日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法の試薬中にN-アセチルシステインを含むのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
クレアチンキナーゼ(CK)はSH基を活性中心に持つSH酵素です。N-アセチルシステイン(NAC)はSH基を含む化合物であり、CK測定において、酵素の活性部位のSH基を酸化から保護し、還元状態を保つことで酵素の安定化と活性化を促進する目的で試薬中に添加されます。これにより、酵素の測定値が安定し、より正確な結果が得られます。JSCCA勧告法では、このNACの添加が標準的な方法として採用されています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。クレアチンキナーゼ(CK)の測定において、N-アセチルシステイン(NAC)はSH酵素の安定化および反応活性化剤として用いられます。特に、JSCCA勧告法ではNACを添加することで、酵素の活性を最大限に引き出し、より正確な測定を可能にしています。
- 2. LDの測定ではN-アセチルシステインは通常用いられません。LDはNAD+/NADHを補酵素とする酸化還元酵素であり、その測定原理は主にピルビン酸とNADHの反応を利用します。正しくは:LDの測定試薬には、基質(ピルビン酸など)、補酵素(NADHなど)、緩衝液などが含まれます。選びやすい理由:酵素測定試薬の一般的な成分として、なんとなく酵素活性化剤が含まれると考えるかもしれませんが、特定の酵素に特有の活性化剤と混同する可能性があります。混同注意:他のSH酵素の活性化剤や、一般的な酵素安定化剤と混同しやすいかもしれません。
- 3. ALPの測定にN-アセチルシステインは使用されません。ALPは金属酵素であり、主にマグネシウムイオンなどを補因子としてリン酸エステルを加水分解します。正しくは:ALPの測定試薬には、基質(p-ニトロフェニルリン酸など)、緩衝液(アルカリ域を保つ)、マグネシウムイオンなどが含まれます。選びやすい理由:様々な酵素測定法で活性化剤や安定化剤が使われるため、ALPにも何らかの添加剤が含まれると考えがちですが、NACはALPには不適切です。混同注意:他の加水分解酵素の活性化剤や、一般的な緩衝液成分と混同する可能性があります。
- 4. ALTの測定ではN-アセチルシステインは通常用いられません。ALTはアミノ基転移酵素であり、アミノ酸とα-ケト酸の間でアミノ基を転移させます。正しくは:ALTの測定試薬には、基質(L-アラニン、α-ケトグルタル酸など)、補酵素(PLP:ピリドキサールリン酸)、共役酵素(LDHなど)などが含まれます。選びやすい理由:アミノ基転移酵素の補酵素であるPLPなどと混同したり、一般的な酵素測定における還元剤や安定化剤と混同する可能性があります。混同注意:PLP(ピリドキサールリン酸)など、他の補酵素と混同する可能性があります。
- 5. アミラーゼの測定にN-アセチルシステインは使用されません。アミラーゼは多糖類を加水分解する酵素であり、その活性には通常カルシウムイオンが必要です。正しくは:アミラーゼの測定試薬には、基質(デンプン、G2Pなど)、共役酵素、カルシウムイオンなどが含まれます。選びやすい理由:アミラーゼの活性化にカルシウムイオンが関与するため、NACも何らかの活性化剤の一つと誤解する可能性があります。混同注意:カルシウムイオンなどの活性化因子や、一般的な緩衝液成分と混同する可能性があります。
国試ポイント
酵素測定における試薬成分の役割、特に特定の酵素とその活性化剤や安定化剤の組み合わせを問う問題です。臨床検査技師国家試験では、主要な酵素の測定原理とその試薬組成について正確な知識が求められます。特に、SH酵素の活性化剤としてのN-アセチルシステインの役割は頻出です。
混同注意
NACをSH酵素の安定化剤・活性化剤として理解しているかどうかが重要です。他の酵素の測定試薬に含まれる補酵素(NAD, PLPなど)や活性化因子(Mg2+, Ca2+など)と混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合、各酵素の測定原理を再確認し、特に活性化因子、補酵素、阻害剤、安定化剤といった特殊な試薬成分が何であるかを判断します。SH酵素であればSH基を持つ活性化剤が関連するかを考えます。
関連知識
SH酵素(例: CK、LDの一部アイソザイム、G6PDなど)の活性維持にはSH基の還元状態が重要です。NAC以外にもメルカプトエタノールなどがSH酵素の活性化剤として用いられることがあります。また、各酵素の測定原理と主要な試薬成分(基質、補酵素、活性化剤、緩衝液など)を包括的に理解することが重要です。