子宮頸部細胞診のPapanicolaou染色標本(別冊No. 10)を別に示す。Bethesdaシステムによる判定はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
下図の子宮頸部細胞診標本では、多数の異型細胞が認められる。これらの細胞は、核の著明な腫大、細胞質に対する核の比率(N/C比)の高度な上昇、不整な核縁、核クロマチンの濃染と粗剛化といった特徴を示している。これらの所見は、BethesdaシステムにおけるHSIL(High-grade Squamous Intraepithelial Lesion、高度扁平上皮内病変)の診断基準に合致する。特に核の異型度が非常に高く、LSILの範疇を超える。また、腺癌に特徴的な細胞の重積や羽毛状配列などは認められないため、Adenocarcinomaとは鑑別できる。
選択肢ごとの解説
- 1. 細胞異型が明らかに認められ、NILM(Negative for Intraepithelial Lesion or Malignancy)ではない。正しくは:この細胞は明らかに異型性を示しているため、NILMとは判定できない。選びやすい理由:正常な細胞像とはかけ離れているため、NILMを選ぶ可能性は低い。混同注意:正常細胞や反応性変化を伴うNILMと混同することはない。
- 2. 異型細胞の核/細胞質比の増大や核の濃染が著しく、ASC-US(Atypical Squamous Cells of Undetermined Significance)よりも悪性の可能性が高い所見である。LSILを示唆する細胞学的特徴も超えている。正しくは:異型性がASC-USの基準を大きく超えており、より重度の病変が疑われる。選びやすい理由:重度の異型を見慣れていない場合、軽度と判断してしまうかもしれないが、核の異型が強い。混同注意:ASC-USはより軽度の異型を示す場合に用いる。
- 3. 下図の細胞は核/細胞質比が著しく増大し、核の不整や濃染が非常に強く、LSIL(Low-grade Squamous Intraepithelial Lesion)に特徴的な軽度の異型を大幅に超えている。HSILに合致する所見である。正しくは:細胞の異型性がLSILの基準を明らかに超えており、HSILに分類されるべきである。選びやすい理由:LSILも異型細胞を示すため選択肢として考慮されるかもしれないが、核異型の程度が異なる。混同注意:LSILは核の軽度な異型と空胞形成細胞(コイロサイト)を特徴とするが、この画像は核異型がより顕著である。
- 4. 正解。下図の細胞は、核の著明な増大、核/細胞質比の高度な上昇、不整な核膜、核クロマチンの濃染と粗剛化といった特徴を明確に示している。これらはBethesdaシステムにおけるHSIL(High-grade Squamous Intraepithelial Lesion)の診断基準と完全に一致する。選びやすい理由:HSILとAdenocarcinomaを混同する可能性もあるが、核の形態や細胞の配列などから扁平上皮系の異型と判断できる。混同注意:Adenocarcinomaと混同しないように、扁平上皮由来の特徴を正確に把握する必要がある。
- 5. 下図の細胞は扁平上皮由来の異型を示しており、腺癌に典型的な核の重積、羽毛状配列、細胞質の空胞化などの特徴は見られない。正しくは:細胞の形態から扁平上皮性病変と判断されるため、腺癌ではない。選びやすい理由:重度の異型性を示すため、腺癌の可能性を疑うかもしれないが、細胞形態が扁平上皮系である。混同注意:扁平上皮内病変と腺癌の細胞形態的特徴の違いを理解しておく必要がある。
国試ポイント
Bethesdaシステムによる子宮頸部細胞診の診断基準、特にHSILの細胞学的特徴を正しく識別できるかが問われている。核の大きさ、核/細胞質比、クロマチンの性状、核膜の不整といった主要な異型所見を正確に判断することが重要である。
混同注意
LSILとHSILの鑑別、またHSILと腺癌の鑑別。特に、核異型の程度を正確に評価することが求められる。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず核の大きさ、核/細胞質比、核クロマチンの状態(濃染、粗剛化)、核膜の不整といった異型所見の程度を総合的に評価する。特に、これらの所見が「高度」であるかどうかに着目し、LSILとの鑑別点を明確に把握する。同時に、腺癌に特異的な細胞形態(重積、羽毛状、空胞など)の有無を確認し、腺癌との鑑別を行う。
関連知識
子宮頸癌検診の重要性、子宮頸部細胞診におけるPapanicolaou染色の基本、Bethesdaシステムの各カテゴリーの診断基準(NILM, ASC-US, LSIL, HSIL, SCC, AGC, Adenocarcinomaなど)。コイロサイトの形態、核/細胞質比の評価。