末梢血細胞のMay-Giemsa染色標本(別冊No. 11A)とフローサイトメトリの所見(別冊No. 11B)を別に示す。考えられるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
下図のMay-Giemsa染色標本(図A)では、核クロマチンが凝集した小型の成熟リンパ球が多数認められます。また、細胞が破壊されたスミッジ細胞(シャドー細胞)も示唆されます。フローサイトメトリーの結果(図B)では、CD19, CD20といったB細胞系マーカーに加えて、通常T細胞系マーカーであるCD5と、濾胞性リンパ腫などで見られるCD23が陽性となっており、CD10とFMC7は陰性です。TdTも陰性であるため、急性リンパ性白血病は否定的です。これらの所見は、CD5陽性B細胞のクローン性増殖を特徴とする慢性リンパ性白血病(CLL)の診断基準と一致します。
選択肢ごとの解説
- 1. フローサイトメトリーの結果はTdT陰性であり、単球系マーカー(CD13, CD33)も陽性度が低く、単球性白血病の特徴とは一致しません。急性単球性白血病では、骨髄系マーカーであるCD13, CD33などが強く陽性となることが多いです。正しくは:急性単球性白血病では、May-Giemsa染色で芽球に強いエステラーゼ反応が認められ、フローサイトメトリーではCD13, CD33, CD64, CD14などの単球系マーカーが陽性となります。選びやすい理由:芽球のような細胞が観察されるため、急性白血病を疑うかもしれませんが、フローサイトメトリーのマーカーパターンが一致しません。混同注意:他の急性白血病と混同しやすいですが、急性白血病であればTdTが陽性に出るか、あるいは骨髄系マーカーがより顕著に陽性となります。
- 2. フローサイトメトリーでTdTが陰性であり、急性リンパ性白血病の特徴と異なります。急性リンパ性白血病では、リンパ芽球が増殖し、TdTは通常陽性となります。正しくは:急性リンパ性白血病ではTdTが陽性、さらにCD10, CD19, CD22などのB細胞系マーカー、またはCD2, CD3, CD5, CD7などのT細胞系マーカーが陽性となります。選びやすい理由:若年細胞の増加が見られるため、急性白血病を疑うかもしれませんが、TdT陰性が急性リンパ性白血病を否定します。混同注意:慢性リンパ性白血病と混同しやすいですが、急性リンパ性白血病では芽球が主体であり、慢性リンパ性白血病のような成熟リンパ球の増加とは異なります。
- 3. 成人T細胞白血病では、CD4陽性の成熟T細胞が増殖し、異型リンパ球(花弁状細胞など)が見られますが、本件のフローサイトメトリーではCD4はほとんど陽性ではなく、CD5, CD19, CD20が陽性であり、B細胞系の特徴を示しています。正しくは:成人T細胞白血病では、末梢血に異型リンパ球(花弁状細胞)が出現し、フローサイトメトリーではCD3, CD4, CD25が陽性となることが多いです。選びやすい理由:リンパ球系の疾患であるため、T細胞性の疾患と混同するかもしれませんが、フローサイトメトリーのマーカーが異なります。混同注意:他のリンパ増殖性疾患、特にT細胞性のものと混同しやすいですが、マーカーパネルで明確に区別されます。
- 4. 慢性骨髄単球性白血病では、単球の増加が顕著で、骨髄系と単球系の両方の形質を持つ特徴がありますが、本件のフローサイトメトリーでは単球系マーカーの陽性度が低く、CD19, CD20陽性の成熟B細胞の増加が見られ、この疾患の特徴とは一致しません。正しくは:慢性骨髄単球性白血病では、末梢血に単球が増加し(>1x10^9/L、かつ白血球の10%以上)、骨髄における単球の割合も増加します。フローサイトメトリーではCD14, CD33などの単球系マーカーが陽性となります。選びやすい理由:白血球の増加と異型細胞の存在から、慢性骨髄性白血病などの骨髄増殖性疾患を疑うかもしれませんが、リンパ系マーカーの陽性がこれを否定します。混同注意:他の骨髄増殖性疾患、特に慢性骨髄性白血病や骨髄異形成症候群と混同しやすいです。これらはリンパ系ではなく骨髄系の異常が主体です。
- 5. 正解。May-Giemsa染色で小型成熟リンパ球の増加(スミッジ細胞も示唆)、フローサイトメトリーでCD5, CD19, CD20, CD23が陽性であり、CD10陰性、FMC7陰性、TdT陰性という結果は、慢性リンパ性白血病(CLL)の診断基準と完全に一致します。特にCD5とB細胞マーカー(CD19, CD20)の共発現、およびCD23の陽性がCLLの最も特徴的な所見です。正しくは:(正答のため修正不要)選びやすい理由:(正答のため特になし)混同注意:リンパ腫と混同しやすいですが、末梢血への出現が主体であること、特定のマーカーパターン(CD5/CD19/CD20/CD23陽性、CD10陰性、FMC7陰性)で区別されます。
国試ポイント
慢性リンパ性白血病(CLL)の形態学的特徴(成熟リンパ球の増多、スミッジ細胞)と、フローサイトメトリーによる免疫学的形質(CD5, CD19, CD20, CD23陽性、CD10, FMC7陰性、TdT陰性)を正確に理解しているかが問われます。特にCD5とB細胞マーカーの共発現はCLLの診断において極めて重要です。
混同注意
他のリンパ増殖性疾患、特にマントル細胞リンパ腫(CD5陽性、CD23陰性、FMC7陽性)や濾胞性リンパ腫(CD10陽性、CD5陰性)との鑑別が重要です。急性リンパ性白血病(TdT陽性)や成人T細胞白血病(CD3, CD4, CD25陽性)とも鑑別が必要です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まずMay-Giemsa染色で細胞の形態(芽球か成熟細胞か、異型性)を把握し、次にフローサイトメトリーで各マーカーの陽性・陰性パターンを確認して、疾患特異的な組み合わせを見つけることが重要です。
関連知識
慢性リンパ性白血病(CLL)は、高齢者に多く見られるB細胞性のリンパ増殖性疾患で、末梢血、骨髄、リンパ節に成熟Bリンパ球が異常に増殖します。診断には形態学的所見、免疫学的所見(フローサイトメトリー)、遺伝学的所見(FISHなど)が総合的に用いられます。