病理解剖時に摘出された臓器のホルマリン固定後の肉眼写真(別冊No. 12)を別に示す。臓器はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
提示された肉眼像には、複数の気管支断端、肺組織特有の海綿状構造、および黒色色素沈着(アントラコーシス)が認められる。これらの特徴は、病理学的に肺と診断するための決定的な所見である。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。下図の臓器は、肺に特徴的な複数の気管支の断端、黒色色素沈着(アントラコーシス)、そして海綿状の組織構造を示している。これらは肺の肉眼所見と一致する。
- 2. 肝臓の肉眼像は、一般的に表面が滑らかで、均一な褐色を呈し、内部には特徴的な小葉構造が見られるが、図のような海綿状や気管支の構造は見られない。正しくは:肝臓は表面が滑らかで均一な褐色を呈し、小葉構造を示す。選びやすい理由:臓器の識別に不慣れな場合、色調だけで判断しようとすると混同する可能性がある。混同注意:他の実質臓器、特に解剖学的な特徴がはっきりしない標本と混同しやすい。
- 3. 腎臓の肉眼像は、ソラマメ形をしており、表面は平滑で、内部には皮質、髄質、腎盂といった明確な構造を持つ。図の構造とは大きく異なる。正しくは:腎臓はソラマメ形をしており、皮質、髄質、腎盂といった明確な構造を持つ。選びやすい理由:臓器の大きさが似ている場合、詳細な構造を無視して判断すると誤りやすい。混同注意:副腎や卵巣など、比較的小さな実質臓器と混同しやすい。
- 4. 膵臓は細長く、表面はやや不規則で、小葉構造を呈するが、図のような気管支の開口部や海綿状の組織は見られない。正しくは:膵臓は細長く、小葉構造を呈し、内部に主膵管がある。選びやすい理由:臓器の表面の不均一さから、他の臓器と誤解する可能性がある。混同注意:唾液腺など、腺構造を持つ臓器と混同しやすい。
- 5. 脾臓は楕円形で、均一な暗赤色を呈し、内部には赤脾髄と白脾髄がある。図の構造とは全く異なる。正しくは:脾臓は楕円形で、均一な暗赤色を呈し、内部には赤脾髄と白脾髄がある。選びやすい理由:リンパ系臓器であるため、免疫関連の病変を想起させるが、肉眼像は異なる。混同注意:リンパ節や胸腺など、他のリンパ系臓器と混同しやすい。
国試ポイント
この問題は、病理学における臓器の肉眼診断能力を評価する。特に、ホルマリン固定後の一般的な臓器の肉眼所見、特に肺の形態学的特徴(気管支、海綿状構造、アントラコーシス)を正確に識別できるかが問われている。臨床検査技師として、病理組織標本作製の前段階での正確な臓器同定は重要である。
混同注意
他の実質臓器、特に組織構造が不鮮明な標本や、一部が病変で変性している標本と混同しやすい。例えば、心臓の一部、腎臓、脾臓など、色調や大きさが似ているが内部構造が異なる臓器との鑑別が重要となる。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の問題が出た場合は、まず臓器の全体的な形、色調、表面の性状を確認し、次に内部構造(血管、管腔構造、実質の種類、病変の有無)を詳細に観察する。特に、今回の問題のように特徴的な管腔構造(気管支)や色調変化(アントラコーシス)がある場合は、それらを鑑別の決め手とする。
関連知識
肺の解剖学的構造(気管支、肺胞)、生理機能(ガス交換)、主な疾患(肺炎、肺癌、肺気腫、塵肺症)とそれに伴う肉眼・組織学的変化。特に、アントラコーシスは煤煙などの吸入によって生じるもので、肺の肉眼所見としてよく見られる。