Holter心電図(別冊No. 3)を別に示す。正しいのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
下に示すHolter心電図は、PR間隔が徐々に延長していき、最終的にQRS波が脱落する現象を繰り返し示している。この特徴的なパターンはWenckebach型(Mobitz I型)第2度房室ブロックの典型的な所見である。
選択肢ごとの解説
- 1. 洞房ブロックでは、P波が完全に欠落し、P-P間隔が延長することが特徴である。提示された心電図ではP波は存在する。正しくは:P波の欠落とP-P間隔の延長が見られる場合に洞房ブロックと判断される。選びやすい理由:ブロックという共通の言葉があるため、心電図のブロック系疾患を知らないと混同する可能性がある。混同注意:洞房ブロックはP波とQRS波の関連性が異なるため、房室ブロックと混同しやすい。
- 2. 第1度房室ブロックは、PR間隔が0.20秒以上に延長しているものの、全てのP波にQRS波が続く状態を指す。提示された心電図ではPR間隔の延長だけでなく、QRS波が脱落している部分が見られる。正しくは:PR間隔の一定の延長が全ての拍動で確認される場合に第1度房室ブロックと判断される。選びやすい理由:房室ブロックの一種であり、心電図からブロックが読み取れるため、細かな分類を誤解すると選択しやすい。混同注意:第1度と第2度の違い、特に脱落の有無を混同しやすい。
- 3. 正解。Wenckebach型第2度房室ブロック(Mobitz I型)は、PR間隔が徐々に延長していき、最終的にQRS波が脱落する現象を繰り返すことが特徴である。提示された心電図は、このWenckebach型の特徴を明確に示している。正しくは:Wenckebach型第2度房室ブロックの典型的な心電図所見である。選びやすい理由:他の房室ブロックのタイプとの区別が曖昧な場合、選択を迷う可能性がある。混同注意:Mobitz II型第2度房室ブロックとの鑑別が重要である。Mobitz II型ではPR間隔が一定であるのに対し、Wenckebach型ではPR間隔が徐々に延長する。
- 4. Mobitz II型第2度房室ブロックでは、PR間隔は一定であるにもかかわらず、QRS波が突然脱落する。提示された心電図ではPR間隔の段階的延長が見られるため、Mobitz II型ではない。正しくは:PR間隔が一定で、突然QRS波が脱落する場合にMobitz II型第2度房室ブロックと判断される。選びやすい理由:同じ第2度房室ブロックであるため、Wenckebach型との違いを正確に把握していないと誤って選択しやすい。混同注意:Wenckebach型とMobitz II型の最も重要な鑑別点は、PR間隔の延長パターンにある。Wenckebach型は延長、Mobitz II型は一定である。
- 5. 第3度房室ブロック(完全房室ブロック)では、心房と心室の活動が完全に分離しており、P波とQRS波に何の関連性も見られない。提示された心電図では、P波とQRS波がある程度の関連性を持っており、QRS波の脱落はPR間隔の延長に先行しているため、第3度房室ブロックではない。正しくは:P波とQRS波が全く関連なく出現し、QRS波がP波とは独立したペースメーカーによって発生する場合に第3度房室ブロックと判断される。選びやすい理由:QRS波の脱落が高度であるため、完全房室ブロックと誤解する可能性がある。混同注意:完全房室ブロックではP波とQRS波が全く関連しないのに対し、第2度房室ブロックでは部分的に関連性が保たれている点を混同しやすい。
国試ポイント
心電図判読において、各種房室ブロックの鑑別が重要である。特に第1度、第2度Wenckebach型、第2度Mobitz II型、および第3度房室ブロックそれぞれの特徴を正確に理解しておく必要がある。PR間隔の変化、QRS波の脱落パターン、P波とQRS波の関連性が鑑別のポイントとなる。
混同注意
Wenckebach型第2度房室ブロックとMobitz II型第2度房室ブロックは頻繁に混同されるため、PR間隔の延長パターン(Wenckebach型は徐々に延長、Mobitz II型は一定)を明確に区別することが求められる。
次に同じ論点が出たら
この心電図所見を確認した場合、患者の臨床症状(めまい、失神など)や既往歴、他の検査所見(電解質、薬剤内服歴など)と総合して、治療方針を決定する。Wenckebach型であれば経過観察となることが多いが、症状が強い場合は介入を検討する。
関連知識
房室ブロックの病態生理、原因(虚血性心疾患、薬剤、電解質異常など)、および臨床的意義についても学習しておくことが望ましい。特にWenckebach型は通常、良性の経過をたどることが多いが、Mobitz II型や第3度房室ブロックはペースメーカー植え込みの適応となることが多い。