薬剤感受性検査でスキップ現象が認められたため再検査を行った。初回と再検査の微量液体希釈法の結果(別冊No. 14)を別に示す。最小発育阻止濃度〈MIC値〉[μg/mL]はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
薬剤感受性試験の最小発育阻止濃度(MIC値)は、細菌の発育を阻止する最小の抗菌薬濃度を指します。微量液体希釈法では、発育が認められない最も低い抗菌薬濃度がMIC値となります。スキップ現象が見られた場合は、再試験の結果を優先し、発育が認められず、かつそれより高濃度側で全て発育しない(または発育しないウェルが連続する)という条件を満たす濃度がMIC値となります。本問の再試験では、8 μg/mLのウェルで非発育が確認され、これが発育を阻止した最小の濃度であるため、8 μg/mLがMIC値と判断されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 0.5 μg/mLでは初回試験では非発育ですが、再試験では発育が認められており、MIC値の定義を満たしません。選びやすい理由:初回試験で非発育であったため、MIC値候補として見られやすいですが、再試験の結果を優先する必要があります。混同注意:初回試験の結果を優先してしまうこと。また、発育と非発育の判断基準。
- 2. 1 μg/mLでは初回試験では非発育ですが、再試験では発育が認められており、MIC値の定義を満たしません。選びやすい理由:初回試験で非発育であったため、MIC値候補として見られやすいですが、再試験の結果を優先する必要があります。混同注意:初回試験の結果を優先してしまうこと。また、発育と非発育の判断基準。
- 3. 4 μg/mLでは初回試験では発育ですが、再試験では発育が認められており、MIC値の定義を満たしません。選びやすい理由:再試験で発育が認められるため、MIC値としては不適切です。混同注意:MIC値は発育を阻止する最小濃度であるという定義を忘れてしまうこと。
- 4. 正解。再試験の結果を見ると、0.06、0.12、0.25、0.5、1、2、4 μg/mLのウェルでは発育が認められ、8 μg/mLのウェルで初めて非発育が確認されます。この8 μg/mLが発育を阻止した最小の濃度であるため、MIC値は8 μg/mLです。
- 5. 再検査では8 μg/mLのウェルで発育が阻止されているため、MICは8 μg/mLです。「>8」は8 μg/mLでも発育した場合の表記なので誤りです。正しくは:MIC値は8 μg/mLです。選びやすい理由:最も高濃度である8 μg/mLが非発育であったため、これより高濃度側も非発育であるという一般的な理解から「>」を選びやすいかもしれませんが、この試験では8 μg/mLで発育が阻止されているため、その値がMICとなります。混同注意:MIC値が測定範囲を超えていた場合に「>最高濃度」と報告するルールと、具体的なMIC値が特定できた場合の区別。
国試ポイント
薬剤感受性試験におけるMIC値の正確な判定方法、特にスキップ現象発生時の対処法。
混同注意
スキップ現象発生時に、初回試験の結果や、発育を示すウェルが途中に挟まっている状態をMIC値と誤って判断しやすい。また、非発育の最も低い濃度を選ぶ際に、その高濃度側に発育ウェルがないかを確認し忘れる。
次に同じ論点が出たら
同様のスキップ現象を含む薬剤感受性試験問題が出題された場合は、まず「再試験の結果」を確認し、次に「発育が阻止されている中で最も低い抗菌薬濃度」がどこであるか、そしてその高濃度側に「発育しているウェルがないか」を慎重に確認してMIC値を判断します。
関連知識
MIC値は臨床において薬剤選択の重要な指標となります。薬剤感受性試験の方法には、微量液体希釈法の他に、Eテスト法やディスク拡散法などがあります。スキップ現象は、薬剤の安定性、菌液濃度、培地成分、接種菌量、培養条件の不均一性、あるいは特定の薬剤と細菌の組み合わせによって生じる可能性があります。