成人の心電図で異常値はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
成人の心電図において、QRS幅の正常上限は0.10秒(または0.08秒から0.12秒未満とされることも多い)です。選択肢3のQRS幅0.20秒は、この正常上限を大きく超えており、著明な脚ブロックや心室内伝導遅延、あるいは心室性期外収縮や心室頻拍などの重篤な不整脈を示唆するため、異常値と判断されます。
選択肢ごとの解説
- 1. P波幅の正常上限は一般的に0.10秒であり、この値は正常範囲内です。選びやすい理由:正常値の境界線に近い値であるため、異常と見間違えやすいかもしれません。しかし、0.10秒はあくまで正常範囲内です。混同注意:異常に幅の広いP波(例:0.12秒以上、左心房負荷など)
- 2. PR時間の正常範囲は0.12〜0.20秒であり、0.18秒はこの正常範囲内です。選びやすい理由:PR時間の正常上限0.20秒に比較的近い値であるため、異常と誤解する可能性があります。しかし、まだ正常範囲内です。混同注意:房室ブロック(PR延長:0.20秒超)やWPW症候群(PR短縮:0.12秒未満)
- 3. 正解。QRS幅の正常上限は0.10秒(または0.08〜0.12秒未満)であり、0.20秒は異常に幅が広く、心室内伝導障害や心室性不整脈を示唆します。選びやすい理由:他の選択肢が正常範囲であるため、消去法で選ばれやすいです。また、QRS幅の明確な異常値なので判断しやすいです。混同注意:P波幅やPR時間など、他の時間の正常範囲
- 4. QTc(補正QT時間)の正常上限は一般的に男性で0.44秒、女性で0.46秒とされています。0.40秒は正常範囲内です。選びやすい理由:QTcは心拍数によって変動し、その正常値も心拍数や性別によって多少異なるため、判断に迷うことがあります。しかし、0.40秒は明らかに正常範囲です。混同注意:QTc延長症候群(男性0.45秒以上、女性0.47秒以上など)
- 5. 「電気軸」は心電図の特定の数値ではなく、心臓の電気的活動の平均方向を示す概念です。異常値は「電気軸の偏位」(例:左軸偏位、右軸偏位)として表現され、単に「電気軸」という言葉自体が異常値になることはありません。この選択肢は具体的な異常値を示していません。正しくは:左軸偏位、右軸偏位など具体的な電気軸の異常を示す選びやすい理由:電気軸が「異常」となる病態は存在するため、この言葉自体を異常値と勘違いする可能性があります。しかし、具体的な数値を伴う異常ではないため、他の数値と並列で異常値として扱うのは不適切です。混同注意:正常電気軸(-30度〜+90度)からの逸脱(例:左軸偏位、右軸偏位)
国試ポイント
心電図波形の各成分(P波、PR時間、QRS幅、QT時間)の正常値を正確に覚えること、そして異常値が示す病態を理解することが重要です。
混同注意
QRS幅とQT時間、P波とPR時間の正常値は混同しやすく、それぞれが心臓のどの電気生理学的イベントを反映しているかを理解することで区別できます。特にQTcは心拍数補正が入るため、単純なQT時間とは異なります。
次に同じ論点が出たら
心電図問題が出題された際は、まず各波形(P, QRS, T)、時間(PR, QRS幅, QT/QTc)、間隔、ST部分、そして電気軸に注目し、それぞれが正常範囲内にあるかを確認します。特に時間に関する異常値は伝導系の障害を強く示唆するため、優先的に確認します。
関連知識
P波は心房の興奮(脱分極)、PR時間は房室結節伝導時間、QRS波は心室の興奮(脱分極)、QT時間は心室の興奮から収縮の回復(再分極)までを表します。これらの異常は、それぞれ心房疾患、房室ブロック、心室内伝導障害、不整脈、電解質異常などと関連します。