疾患と診断に用いる細胞表面マーカーとの組合せで誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
慢性リンパ性白血病(CLL)は成熟B細胞由来の腫瘍であり、診断には主にCD19, CD20, CD23, CD5などのB細胞マーカーが用いられます。CD3はT細胞の表面マーカーであり、CLLの診断に直接関連するものではありません。したがって、この組み合わせは誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. CD38は、多発性骨髄腫細胞に高発現しており、診断マーカーとして、また治療標的としても重要です。選びやすい理由:多発性骨髄腫の診断マーカーとしてCD38は非常に有名であるため、正しい組み合わせとして認識しやすいです。混同注意:他の悪性リンパ腫や白血病のマーカーと混同する可能性は低いですが、T細胞やNK細胞にも発現があるため、注意が必要です。
- 2. CD33は、骨髄系細胞に発現するマーカーであり、急性骨髄性白血病(AML)の芽球に陽性となることが多く、診断に不可欠です。また、抗CD33抗体を用いた治療薬も存在します。選びやすい理由:CD33はAMLの診断における主要なマーカーの一つであり、正しい組み合わせとして認識しやすいです。混同注意:MDSやCMLでも陽性となることがあるため、他のマーカーとの組み合わせで総合的に判断する必要があります。
- 3. CD10(common acute lymphoblastic leukemia antigen: CALLA)は、前駆B細胞型急性リンパ性白血病(B-ALL)で高発現する代表的なマーカーであり、診断に非常に重要です。選びやすい理由:CD10はB-ALLの代表的なマーカーであり、正しい組み合わせとして認識しやすいです。混同注意:濾胞性リンパ腫など他のリンパ系腫瘍でも陽性となることがあるため、注意が必要です。
- 4. 正解。慢性リンパ性白血病(CLL)は通常、成熟B細胞由来の腫瘍であるため、B細胞マーカー(CD19, CD20, CD23, CD5陽性など)を発現します。CD3はT細胞の主要なマーカーであり、CLLの診断には通常用いられません。正しくは:慢性リンパ性白血病にはCD19, CD20, CD23, CD5などのB細胞マーカーが用いられる。選びやすい理由:リンパ球系の疾患であるため、リンパ球マーカーであるCD3が関連すると誤解しやすいです。特にCLLではCD5陽性という特徴があるため、CD3陽性と混同する可能性もあります。混同注意:T細胞リンパ腫やT-ALLの診断に用いられるCD3と、CLLの特徴であるCD5陽性を混同する可能性があります。
- 5. 成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)感染による悪性腫瘍で、腫瘍細胞は通常CD4陽性T細胞に由来し、活性化マーカーであるCD25(IL-2受容体α鎖)を高発現します。選びやすい理由:ATL細胞はCD25を高発現することが特徴であり、正しい組み合わせとして認識しやすいです。混同注意:他のT細胞リンパ腫のマーカーと混同する可能性は低いですが、IL-2Rαの発現が他の疾患でも見られることに注意が必要です。
国試ポイント
本問題は、主要な血液疾患(特にリンパ増殖性疾患と骨髄増殖性疾患)の診断に用いられる代表的な細胞表面マーカーの知識を問うものです。各疾患の由来細胞系列と、その細胞系列に特異的なマーカーを正確に理解しているかが試されます。
混同注意
リンパ球系の疾患であるため、T細胞マーカーとB細胞マーカー、あるいは未熟細胞マーカーと成熟細胞マーカーの区別が曖昧だと誤答しやすいです。特に、CLLでCD5が陽性となるため、同じリンパ球マーカーであるCD3と混同する可能性があります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず疾患がどの細胞系列(T細胞系、B細胞系、骨髄球系、形質細胞系など)に由来するかを判断し、次にその細胞系列の代表的な細胞表面マーカーを想起することで正答にたどり着けます。特に、疾患特異的なマーカーや、特定の疾患で高発現するマーカーに注目することが有効です。
関連知識
各疾患における主要な診断マーカーの他に、予後予測マーカーや治療標的マーカーについても理解を深めることが重要です。また、フローサイトメトリーによる細胞表面マーカー解析の原理と臨床的意義も関連知識として挙げられます。