梅毒血清検査で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
RPR法は、梅毒トレポネーマに感染した患者が産生する、カルジオリピン抗原に対する抗体(非トレポネーマ抗体)を検出する検査です。この抗体は、梅毒以外の様々な疾患(自己免疫疾患、急性感染症、一部の慢性疾患)や生理的状態(妊娠、予防接種後など)でも産生されることがあります。そのため、梅毒に罹患していなくてもRPR法が陽性となることがあり、これを生物学的偽陽性(BFP)と呼びます。
選択肢ごとの解説
- 1. TPPA法は、梅毒トレポネーマ抗原を感作させたゼラチン粒子を担体として用いる検査です。正しくは:TPPA法では、担体としてゼラチン粒子を用いる。選びやすい理由:RPR法とTPPA法の担体が混同されやすい。どちらも凝集反応を利用する検査法であるため、担体の種類が曖昧になりがちです。混同注意:RPR法(炭素粒子)とTPPA法(ゼラチン粒子)の担体。
- 2. 正解。RPR法は非特異的な抗体を検出するため、梅毒以外の自己免疫疾患、感染症、妊娠などによって、梅毒に罹患していなくても陽性を示すことがあります。これを生物学的偽陽性(BFP)と呼びます。
- 3. RPR法は補体不要の凝集反応であるため、血清の不活化は必要ありません。正しくは:RPR法では検査前に血清の不活化は不要である。または、FTA-ABS法やTPI法では検査前に血清の不活化が必要である。選びやすい理由:血清を不活化する検査法(例: FTA-ABS法、TPI法)も存在するため、混同しやすいです。特に補体介在性の反応を伴う検査では不活化が重要であるため、一般的な知識と混ざりがちです。混同注意:FTA-ABS法やTPI法など、補体成分が反応に影響を与えるため不活化が必要な検査法。
- 4. 梅毒のスクリーニング検査では、主に梅毒トレポネーマに対する抗体(TP抗体)や、カルジオリピン抗原に対する抗体(非トレポネーマ抗体)の検出が行われます。抗原そのものの検出は一般的ではありません。正しくは:スクリーニング検査としてTP抗体の検出が行われている。選びやすい理由:多くの感染症の診断で抗原検出が用いられるため、梅毒でも抗原検出が行われると誤解しやすいです。混同注意:HIV抗原、HBs抗原など、他の感染症における抗原スクリーニング検査。
- 5. IgG型抗体は胎盤を通過するため、新生児から検出されても母体由来の抗体である可能性があり、先天梅毒の診断には直接的に有用ではありません。先天梅毒の診断には、胎盤を通過しないIgM型TP抗体の検出や、TPI法、PCR法などが用いられます。正しくは:FTA-ABS法によるIgM型TP抗体の検出、または新生児のTP抗体価の推移やPCR法などが先天梅毒の診断に有用である。選びやすい理由:FTA-ABS法自体が梅毒の特異的な検査法であること、およびTP抗体が検出されること自体は梅毒を示唆するため、有用であると錯覚しやすいです。また、IgGが長期にわたって存在する抗体であるため、診断に役立つと誤解する可能性があります。混同注意:FTA-ABS法によるIgM抗体検出や、その他の新生児梅毒診断のための検査法(例えば、IgM-TPHA法、PCR法、TPI法)。
国試ポイント
梅毒の血清検査に関する知識は非常に重要です。特に、トレポネーマ抗原を用いる特異的検査(TPPA法、FTA-ABS法など)と、非トレポネーマ抗原(カルジオリピン抗原)を用いる非特異的検査(RPR法、VDRL法など)の違い、それぞれの検査の意義(スクリーニング、確定診断、治療効果判定)、偽陽性・偽陰性の原因、および不活化の要否について問われることが多いです。また、各検査法で用いられる担体や検出対象(抗原か抗体か、IgGかIgMか)も頻出です。
混同注意
RPR法とTPPA法の担体(炭素粒子 vs ゼラチン粒子)、梅毒のスクリーニングで検出されるもの(抗原 vs 抗体)、血清不活化が必要な検査と不要な検査、先天梅毒診断におけるIgGとIgM抗体の役割。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、各検査法のスクリーニング・確定診断・治療効果判定における位置づけ、それぞれの検査で検出する抗体/抗原の種類、偽陽性/偽陰性の原因、そして先天梅毒診断における適切な検査法(特にIgM抗体)について確認する。
関連知識
非トレポネーマ抗原検査: RPR法、VDRL法。カルジオリピン抗原を用いる。治療効果判定に有用(抗体価が低下するため)。BFPが問題になる。トレポネーマ抗原検査: TPPA法、FTA-ABS法、梅毒ELISA法、CLIA法。梅毒トレポネーマに特異的な抗体を検出。確定診断に有用。一度陽性になると治療後も陽性が持続することが多い。TPPA法: 梅毒トレポネーマ抗原を感作させたゼラチン粒子を用いた凝集反応。RPR法: カルジオリピン抗原、コレステロール、レシチンを感作させた炭素粒子を用いた凝集反応。FTA-ABS法: 梅毒トレポネーマを固定したスライドに検体血清を反応させ、蛍光抗体で検出。補体を除去するため血清不活化が必要。先天梅毒: 新生児のIgM型TP抗体検出が有用。