心房中隔欠損症の超音波検査においてみられやすいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
心房中隔欠損症では、左心房から右心房へのシャント血流により、右心系に容量負荷が生じます。この容量負荷によって右心室が拡張し、心室中隔が右心室側に押し出されるように動く「心室中隔の奇異性運動」が超音波検査で特徴的に観察されます。これは右室容量負荷の客観的な指標となります。
選択肢ごとの解説
- 1. これは肥大型心筋症(HCM)に特徴的な所見であり、心房中隔欠損症では通常みられません。正しくは:心房中隔欠損症では、右室の容量負荷により右室拡大や心室中隔の奇異性運動がみられることがあります。選びやすい理由:心臓の形態異常に関する選択肢であるため、一見関連性があるように見えるかもしれません。混同注意:肥大型心筋症の超音波所見と混同しやすいです。
- 2. 右室の拡張期における扁平化は、心嚢液貯留や収縮性心膜炎などで心臓が外から圧迫される場合にみられる所見です。心房中隔欠損症では、右室に容量負荷がかかるため、むしろ右室の拡大がみられます。正しくは:心房中隔欠損症では、左房から右房へのシャントによって右室に容量負荷がかかり、右室の拡大がみられます。選びやすい理由:心臓の変形に関する選択肢であり、病態との関連を推測してしまう可能性があります。混同注意:心タンポナーデや収縮性心膜炎の超音波所見と混同しやすいです。
- 3. 左室前壁の逆方向運動は、左冠動脈前下行枝領域の虚血や梗塞など、特定の心筋虚血疾患でみられる局所的な壁運動異常です。心房中隔欠損症の直接的な超音波所見ではありません。正しくは:心房中隔欠損症では、心室中隔全体の奇異性運動が特徴的です。選びやすい理由:壁運動異常という点で心臓病全般と結びつけやすいかもしれません。混同注意:虚血性心疾患による局所的な壁運動異常と混同しやすいです。
- 4. 正解。心房中隔欠損症では、左心系から右心系へのシャント血流により右室に容量負荷がかかります。これにより右室が拡張し、左室と右室を隔てる心室中隔が右室側に膨らむような動き(奇異性運動)を示すことが特徴的な超音波所見です。正しくは:この記述は正しいです。
- 5. 僧帽弁の収縮期前方移動(SAM: Systolic Anterior Motion)は、閉塞性肥大型心筋症に特徴的な所見で、左室流出路狭窄を引き起こします。心房中隔欠損症とは直接関連がありません。正しくは:心房中隔欠損症では、右室の容量負荷による心室中隔の動きが特徴的です。選びやすい理由:弁の動きに関する異常という点で、心臓病の症状として関連を想像しやすいかもしれません。混同注意:閉塞性肥大型心筋症の超音波所見と混同しやすいです。
国試ポイント
心房中隔欠損症の病態生理(右室容量負荷)と、それに伴う超音波所見(心室中隔の奇異性運動、右室拡大)を正確に理解しているかを問う問題です。各心疾患に特徴的な超音波所見を正確に区別できることが重要です。
混同注意
他の心疾患(肥大型心筋症、虚血性心疾患、心タンポナーデなど)に特徴的な超音波所見と混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、心房中隔欠損症の診断基準、重症度評価、およびそれに付随する他の超音波所見(例えば、右心系の拡大や肺高血圧の評価など)が問われる可能性があります。
関連知識
心房中隔欠損症の病態生理、シャント血流の方向と量、右室容量負荷の影響、そして各心疾患における主要な超音波所見(非対称性中隔肥厚、SAM、拡張期の右室平化、局所壁運動異常など)について理解しておく必要があります。