腎不全で起こる電解質異常はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
腎不全では、腎臓による電解質排泄・再吸収機能が広範囲にわたって障害されます。特にリンの排泄は腎機能低下に伴い著しく低下するため、高リン血症は腎不全患者に特徴的に見られる電解質異常の一つです。同時に、リンの増加はカルシウムとの結合を促進し、活性型ビタミンDの産生も低下させるため、低カルシウム血症を招き、さらには二次性副甲状腺機能亢進症を引き起こすこともあります。カリウムやマグネシウムも腎排泄が主であるため、腎不全では高カリウム血症や高マグネシウム血症をきたしやすいです。
選択肢ごとの解説
- 1. 腎不全では、活性型ビタミンDの産生低下とリン排泄障害により低カルシウム血症を起こしやすくなります。二次性副甲状腺機能亢進症により一過性に正常〜高値になることもありますが、原発性の高カルシウム血症とは異なります。正しくは:低カルシウム血症選びやすい理由:副甲状腺機能亢進症との関連を考えると、一部の病態でカルシウム値が上昇することがあるため、迷う可能性があります。混同注意:原発性副甲状腺機能亢進症による高カルシウム血症と、腎不全に伴う二次性副甲状腺機能亢進症を混同しやすいです。後者では低カルシウム血症が先行し、その代償としてPTHが上昇する結果、骨からのカルシウム動員は増えるものの、血中カルシウムは正常範囲内あるいは軽度低下が多いです。
- 2. 腎不全では、水排泄能力の障害により低ナトリウム血症を起こしやすいです。ただし、脱水が重度の場合や適切な水分摂取が行われない場合には高ナトリウム血症を呈することもありますが、一般的に腎不全で特徴的に起こる電解質異常としては低ナトリウム血症が挙げられます。正しくは:低ナトリウム血症選びやすい理由:浮腫が見られるため、体液量が多いことを連想し、ナトリウムも高いと誤解する可能性があります。しかし、体液量と血中ナトリウム濃度は直接的に比例するわけではありません。混同注意:体液量の増加とナトリウム濃度の増加を混同しやすいです。腎不全では体液量が増加して浮腫が見られることが多いですが、これは水の貯留が主な原因で、ナトリウム濃度自体は希釈されて低くなる傾向があります。
- 3. 正解。腎不全では、腎臓からのリン排泄能力が著しく低下するため、血液中のリン濃度が上昇し、高リン血症をきたします。これは腎不全の代表的な電解質異常の一つです。選びやすい理由:腎臓がリンを排泄する臓器であることを理解していれば、正しい選択肢として選びやすいです。混同注意:特にありません。腎機能とリン排泄の関係は基礎知識として重要です。
- 4. 腎不全では、腎臓からのカリウム排泄能力が低下するため、カリウムが体内に蓄積しやすく、高カリウム血症をきたします。特に末期腎不全で顕著です。正しくは:高カリウム血症選びやすい理由:利尿薬の使用などでカリウム排泄が促進される病態と混同する可能性があります。腎不全では、通常カリウムは体内に蓄積します。混同注意:腎臓のカリウム排泄機能が損なわれると、体外へのカリウム排出が減少し、血中のカリウム濃度が上昇します。低カリウム血症は、腎尿細管機能異常(例: Bartter症候群, Gitelman症候群)や原発性アルドステロン症などで見られます。
- 5. 腎不全では、腎臓からのマグネシウム排泄能力が低下するため、血中マグネシウム濃度が上昇し、高マグネシウム血症をきたすことがあります。特にマグネシウム含有制酸薬などの摂取で悪化しやすいです。正しくは:高マグネシウム血症選びやすい理由:他の電解質異常と同様に、排泄障害が起きるため、高値になることを理解していれば選択肢から除外できます。しかし、マグネシウムの代謝経路に対する知識が曖昧だと迷う可能性があります。混同注意:低マグネシウム血症は、消化管吸収不良や利尿薬の使用、アルコール依存症などで見られます。腎不全ではむしろ排泄が障害されるため、高値になります。
国試ポイント
腎不全における主要な電解質異常(特にリン、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム)とその病態生理を正確に理解しているかを問う問題です。各電解質の腎臓での処理と、それが腎機能低下時にどのように変化するかを把握しているかが重要になります。
混同注意
各電解質の正常値や、他の疾患で生じる電解質異常と混同しないように注意が必要です。特に、腎不全によるカルシウム代謝異常は複雑であり、低カルシウム血症が先行し、その結果として二次性副甲状腺機能亢進症が起こるという機序を理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、腎臓が各電解質(Na, K, Ca, P, Mg)に対してどのような役割(排泄、再吸収、活性化など)を担っているかをまず確認し、腎機能低下がその役割にどのような影響を与えるかを考えることで正答にたどり着けます。特に、腎機能低下がリン排泄を阻害し高リン血症を引き起こすことは基本的かつ重要な知識です。
関連知識
腎不全の病態生理、電解質の体内動態、活性型ビタミンDの代謝、副甲状腺ホルモンの生理作用、高リン血症・高カリウム血症が引き起こす合併症(例:心停止、血管石灰化など)。