腎前性急性腎不全の原因になるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
腎前性急性腎不全は、腎臓自体に器質的な障害がなく、腎臓への血流低下が原因で発症します。敗血症は、血管拡張や血管透過性の亢進により有効循環血液量が減少し、腎血流が低下するため、腎前性急性腎不全の主要な原因となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。敗血症は全身性の重篤な炎症反応であり、血管透過性の亢進や血管拡張により循環血液量が相対的に不足し、腎臓への血流量が減少することで腎前性急性腎不全を来します。
- 2. 尿管結石は尿路の閉塞を引き起こし、腎臓から膀胱への尿の流れを妨げることで水腎症などを介して腎後性急性腎不全を引き起こします。正しくは:尿管結石は腎後性急性腎不全の原因となります。選びやすい理由:腎臓に関連する疾患であるため、一見すると腎不全の原因になりそうに思えます。混同注意:腎前性、腎性、腎後性の分類を混同していると誤答しやすいです。
- 3. 前立腺肥大は尿道閉塞を引き起こし、結果として尿路の閉塞により尿が腎臓から排出されにくくなるため、腎後性急性腎不全の原因となります。正しくは:前立腺肥大は腎後性急性腎不全の原因となります。選びやすい理由:高齢男性に多い疾患で、排尿障害が腎機能に影響することは知られているため、腎不全の原因として選びやすいかもしれません。混同注意:腎前性、腎性、腎後性の分類が不明瞭な場合に間違えやすい選択肢です。
- 4. 急速進行性糸球体腎炎は、腎臓自体(糸球体)の炎症や損傷により腎機能が急速に低下する疾患であり、腎臓そのものに問題があるため腎性急性腎不全に分類されます。正しくは:急速進行性糸球体腎炎は腎性急性腎不全の原因となります。選びやすい理由:「急性腎不全」という言葉が含まれているため、直接的な原因のように見えます。混同注意:腎前性、腎性、腎後性の分類、特に「腎性」の概念と混同しやすいです。
- 5. 全身性エリテマトーデス(SLE)は自己免疫疾患であり、腎臓(特に糸球体)に炎症を引き起こすループス腎炎などを介して腎機能障害を来すため、腎性急性腎不全の原因となります。正しくは:全身性エリテマトーデス(SLE)は腎性急性腎不全の原因となります。選びやすい理由:SLEは全身疾患であり、様々な臓器障害を起こすことが知られているため、腎不全の原因として選びやすいです。混同注意:「腎性」の概念、特に全身疾患が腎臓に与える影響と腎前性との区別が曖昧な場合に誤答しやすいです。
国試ポイント
急性腎不全の病態生理学的分類(腎前性、腎性、腎後性)とその典型的な原因疾患を理解しているかが問われています。特に、各分類が腎臓のどの段階(前、中、後)の問題であるかを正確に把握することが重要です。
混同注意
腎前性急性腎不全の原因と、腎性(腎臓実質の問題)や腎後性(尿路閉塞)の急性腎不全の原因を混同しやすいです。特に、腎臓に関連する疾患すべてを「腎性」と捉えてしまわないよう注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、選択肢を見て「これは腎臓への血流が原因か(腎前性)」「腎臓そのものの病変か(腎性)」「尿の排出路が閉塞しているか(腎後性)」の3つの視点から判断できるかを確認します。
関連知識
腎前性急性腎不全の原因には、出血、脱水、心不全、肝硬変による循環不全、重度の全身性炎症(敗血症、アナフィラキシー)などが含まれます。治療には原因の除去と循環血液量の確保が重要です。腎性急性腎不全の原因には、糸球体腎炎、急性尿細管壊死、薬剤性腎障害などがあります。腎後性急性腎不全の原因には、尿路結石、前立腺肥大症、後腹膜線維症、腫瘍による尿路閉塞などがあります。