過呼吸賦活法開始前の脳波(別冊No. 7A)と開始2分後の脳波(別冊No. 7B)を別に示す。最も考えられるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
過呼吸賦活法は、脳血流を一時的に減少させ、脳の酸素不足を引き起こすことで、潜在的な脳波異常を顕在化させる検査です。特に、小児やてんかん患者においては、徐波活動の増強(buildup現象)やてんかん性放電の誘発が期待されます。下図Aの基礎脳波と比較して、下図Bの過呼吸賦活開始2分後の脳波で徐波活動が全般的に増強している所見は、典型的なbuildup現象を示しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 三相波は、肝性脳症などで見られるデルタ波帯域に属する高振幅の徐波で、通常は過呼吸賦活で誘発される所見とは異なります。正しくは:三相波は、高振幅で周期的な三相性の波形を示すもので、過呼吸賦活とは直接関連しない。選びやすい理由:脳波異常を示す選択肢の一つですが、過呼吸賦活に特有の反応ではありません。混同注意:他の種類の徐波と混同しやすいですが、三相波は特徴的な波形と背景疾患を持ちます。
- 2. 正解。過呼吸賦活法を行うと、脳血流の変化によって脳波の徐波活動が増強される現象をbuildup(ビルドアップ)と呼びます。特に小児やてんかん患者で顕著に見られ、てんかん診断の一助となります。下図Bで、過呼吸賦活後に徐波活動が増強している所見はbuilダップに合致します。正しくは:この選択肢は正しい。選びやすい理由:過呼吸賦活の効果として直接的に理解できるため、選択しやすい。混同注意:徐波の出現自体は他の疾患でも見られますが、過呼吸賦活による増強がポイントです。
- 3. 3Hz棘徐波複合は、典型的な欠神発作で特徴的に見られる脳波所見です。過呼吸賦活により誘発されやすいのは事実ですが、下図Bに示された脳波所見は、一般的な徐波活動の増強であり、明確な棘波とそれに続く徐波が3Hz周期で繰り返される特徴的な複合波形ではありません。正しくは:3Hz棘徐波複合は、棘波の後に徐波が続く特徴的な複合波形であり、欠神てんかんで見られる。選びやすい理由:過呼吸賦活で誘発されやすいてんかん性波形として代表的であるため、正しいと誤解されやすいです。しかし、図の所見は3Hz棘徐波複合の典型的パターンとは異なります。混同注意:過呼吸賦活で誘発されるてんかん波形として混同されやすいですが、波形の詳細が異なります。
- 4. ヒプスアリスミアは、West症候群(点頭てんかん)に特徴的な脳波で、高振幅で不規則な徐波と棘波が全般的に持続し、同期性の低い非常に乱れた脳波パターンを指します。下図Bの所見は、このような極端な乱れ方ではありません。正しくは:ヒプスアリスミアは、非常に高振幅で不規則な多焦点性棘徐波と徐波が持続する、West症候群に特有の脳波パターンである。選びやすい理由:重度のてんかん性脳波の一つであるため、選んでしまいやすいですが、特定の症候群と関連する非常に特徴的なパターンです。混同注意:他のてんかん性脳波と混同しやすいですが、その不規則性と重症度が特徴です。
- 5. 周期性同期性放電(PSD)は、クロイツフェルト・ヤコブ病などの特定の疾患で見られる、ほぼ規則的な間隔で出現する鋭波や棘波の複合です。過呼吸賦活によって誘発されるものではなく、また下図Bの脳波所見もPSDのパターンとは一致しません。正しくは:周期性同期性放電(PSD)は、鋭波や棘波が周期的に、ほぼ同期して出現するもので、クロイツフェルト・ヤコブ病などで見られる。選びやすい理由:深刻な疾患で見られる異常脳波であるため、誤って選択される可能性がありますが、過呼吸賦活との関連性や波形が異なります。混同注意:特定の疾患と関連する他の周期性脳波と混同しやすいです。
国試ポイント
脳波検査における賦活法の目的と、各賦活法で誘発される代表的な脳波所見を理解しているかが問われています。特に、過呼吸賦活によるbuildup現象やてんかん性放電の誘発は頻出です。画像から具体的な脳波所見を読み取り、適切な用語を選択する能力が求められます。
混同注意
過呼吸賦活で誘発されるてんかん性放電として、3Hz棘徐波複合と混同されやすいですが、画像所見がbuildupの典型的パターンである点に注目が必要です。
次に同じ論点が出たら
過呼吸賦活による脳波変化について問われた場合、まず徐波活動の全般的な増強(buildup)がないか、次いで特定のてんかん性放電(例:3Hz棘徐波複合)がないかを確認する。また、他の疾患に特徴的な波形ではないことを鑑別する。
関連知識
光刺激賦活法(PSD:photic driving reaction、光誘発てんかん発作)、睡眠賦活法(てんかん性放電の出現)、薬剤賦活法。それぞれの賦活法がどのような目的で行われ、どのような脳波変化を誘発するかを関連付けて学習すると良いでしょう。また、各疾患に特徴的な脳波所見(例:クロイツフェルト・ヤコブ病のPSD、West症候群のヒプスアリスミア、肝性脳症の三相波)も重要です。