため、勘違いしやすい。混同注意:組織への分布と血球への移行率を混同しやすい。
- 2. バルプロ酸は血漿タンパク結合率が非常に高く(90%前後)、主にアルブミンに結合しますが、赤血球への移行率は高くありません。正しくは:バルプロ酸は血漿タンパク結合率が高いが、血球への移行率は低い。選びやすい理由:抗てんかん薬として頻繁にTDMが行われるため、薬物動態の知識が問われやすいが、血球移行性とは異なる。混同注意:血漿タンパク結合率の高さと血球移行性を混同しやすい。
- 3. 正解。タクロリムスは脂溶性が高く、血漿タンパク(主にアルブミン、α1酸性糖タンパク質)だけでなく、赤血球にも強く結合し、その移行率は非常に高いです(血中濃度の約80%が赤血球中に存在するとされる)。そのため、全血濃度を測定することが一般的です。
- 4. テオフィリンは血漿タンパク結合率が比較的低い(約40-60%)ですが、赤血球への移行率は低く、主に血漿中に存在します。正しくは:テオフィリンは血漿タンパク結合率が中程度で、血球への移行率は低い。選びやすい理由:TDM対象薬としてよく知られており、薬物動態の知識が問われやすいが、血球移行性に関する特徴は持たない。混同注意:薬物動態の一般知識と特定の血球移行性の特徴を混同しやすい。
- 5. バンコマイシンは水溶性の高い薬物であり、血漿タンパク結合率は低い(約10-50%)ですが、赤血球への移行率はほとんどなく、主に血漿中に分布します。正しくは:バンコマイシンは水溶性で、血球への移行率は非常に低い。選びやすい理由:腎機能に応じた投与量調整が必要なTDM対象薬であり、分布の概念は重要だが、血球移行性は高くない。混同注意:水溶性薬物の分布特性と血球移行性を混同しやすい。
国試ポイント
薬物の生体内での分布、特に赤血球への移行性が高い薬物について問う問題です。TDMで全血測定が必要となる薬物の特性を理解しているかが評価されます。臨床検査技師国家試験では、薬物動態学における特定の薬物の特徴を問う問題が頻出です。
混同注意
血漿タンパク結合率が高い薬物(例:バルプロ酸、フェニトイン)と、赤血球移行率が高い薬物を混同しやすい。また、組織移行性が高い薬物と血球移行性が高い薬物を混同する可能性があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、TDMで全血測定が推奨される他の薬物(例:シクロスポリン)や、特定の臓器(肝臓、腎臓など)に高濃度に分布する薬物について問われる可能性があります。
関連知識
TDMの対象薬物、薬物の血漿タンパク結合率、薬物の脂溶性と水溶性、組織への分布特性。特に、シクロスポリンもタクロリムスと同様に赤血球への移行率が高い薬物として有名です。