疾患と超音波所見の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
大動脈弁狭窄症は左心室に圧負荷をかけるため、代償性に左心室壁は肥厚します。菲薄化は、長期にわたる心不全や他の病態で見られる所見であり、この組み合わせは誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. これは正しい組み合わせです。高血圧によって左心室に持続的な圧負荷がかかることで、心筋が内側に肥厚し、求心性肥大が起こります。これは代償機転として心臓が適応しようとする結果です。
- 2. これは正しい組み合わせです。心房中隔欠損症では、左心房から右心房へのシャントによって右心房への血流が増加するため、右心房は慢性的な容量負荷を受け拡大します。
- 3. これは正しい組み合わせです。僧帽弁狭窄症では、弁の交連部癒着や弁尖の肥厚・硬化により、拡張期に弁が完全に開かず、血流方向に向かってドーム状に突出する「ドーミング」という特徴的な所見がみられます。
- 4. 正解。これは誤った組み合わせです。大動脈弁狭窄症では、左心室が狭い弁口を通して血液を送り出すために過剰な圧負荷を受けるため、代償的に心筋が肥厚し、左心室壁は厚くなります。菲薄化は通常、長期にわたる心機能不低下や拡張型心筋症などで見られる所見であり、大動脈弁狭窄症の初期・中期の超音波所見としては適切ではありません。正しくは:左心室壁の肥厚選びやすい理由:弁膜症で心機能が低下すると最終的に心臓が拡大し、壁が薄くなるイメージを持つ受験生がいるかもしれないが、これは疾患の初期段階や主要な代償機転における所見ではない。また、他の弁膜症(例えば大動脈弁閉鎖不全症)では容量負荷による拡張が生じ、相対的に壁が薄く見えることもあるため、混同する可能性もある。混同注意:大動脈弁閉鎖不全症(容量負荷で左室が拡大し、壁が薄く見えることがある)や、拡張型心筋症(左室壁が菲薄化し、収縮能が低下する)と混同する可能性があります。
- 5. これは正しい組み合わせです。肺高血圧症により肺動脈圧が上昇すると、右心室は増大した圧負荷に耐えるため、代償的に心筋が肥厚し、やがて心室の拡大を引き起こします。
国試ポイント
心臓疾患における超音波所見の基本的な理解、特に心臓の各部位への負荷(圧負荷、容量負荷)とそれに対する心臓の適応(肥大、拡大、菲薄化など)の関連性を問う問題です。各疾患の病態生理と主要な超音波所見を正確に結びつける知識が求められます。
混同注意
心臓の「肥大」と「拡大」の違い、および「圧負荷」と「容量負荷」による形態変化のパターンが混同しやすいポイントです。特に、弁膜症の種類(狭窄症 vs 閉鎖不全症)によって心臓にかかる負荷の種類が異なり、その結果生じる形態変化も異なるため注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
同じ論点が出題された場合、他の弁膜症(大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症など)や心筋症における超音波所見(例:拡張型心筋症の左室拡大と壁菲薄化、肥大型心筋症の非対称性肥大)が正答肢として問われる可能性があります。また、先天性心疾患のより詳細な所見(シャントの方向、心室中隔欠損の部位など)も問われ得ます。
関連知識
心臓のポンプ機能、スターリングの法則、圧負荷と容量負荷による心筋のリモデリング(求心性肥大、遠心性肥大)、主要な弁膜症(大動脈弁狭窄症・閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症・閉鎖不全症)の病態生理と超音波所見、心筋症の種類(拡張型、肥大型、拘束型)とその特徴的な超音波所見。