超音波検査で誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
超音波は、周波数が高くなるほど組織内での減衰(エネルギーの減少)が大きくなります。この減衰により、超音波の到達距離(深達度)は短くなります。したがって、深い位置にある臓器や病変を描出するためには、減衰が少なく深部まで到達しやすい低周波数の超音波が有利です。高周波は分解能は良いものの、深部には届きにくいため、主に体表に近い部位の検査に用いられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 診断用超音波装置では、対象となる臓器の深さや種類に応じて、一般的に1MHzから20MHz程度の幅広い周波数が選択的に使用されます。浅い部位や高分解能が必要な場合は高周波、深い部位には低周波が用いられます。
- 2. 距離分解能とは、超音波の進行方向において、どれだけ近い二点を区別できるかを示す能力です。周波数が高いほど波長が短くなるため、より微細な構造を識別できるようになり、距離分解能が向上します。
- 3. 連続波ドプラ法は、超音波の送受信を同時に連続して行うため、原理的にエイリアシング現象(速度の飽和による誤認識)が発生しません。この特性により、パルス波ドプラ法では測定が困難な非常に高速な血流も正確に測定することが可能です。
- 4. 正解。超音波は周波数が高くなるほど、組織内での吸収・散乱といった減衰が大きくなります。そのため、高周波の超音波は深い部位まで到達しにくくなり、深部の描出には不利となります。深部を描出するには、減衰が少ない低周波の超音波の方が適しています。正しくは:深部の構造を描出する場合、超音波の周波数が低い方が有利である。選びやすい理由:超音波の周波数が高いほど分解能が向上するという事実は正しいですが、分解能と深達度はトレードオフの関係にあります。「分解能が良い=描出が有利」という短絡的な思考に陥りやすく、選択肢全体が肯定的な表現であるため、正しいと錯覚しやすいです。混同注意:超音波の周波数と『距離分解能』『方位分解能』の関係、および『深達度(減衰)』の関係を混同しやすいです。高周波は分解能を向上させますが、深達度を低下させます。
- 5. 方位分解能(横分解能)とは、超音波ビームの横方向において、どれだけ近い二点を区別できるかを示す能力です。電子フォーカス(ビーム集束技術)によって超音波ビームの幅を狭くすることで、この方位分解能を向上させることができます。
国試ポイント
超音波診断装置の基本的な物理原理、特に超音波の周波数が『分解能』と『深達度(減衰)』にどのように影響するかを理解しているか問う問題です。これらの関係性はトレードオフであり、その区別を正確に理解しておくことが重要です。また、ドプラ法の特性についても基本的な知識が求められます。
混同注意
超音波の周波数と分解能(距離分解能・方位分解能)、そして深達度(減衰)の関係は、学生が混同しやすいポイントです。高周波は分解能を向上させますが、深達度を低下させるという二律背反の関係を明確に理解しておく必要があります。また、パルス波ドプラ法と連続波ドプラ法の特性(エイリアシングの有無、深度特定)の違いも頻繁に問われます。
次に同じ論点が出たら
次にこの論点が出題される場合、超音波の周波数と様々な分解能(距離分解能、方位分解能、時間分解能)の関係性、またはドプラ法の各種類(パルス波、連続波、カラー、パワードプラ)の具体的な特徴や適用条件、限界について問われる可能性があります。特に、それぞれの分解能を決定する物理的要因や、ドプラ法のエイリアシング現象の発生メカニズムと解決策に関する深い理解が求められるでしょう。
関連知識
超音波の物理的特性(周波数、波長、音速、減衰、インピーダンス) 分解能の種類とその向上要因(距離分解能:周波数、方位分解能:ビーム幅、電子フォーカス) ドプラ法の原理と種類(パルス波ドプラ、連続波ドプラ、カラー、パワードプラ) エイリアシング現象とその対策 超音波診断の適用範囲とプローブの選択