代謝系と調節酵素の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
コレステロール合成経路において、HMG-CoA還元酵素はHMG-CoAからメバロン酸を生成する反応を触媒し、この段階がコレステロール合成全体の律速段階となります。多くのコレステロール降下薬(スタチン系薬剤)もこの酵素を標的としています。
選択肢ごとの解説
- 1. ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPCK)は主に糖新生に関与する酵素であり、解糖系の律速酵素ではありません。解糖系の主要な律速酵素には、ヘキソキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ-1、ピルビン酸キナーゼなどがあります。正しくは:解糖系の律速酵素としてホスホフルクトキナーゼ-1などが挙げられます。選びやすい理由:解糖系と糖新生は逆反応の経路であり、PEPCKがPEPCを生成する酵素であるため、関連性を感じてしまう可能性があります。混同注意:解糖系と糖新生の主要な酵素。
- 2. アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)は脂肪酸合成の律速酵素であり、糖新生には関与しません。糖新生の主要な律速酵素には、ピルビン酸カルボキシラーゼ、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ、フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ、グルコース-6-ホスファターゼなどがあります。正しくは:糖新生の律速酵素としてピルビン酸カルボキシラーゼなどが挙げられます。選びやすい理由:アセチルCoAカルボキシラーゼという名前から、炭素鎖の代謝に関わる重要な酵素であると認識しやすいため、他の主要な代謝経路の律速酵素と混同する可能性があります。混同注意:糖新生と脂肪酸合成の律速酵素。
- 3. ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(PDHC)は、ピルビン酸をアセチルCoAに変換する酵素であり、解糖系とクエン酸回路を結びつける重要な酵素ですが、脂肪酸合成の律速酵素ではありません。脂肪酸合成の律速酵素はアセチルCoAカルボキシラーゼです。正しくは:脂肪酸合成の律速酵素としてアセチルCoAカルボキシラーゼが挙げられます。選びやすい理由:ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体はアセチルCoAを生成し、アセチルCoAが脂肪酸合成の出発物質であるため、関連が深いと誤解しやすいです。混同注意:脂肪酸合成の出発物質の生成に関わる酵素と、律速酵素。
- 4. ヘキソキナーゼは解糖系の律速酵素の一つであり、グルコースをリン酸化する酵素です。クエン酸回路の律速酵素ではありません。クエン酸回路の主要な律速酵素には、クエン酸シンターゼ、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、α-ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ複合体などがあります。正しくは:クエン酸回路の律速酵素としてイソクエン酸デヒドロゲナーゼなどが挙げられます。選びやすい理由:キナーゼという名前からATPを使う反応に関わる重要な酵素であると認識しやすいため、他の主要な代謝経路の律速酵素と混同する可能性があります。混同注意:解糖系とクエン酸回路の律速酵素。
- 5. 正解。コレステロール合成の律速段階は、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA(HMG-CoA)がメバロン酸に還元される反応であり、この反応を触媒するHMG-CoA還元酵素(HMG-CoA reductase)がコレステロール合成の主要な律速酵素です。
国試ポイント
主要な代謝経路(解糖系、糖新生、脂肪酸合成、クエン酸回路、コレステロール合成)とその律速酵素の正しい組み合わせを問う問題です。各代謝経路におけるキーとなる酵素の名称と機能、さらにはその調節機構まで理解しているかが試されます。
混同注意
類似する酵素名や、ある経路の途中で生成される物質が別の経路の出発物質となることで、律速酵素と混同しやすいです。例えば、アセチルCoAが脂肪酸合成の出発物質であるため、アセチルCoAを生成する酵素(PDHC)が脂肪酸合成の律速酵素だと誤解するケースなどが挙げられます。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、選択肢に挙げられた酵素が、本当にその代謝経路の律速酵素であるか、またはその経路に全く関係ない酵素であるかを確認します。特に、名前が似ている酵素や、複数の経路にまたがるような中間代謝物を扱う酵素には注意が必要です。
関連知識
各代謝経路の全体像、律速段階の概念、アロステリック調節、ホルモンによる調節(インスリン、グルカゴンなど)、特定の疾患との関連性(例:高コレステロール血症とHMG-CoA還元酵素阻害薬)。