夜間採血の新鮮血塗抹標本に検出された勢い良く動く虫体の写真(別冊No. 2)を別に示す。この寄生虫の感染経路はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
夜間採血の新鮮血塗抹標本で観察される活動性の高い虫体は、バンクロフト糸状虫やマレー糸状虫といったフィラリアのミクロフィラリアを強く示唆しています。これらのフィラリアは、媒介昆虫である蚊(主にイエカやヤブカ)に刺されることで、蚊の体内で発育した感染性幼虫が皮膚を通して人体に侵入し感染が成立します。この感染形式は「経皮感染」と呼ばれます。
選択肢ごとの解説
- 1. フィラリア症の原因となる寄生虫は、主に蚊を介して感染します。蚊が媒介する寄生虫は、通常、幼虫が皮膚から侵入することで感染が成立します。正しくは:フィラリアの感染経路は経皮感染です。選びやすい理由:寄生虫の中には経口感染するものも多いため、混同しやすいです。混同注意:回虫や日本住血吸虫(終宿主への感染は経皮だが、中間宿主からの放出は水介在)など、経口感染する寄生虫と混同する可能性があります。
- 2. 正解。夜間採血の新鮮血塗抹標本で検出され、活発に動く虫体は、バンクロフト糸状虫やマレー糸状虫などのフィラリア(ミクロフィラリア)を示唆しています。これらのフィラリアは、主に蚊に刺されることによって、蚊の唾液腺から感染性幼虫が皮膚を通して人体に侵入します。これは典型的な経皮感染の形式です。
- 3. 経気管感染は、通常、虫卵や幼虫が経口摂取された後、消化管から肺へ移行し、気管を上って再度嚥下されるという経路(例: 回虫)を指します。フィラリアの感染経路とは異なります。正しくは:フィラリアの感染経路は経皮感染です。選びやすい理由:肺を介する感染経路も存在するため、一部の寄生虫と混同する可能性があります。混同注意:回虫や鉤虫など、経口摂取後に気管・肺を経由する経路を持つ寄生虫と混同する可能性があります。
- 4. 経胎盤感染(母子垂直感染)は、母親から胎児へ直接感染が起こる経路で、トキソプラズマなどが知られています。フィラリアではこの経路は一般的ではありません。正しくは:フィラリアの感染経路は経皮感染です。選びやすい理由:一部の感染症では母子感染が重要なため、この選択肢が誤答と判断しにくい場合があります。混同注意:トキソプラズマやサイトメガロウイルスなど、経胎盤感染する病原体と混同する可能性があります。
- 5. 性行為感染は、クラミジア、淋菌、梅毒など、特定の病原体に限られた感染経路です。フィラリアが性行為によって感染することはありません。正しくは:フィラリアの感染経路は経皮感染です。選びやすい理由:一般的な感染経路として知られているため、可能性を考慮してしまうかもしれません。混同注意:トリコモナスやHIVなど、性行為感染症の病原体と混同する可能性があります。
国試ポイント
本問題は、画像からフィラリア(ミクロフィラリア)を同定させ、その主要な感染経路を問うものです。寄生虫学では、主要な寄生虫の種類、検出方法、そして感染経路をセットで理解していることが重要となります。特に、媒介動物を介する感染症では、その媒介動物と感染経路が頻繁に問われます。
混同注意
寄生虫の感染経路は多様であり、経口感染、経皮感染、媒介動物(昆虫など)を介する感染、母子感染、性行為感染などがあります。特に、線虫類の中には経口感染するもの(回虫)と経皮感染するもの(鉤虫、フィラリア)があるため、それぞれを混同しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず画像から寄生虫の種類を特定する。特に、血液中に見られる動く虫体であることからフィラリアを連想する。次に、その寄生虫のライフサイクルと、どの段階の幼虫がどのように人体に侵入するかを考える。蚊媒介の寄生虫は経皮感染が多いことを念頭に置く。
関連知識
フィラリア症は、バンクロフト糸状虫、マレー糸状虫、ロア糸状虫などが原因となる熱帯・亜熱帯地域に多い疾患です。ミクロフィラリアは末梢血中に出現する周期性があり、バンクロフト糸状虫やマレー糸状虫は夜間に多く出現するため、夜間採血が診断に用いられます。成虫はリンパ管や皮下組織に寄生し、リンパ浮腫や象皮病などの症状を引き起こします。