1秒率低下を特徴とするのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
1秒率(FEV1/FVC)は、努力性肺活量に対する1秒量の割合を示し、気道の狭窄度合いを評価する重要な指標です。この値が低下するということは、気道の閉塞によって呼出気流が制限されている状態、すなわち閉塞性換気障害を意味します。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、気管支の狭窄や肺胞の破壊により気流制限が生じる代表的な閉塞性換気障害であり、1秒率の低下がその診断基準の一つとなっています。
選択肢ごとの解説
- 1. 肺水腫は肺胞に液体が貯留する病態であり、主に拘束性換気障害を引き起こします。1秒量の低下は見られることがありますが、1秒率(FEV1/FVC)は比較的保たれるか、上昇することもあります。拘束性換気障害では、肺活量(FVC)が著しく低下するため、FEV1も低下しますが、FEV1/FVCの比率は相対的に維持される傾向にあります。正しくは:拘束性換気障害を主とし、1秒率は比較的保たれる。選びやすい理由:呼吸機能が障害される疾患であるため、一見すると選択肢として考えやすい。しかし、換気障害の種類を見極める必要がある。混同注意:閉塞性換気障害と拘束性換気障害の特徴
- 2. 肺切除後は、肺実質の減少により肺活量(FVC)が低下し、拘束性換気障害のパターンを示します。1秒量(FEV1)も低下しますが、1秒率(FEV1/FVC)は通常保たれるか、むしろ上昇することもあります。正しくは:拘束性換気障害を主とし、1秒率は比較的保たれる。選びやすい理由:肺の一部がなくなることで呼吸機能が低下するため、選択肢として考えやすい。しかし、これは肺容量の減少によるものであり、気道の狭窄によるものではない。混同注意:閉塞性換気障害と拘束性換気障害の原因
- 3. 間質性肺炎は、肺の間質組織が線維化することで肺の伸展性が低下し、拘束性換気障害を引き起こします。肺活量(FVC)が著しく低下し、1秒量(FEV1)も低下しますが、1秒率(FEV1/FVC)は正常範囲内か、上昇することが多いです。正しくは:拘束性換気障害を主とし、1秒率は比較的保たれる。選びやすい理由:進行性の呼吸器疾患であり、呼吸機能の重篤な障害を伴うため、閉塞性換気障害と誤解しやすい。混同注意:閉塞性換気障害と拘束性換気障害の疾患
- 4. 正解。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、気道の慢性的な炎症と狭窄により、呼気時に気流が制限される閉塞性換気障害の典型例です。このため、最初の1秒間に吐き出せる空気の量(1秒量, FEV1)が著しく低下し、肺活量(FVC)に対するその割合である1秒率(FEV1/FVC)も低下します。
- 5. 睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に上気道が閉塞することで呼吸が一時的に停止する病態ですが、覚醒時の肺機能検査では通常、明らかな閉塞性または拘束性換気障害のパターンを示しません。換気障害は二次的に起こる可能性はありますが、1秒率低下を特徴とする疾患ではありません。正しくは:主な特徴は睡眠中の無呼吸であり、覚醒時の肺機能検査では通常、換気障害を伴わない。選びやすい理由:呼吸に関連する疾患であるため、肺機能の異常を伴うと錯覚しやすい。混同注意:直接的な気流制限による換気障害と、間接的な呼吸調節の異常による呼吸障害
国試ポイント
この問題は、肺機能検査における主要な指標である「1秒率」が、どのような病態や疾患で低下するかを理解しているかを問うものです。特に、閉塞性換気障害と拘束性換気障害の基本的な鑑別が求められています。
混同注意
閉塞性換気障害と拘束性換気障害の具体的な疾患群、およびそれぞれの換気障害パターン(FEV1, FVC, FEV1/FVCの変動)
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出た場合、まず提示された疾患が「閉塞性換気障害」と「拘束性換気障害」のどちらに分類されるかを考えます。1秒率の低下は閉塞性換気障害の最も重要な特徴であることを想起し、その代表疾患を選びます。
関連知識
FEV1(1秒量)、FVC(努力性肺活量)、PEF(ピークフロー)、閉塞性換気障害、拘束性換気障害、混合性換気障害、気管支喘息、肺気腫、肺線維症、間質性肺炎、神経筋疾患による換気障害。