自動血球計数測定値の誤差要因とその影響の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・5番
解説
自動血球計数装置では、検体中の異常成分や細胞形態の変化が測定結果に誤差をもたらすことがあります。寒冷凝集素は赤血球を凝集させ、個々の赤血球としてカウントされないため、赤血球数は偽低値となります。クリオグロブリンは低温で凝集し、その凝集塊が白血球と似たサイズとして検出されるため、白血球数は偽高値となります。一方で、巨大血小板は血小板数に偽低値、破砕赤血球は血小板数に偽高値、有核赤血球は白血球数に偽高値の影響を与えるため、それらの選択肢は誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。寒冷凝集素は赤血球を凝集させるため、自動血球計数装置では個々の赤血球として正確にカウントされず、結果として赤血球数が実際よりも低く測定される(偽低値)。同時に、凝集した赤血球の塊が大きな細胞として検出され、平均赤血球容積(MCV)が偽高値となることも多い。
- 2. 巨大血小板は、そのサイズから赤血球として誤ってカウントされるか、または血小板の計数閾値を超過しカウントされないことがあるため、血小板数は偽低値となる傾向がある。偽高値になることは通常考えられない。正しくは:巨大血小板は、自動血球計数装置で赤血球として誤計数されたり、カウントされなかったりすることで、血小板数が偽低値となる可能性がある。選びやすい理由:「巨大」という言葉から、何らかの理由でカウントが増加し、数値を押し上げるイメージを持つかもしれないが、実際は他の細胞種との誤計数や計数漏れによって影響が出る。混同注意:巨大血小板が赤血球として誤計数され、赤血球数が偽高値になるケースと混同する可能性がある。また、血小板塊が偽高値を引き起こす場合と混同するかもしれない。
- 3. 破砕赤血球(赤血球破砕片)は、血小板と同じような小さなサイズであるため、自動血球計数装置によって血小板として誤ってカウントされ、血小板数が偽高値となる。正しくは:破砕赤血球は、血小板として誤って計数され、血小板数が偽高値となる。選びやすい理由:「破砕」という言葉から、細胞が失われた結果として数値が低くなるという誤解を招くかもしれないが、これは計数誤差の話である。混同注意:実際の血小板減少症や、溶血により赤血球が減少する状況と混同する可能性がある。しかし、ここでは計数エラーが問われている。
- 4. 自動血球計数装置の多くは、細胞の核を白血球識別の主要な特徴とするため、有核赤血球を白血球として誤って認識し、結果として白血球数が偽高値となる。正しくは:有核赤血球は、白血球として誤って計数され、白血球数が偽高値となる。選びやすい理由:有核赤血球が白血球とは異なる細胞であるため、白血球数を正確に測れないことによって、漠然と「異常な値」になり、それが偽低値につながると考えるかもしれない。混同注意:有核赤血球補正後の白血球数(正しい値に近づく)と、補正前の(偽高値の)白血球数とを混同する可能性がある。
- 5. 正解。クリオグロブリンは低温で凝集する異常タンパク質であり、自動血球計数装置がこれを微粒子や細胞として誤ってカウントすることがある。特に白血球のサイズ領域に検出されることが多く、結果として白血球数が実際よりも高く測定される(偽高値)。
国試ポイント
自動血球計数装置における、特定の異常検体や成分が引き起こす測定値の誤差(偽高値・偽低値)とその対象となる血球の種類について、正確な知識が問われています。特に、誤った組み合わせや逆の影響(偽高値と偽低値の混同)を誘う選択肢に注意が必要です。
混同注意
自動血球計数装置の誤差要因は多岐にわたりますが、特に「偽高値」と「偽低値」のどちらになるのか、どの血球系に影響が出るのかが混同されやすい点です。また、似たような形態異常を持つ細胞が異なる影響を与える場合(例:破砕赤血球と巨大血小板)も混乱しやすいです。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず各選択肢の「誤差要因」がどのような物質や状態を指すのかを正確に理解します。次に、その要因が「どの血球成分」に「どのような影響」(偽高値か偽低値か)を与えるのかを判断します。特に、紛らわしい表現や逆の影響を示す選択肢に注意し、具体的な臨床検査の知識を応用して正誤を判断することが求められます。
関連知識
自動血球計数装置におけるその他の誤差要因として、フィブリン塊による血小板偽高値、赤血球数偽低値(MCV偽高値)、リポ蛋白(乳び)によるMCH/MCHC偽高値、溶血による赤血球数・ヘモグロビン量偽低値などが挙げられます。各誤差要因とその臨床的意義、および対処法(検体の加温、希釈、再検査、塗抹標本での確認など)も重要です。