引きガラス(ウェッジ)法での末梢血液塗抹標本の作製について誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
血液塗抹標本を温風で急激に乾燥させると、細胞の収縮や変形といったアーチファクトを引き起こし、正確な血球形態観察を妨げます。適切な乾燥方法は、室温での自然乾燥、または送風機(ヒーターなし)による乾燥です。これにより、血球の形態を良好な状態で保つことができます。
選択肢ごとの解説
- 1. 血液塗抹標本作製時、大型細胞(例:単球、形質細胞、あるいは異常な細胞など)や粘着性の高い細胞は、引きガラスによって押し出され、塗抹標本の終端(尾部)や辺縁部に集まりやすい性質があります。これは、塗抹の物理的な作用によるものです。
- 2. 正解。温風で急激に乾燥させると、細胞の変形(例:赤血球のcrenation、白血球の核構造の異常など)や収縮が起こり、アーチファクトが生じる原因となります。適切な乾燥方法は、室温で速やかに自然乾燥させるか、送風機(ヒーターなし)で乾燥させることです。正しくは:塗抹後は、室温で速やかに自然乾燥させるか、送風機(ヒーターなし)で乾燥させます。選びやすい理由:「速やかに乾燥させる」という部分は正しい操作のように聞こえるため、選んでしまいがちです。また、迅速な検査の必要性から「温風で速やかに」が効率的であると誤解されやすいでしょう。混同注意:室温での迅速な乾燥と、温風による急激な乾燥の区別が曖昧になりやすいです。特に「速やかに」という言葉に引きずられ、「温風」という条件を見落とすことがあります。
- 3. 引きガラスの角度が急であるほど薄い塗抹標本が得られ、角度が緩やかであるほど厚い塗抹標本が得られます。これは、血液の広がる抵抗とガラスの接触面積による塗抹の物理的な特性です。
- 4. 塗抹スピードが速すぎると、血液が均一に広がりにくく、塗抹標本の長さが短くなり、厚くなりがちです。適度なスピードで引くことで、適切な長さと厚さの塗抹標本が得られます。
- 5. 採血後時間が経過すると、血液検体中の血球(特に白血球や赤血球)に形態的な変化(変性、凝集、収縮など)が生じる可能性があります。これらのアーチファクトを避けるため、採血後速やかに塗抹標本を作製することが望ましいです。
国試ポイント
末梢血液塗抹標本の作製手順と注意点は、形態学的検査の基本であり、臨床検査技師として必須の知識です。特に、乾燥方法が細胞形態に与える影響や、塗抹の品質に影響する要因(角度、速度、血液量など)に関する知識がよく問われます。
混同注意
「迅速な乾燥」と「適切な乾燥方法」が混同されやすいです。検査の迅速性も重要ですが、品質を犠牲にしてはなりません。温風は乾燥を早めますが、細胞にダメージを与えます。
次に同じ論点が出たら
今後、塗抹標本の作製に関して問われる場合、以下の点に注目して選択肢を判断しましょう。「塗抹の適切な厚さに関する条件(血液量、角度)」「引きガラスの動かし方」「乾燥以外の固定方法」「染色前の注意点」「作成後の保管方法」など、作製から観察までの各ステップにおける品質管理の重要性。
関連知識
塗抹標本の良否を判定する基準(厚さ、長さ、尾部の状態、細胞分布など)。各種染色法(Wright-Giemsa染色など)とその前処理。血液検体の適切な取り扱い(抗凝固剤、保存条件など)。