臓器特異性の高い腫瘍マーカーはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番
解説
腫瘍マーカーの臓器特異性とは、そのマーカーが特定の臓器のがんや病態に限定して上昇するかどうかを示す指標です。PIVKA-IIは肝細胞がんに、PSAは前立腺がんにそれぞれ非常に高い特異性を示します。CA19-9、CEA、SCCはそれぞれ膵胆道系がん、消化器系がん、扁平上皮がんなどで用いられますが、良性疾患や他臓器のがんでも上昇することがあり、臓器特異性は比較的低いです。
選択肢ごとの解説
- 1. CA19-9は膵臓がんや胆道がんなどで上昇しますが、消化器系の良性疾患(膵炎、胆石症など)でも高値を示すことがあり、特異性は高くありません。正しくは:CA19-9は、膵臓がんや胆道がんの診断補助・治療効果判定に用いられますが、特異性は中程度です。選びやすい理由:膵臓がんなどの特定の疾患と関連が深いため、特異性が高いと誤解されることがあります。混同注意:高い感度を持つマーカーと、高い特異性を持つマーカーを混同しやすいです。
- 2. CEAは大腸がん、胃がん、肺がんなど多くの腺がんや、喫煙者、炎症性疾患でも上昇するため、臓器特異性は低いマーカーです。正しくは:CEAは、消化器系がんを中心とした複数の悪性腫瘍で上昇しますが、良性疾患でも高値を示すため、特異性は低いです。選びやすい理由:様々ながんで使用されるため、重要なマーカーであることから特異性が高いと錯覚しやすいです。混同注意:「広範囲のがんで使われる=汎用性が高い」と、「臓器特異性が高い」を混同しやすいです。
- 3. 正解。PIVKA-II (Protein Induced by Vitamin K Absence or antagonist-II) は、肝細胞がんの特異的な腫瘍マーカーであり、他の臓器の疾患で高値を示すことは非常に稀です。混同注意:AFPとPIVKA-IIが肝細胞がんの代表的なマーカーであることを知っていても、どちらの特異性が高いか混同することがあります。
- 4. 正解。PSA (Prostate Specific Antigen) は前立腺に特異的なタンパク質であり、前立腺がんのスクリーニングや診断、治療効果判定において非常に高い臓器特異性を示します。良性前立腺肥大症でも上昇しますが、他の臓器由来の腫瘍では上昇しません。混同注意:良性前立腺肥大症でも上昇することから、特異性が低いと誤解されることがありますが、臓器特異性自体は極めて高いです。
- 5. SCC (Squamous Cell Carcinoma related antigen) は扁平上皮がん(肺、子宮頸部、食道など)で上昇しますが、皮膚疾患や気管支喘息などの良性疾患でも高値を示すことがあり、臓器特異性は高くありません。正しくは:SCCは、扁平上皮がんの診断補助や治療効果判定に用いられますが、良性疾患でも上昇するため特異性は中程度です。選びやすい理由:「扁平上皮がん」という特定の細胞型と関連が深いため、特異性が高いと誤解されることがあります。混同注意:特定の細胞型と関連があることと、臓器特異性が高いことを混同しやすいです。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験では、主要な腫瘍マーカーについて、その対象疾患(何のマーカーか)、主な用途(スクリーニング、診断補助、治療効果判定、再発モニタリングなど)、そして感度と特異性の特徴を理解しているかどうかが問われます。特に臓器特異性が高いマーカーと低いマーカーの区別は頻出です。
混同注意
腫瘍マーカーの「感度」と「特異度」の概念を混同しやすいです。感度が高いマーカーは疾患を見逃しにくいですが、特異度が低いと偽陽性が多くなります。逆に特異度が高いマーカーは、陽性であればその疾患である可能性が高いですが、感度が低いと見逃しが多くなります。この問題では「臓器特異性」が問われています。
次に同じ論点が出たら
この論点が次に問われた場合、各腫瘍マーカーの対象疾患だけでなく、そのマーカーが持つ感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率といった診断能の特性を正確に理解しているかを判断する問題が出題される可能性があります。特に、スクリーニングに適したマーカー(感度重視)と、診断確定・経過観察に適したマーカー(特異度・予後予測重視)の違いを理解しているかが問われるでしょう。
関連知識
AFP (α-フェトプロテイン)も肝細胞がんのマーカーですが、PIVKA-IIの方がより特異性が高いとされています。また、PSAは遊離型PSA(f-PSA)と総PSA(t-PSA)の比率も診断に用いられ、良性疾患と悪性疾患の鑑別に役立ちます。良性前立腺肥大症ではf-PSAの割合が高く、前立腺がんでは低くなる傾向があります。