クロスミキシング試験の結果(別冊No. 11)を別に示す。考えられるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
クロスミキシング試験は、患者血漿と正常血漿を混合し、その凝固時間の変化を調べる検査です。APTTが延長している患者血漿に正常血漿を混合した場合、凝固因子が欠乏していれば正常血漿中の凝固因子によってAPTTは是正されます。しかし、凝固因子に対するインヒビター(阻害物質)が存在する場合、正常血漿を混合してもインヒビターが凝固因子の働きを阻害するため、APTTは是正されません。本試験結果は、APTTが延長しており、正常血漿との混合後も是正されていないことから、インヒビターの存在が強く示唆されます。後天性血友病Aは、第VIII因子に対する自己抗体(インヒビター)が出現する疾患であり、この試験結果と一致します。
選択肢ごとの解説
- 1. 肝機能不全では、凝固因子の産生低下によりPTやAPTTが延長することがありますが、クロスミキシング試験では正常血漿との混合で凝固時間は是正されます。本図はAPTTが是正されていないため、肝不全とは考えにくいです。正しくは:肝機能不全による凝固異常であれば、クロスミキシング試験では正常血漿との混合でAPTTは是正される。選びやすい理由:PTやAPTTの延長は様々な凝固障害でみられるため、肝不全も候補の一つとして浮上しやすい。混同注意:凝固因子欠乏症とインヒビター存在下での延長パターンを混同しやすい。
- 2. 正解。後天性血友病Aは、第VIII因子に対する自己抗体(インヒビター)が出現することで発症します。クロスミキシング試験でAPTTが延長したまま是正されない場合、これはインヒビターの存在を示唆しており、特に第VIII因子インヒビターは後天性血友病Aの典型的な所見です。正しくは:正答のため修正不要。
- 3. ワルファリンはビタミンK依存性凝固因子(II, VII, IX, X)の産生を抑制するため、PTおよびAPTTが延長します。しかし、これは凝固因子の絶対的な不足によるものであり、クロスミキシング試験では正常血漿を混合することで凝固因子が補充され、APTTは是正されます。本図はAPTTが是正されていないため、ワルファリン服用とは考えにくいです。正しくは:ワルファリン服用による凝固異常であれば、クロスミキシング試験では正常血漿との混合でAPTTは是正される。選びやすい理由:抗凝固薬による凝固時間の延長は一般的であるため。混同注意:凝固因子の欠乏とインヒビターによる抑制のパターンを混同しやすい。
- 4. フォン・ヴィルブランド病はフォン・ヴィルブランド因子(vWF)の異常により、APTTが延長することがありますが、これはvWFと結合する第VIII因子の二次的な低下によるものです。クロスミキシング試験では、正常血漿を混合することでvWFや第VIII因子が補充されるため、APTTは是正されます。本図はAPTTが是正されていないため、フォン・ヴィルブランド病とは考えにくいです。正しくは:フォン・ヴィルブランド病による凝固異常であれば、クロスミキシング試験では正常血漿との混合でAPTTは是正される。選びやすい理由:APTTの延長が見られる疾患であるため。混同注意:第VIII因子インヒビターによる延長と、vWF/第VIII因子欠乏による延長の違いを混同しやすい。
- 5. DICでは凝固因子の消費亢進によりPTやAPTTが延長しますが、これは凝固因子の絶対的な消費によるものです。クロスミキシング試験では正常血漿との混合で凝固因子が補充されるため、APTTは是正されるはずです。本図はAPTTが是正されていないため、DICとは考えにくいです。正しくは:DICによる凝固異常であれば、クロスミキシング試験では正常血漿との混合でAPTTは是正される。選びやすい理由:PTやAPTTの延長はDICでも認められるため。混同注意:凝固因子の消費とインヒビターによる作用の違いを混同しやすい。
国試ポイント
クロスミキシング試験の目的と、その結果が「凝固因子欠乏」と「凝固因子に対するインヒビターの存在」のどちらを示すのかを理解しているかが問われます。特に、インヒビターが存在する際のAPTT非是正パターンは重要です。
混同注意
凝固因子の欠乏(肝不全、ワルファリン服用、DIC、先天性凝固因子欠乏症など)によるAPTT延長と、インヒビターの存在(後天性血友病、ループスアンチコアグラントなど)によるAPTT延長の判別が混同しやすい。前者はクロスミキシングで是正され、後者は是正されない。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、まず『正常血漿混合後に凝固時間が是正されているか否か』を確認する。是正されていれば凝固因子欠乏、是正されていなければインヒビターの存在を疑うという判断軸を持つことが重要。
関連知識
クロスミキシング試験の他の応用(ループスアンチコアグラントの検出)、各凝固因子の働き、先天性血友病Aと後天性血友病Aの違い、各抗凝固薬の作用機序。