心尖部長軸像(別冊No. 3)を別に示す。パルスドプラ法によるE/Aの計測部位はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
パルスドプラ法によるE/A比の計測は、左室拡張能を評価するために行われる。E波は左室早期拡張期流入血流、A波は左房収縮期流入血流を示し、これらは僧帽弁を通過して左室に流入する血流速度を反映する。そのため、サンプルボリュームは僧帽弁の弁尖先端のやや左室側に設定し、流入血流の主流を捉えることが重要である。提示された図では、②の位置がこの条件に最も合致している。
選択肢ごとの解説
- 1. 部位①は僧帽弁口の左室側であり、流入血流速波形(E波、A波)を測定する位置としては不適切である。通常、ドプラサンプルボリュームは僧帽弁輪から1〜2cm左室側、弁尖運動に妨げられない位置に置かれる。正しくは:E/A比の測定には、僧帽弁口の左室側、弁尖先端の少し左室側にサンプルボリュームを置く。選びやすい理由:僧帽弁の近くではあるため、一見正しい位置に見えるかもしれない。混同注意:左室流入血流速波形(E/A)の測定部位と、弁逆流や駆出路の血流測定部位とを混同する可能性がある。
- 2. 正解。部位②は僧帽弁の弁尖先端の少し左室側、かつ左室流入血流の流路に位置しており、パルスドプラ法で左室流入血流速波形(E波とA波)を測定するのに最も適切な部位である。これにより拡張期の心機能評価を行う。正しくは:この位置がE/A比測定の標準的なサンプルボリューム設置部位である。選びやすい理由:標準的な測定部位であり、迷わず選択できる。混同注意:特に混同するものはないが、他の弁や血管の血流測定部位と区別する必要がある。
- 3. 部位③は左室の心尖部寄りの位置であり、僧帽弁を通過した血流の主流から外れているため、E/A比を正確に測定するには不適切である。正しくは:E/A比測定には、僧帽弁口の直下にサンプルボリュームを置く必要がある。選びやすい理由:左室内の血流を測定する目的であるため、左室内のどこでも良いと誤解する可能性がある。混同注意:心臓内の血流であればどこでも同じ情報が得られると混同する可能性がある。
- 4. 部位④は右室内の位置であり、左室流入血流速波形であるE/A比を測定する目的とは異なる。右室流入血流は三尖弁を介して測定される。正しくは:左室流入血流を測定するには、左室内の僧帽弁口にサンプルボリュームを置く必要がある。選びやすい理由:心臓内の血流測定であるという点で、漠然と選択してしまう可能性がある。混同注意:左右の心腔内の血流測定が同じである、あるいは区別する必要がないと混同する可能性がある。
- 5. 部位⑤は左房内の位置であり、僧帽弁を通過する前の血流であるため、E/A比の測定には不適切である。左房内血流は通常、パルスドプラで直接評価されることは稀で、左房圧などを間接的に評価する際に肺静脈血流などが用いられる。正しくは:E/A比測定には、僧帽弁を通過した後の左室流入血流にサンプルボリュームを置く必要がある。選びやすい理由:僧帽弁の近くにあるため、関係する血流と見誤る可能性がある。混同注意:左房内の血流と左室への流入血流を混同する可能性がある。
国試ポイント
本問題は、心エコー検査におけるドプラ法を用いた血流速波形測定の基本的な知識、特に左室流入血流速波形(E/A比)の測定部位に関する理解を問うている。心腔の解剖学的構造と各血流の測定原理を正確に把握しているかがポイントとなる。
混同注意
僧帽弁逆流の測定部位や、大動脈弁、三尖弁などの他の弁の血流測定部位と混同しやすい。また、カラーフローイメージングとパルスドプラ法の使い分けについても知識が問われることがある。
次に同じ論点が出たら
次回同様の問題が出題された場合、まず『E/A比』が何を表すかを思い出し、次に『僧帽弁を通過した後の左室流入血流』を測るものであることを確認する。そして、提示された画像でその血流の主流がどこにあるかを判断する。左右の心腔、弁の上流・下流を明確に区別することが重要となる。
関連知識
E/A比は、正常な若年者ではE>Aであるが、加齢や拡張機能障害に伴いE<Aとなったり、拘束型では再びE>Aとなることがある。これらの病態生理学的意義と、拡張能評価における他のドプラ指標(組織ドプラによるe'、肺静脈血流など)についても関連知識として重要である。