尿沈渣の無染色標本(別冊No. 1A)及びSternheimer染色標本(別冊No. 1B)を別に示す。矢印が示す構造物はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
下図Aの無染色標本では、円柱の内部に粗大で不均一な顆粒が多数認められます。下図BのSternheimer染色標本では、これらの顆粒が青紫色に染まっており、これは変性した細胞成分やタンパク質が凝集した顆粒円柱の特徴です。顆粒円柱は、腎疾患、特に糸球体腎炎や腎盂腎炎、急性尿細管壊死などで見られる病的な円柱です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。顆粒円柱は、変性した細胞やタンパク質が顆粒状になって円柱内に取り込まれたものです。無染色標本では粗大な顆粒が認められ、Sternheimer染色標本では細胞成分が青紫色に染まります。画像Aでは粗大な顆粒が多数見られ、画像Bではこれらが青紫色に染まっていることから顆粒円柱と判断できます。正しくは:この選択肢は正しいです。選びやすい理由:他の円柱との区別が曖昧だと迷う可能性があります。特に硝子円柱や上皮円柱との混同に注意が必要です。混同注意:硝子円柱は通常透明で顆粒は見られず、上皮円柱は上皮細胞の核が明瞭に見える点で異なります。
- 2. 脂肪円柱は、脂肪滴を多く含む上皮細胞などが円柱内に取り込まれたもので、偏光顕微鏡下でマルタ十字を呈する脂肪球が特徴的です。本画像では顆粒状の物質は認められますが、脂肪滴やマルタ十字は見られません。正しくは:脂肪円柱では、円柱内に脂肪滴(偏光顕微鏡でマルタ十字)が見られます。選びやすい理由:腎疾患によっては脂肪円柱も出現するため、可能性として考えるかもしれませんが、形態学的特徴が異なります。混同注意:顆粒と脂肪滴は形態が全く異なります。脂肪滴は光沢があり、円形または楕円形をしています。
- 3. 硝子円柱は、主にTamm-Horsfall蛋白から構成され、透明で均一な構造を持つため「硝子」と呼ばれます。画像Aでは内部に粗大な顆粒が明瞭に認められるため、硝子円柱ではありません。正しくは:硝子円柱は透明で内部構造がほとんど見られません。選びやすい理由:円柱構造自体は共通ですが、内部の所見が異なります。混同注意:顆粒がほとんどない場合は硝子円柱、顆粒が認められる場合は顆粒円柱やその他の細胞性円柱を疑います。
- 4. 上皮円柱は、尿細管上皮細胞が円柱内に取り込まれたもので、個々の細胞の核が比較的明瞭に見えることが多いです。本画像では細胞そのものよりも、変性した顆粒が主体をなしており、上皮細胞がそのままの形で多数含まれているようには見えません。正しくは:上皮円柱では、個々の尿細管上皮細胞が明確に視認できます。選びやすい理由:顆粒円柱は上皮細胞が変性したものからできることもあるため、上皮円柱との関連で迷うかもしれませんが、より変性が進んだ状態が顆粒円柱です。混同注意:上皮円柱は細胞の輪郭や核が比較的保たれていますが、顆粒円柱では細胞が崩壊し顆粒状物質になっています。
- 5. 赤血球円柱は、赤血球が円柱内に取り込まれたもので、赤褐色を呈し、個々の赤血球が確認できるか、あるいは変性して影のように見えることがあります。画像Aでは赤血球の形態は認められず、顆粒状の物質が主体です。正しくは:赤血球円柱では、円柱内に赤血球が確認できます。選びやすい理由:重度の腎疾患で出現する円柱であるため、鑑別疾患によっては考慮されるかもしれませんが、形態が異なります。混同注意:赤血球円柱は赤血球特有の形態または赤褐色を呈しますが、画像は顆粒状物質を示しています。
国試ポイント
尿沈渣の主要な円柱(硝子円柱、顆粒円柱、上皮円柱、赤血球円柱、脂肪円柱、蝋様円柱など)の形態学的特徴と、無染色標本およびSternheimer染色などの染色標本での見え方を理解しているかどうかが問われる。特に、顆粒円柱は腎実質障害の指標として重要である。
混同注意
硝子円柱と顆粒円柱は、内部の顆粒の有無や程度で区別する。上皮円柱と顆粒円柱は、細胞の原型が保たれているか、顆粒状に変性しているかで区別する。
次に同じ論点が出たら
もしこの所見が観察された場合、患者の腎機能マーカー(eGFR, クレアチニンなど)や尿蛋白、尿潜血などの他の検査結果と総合的に判断し、腎疾患の種類や重症度をさらに詳細に評価する必要がある。
関連知識
尿沈渣の円柱は、腎臓の尿細管内で形成されるため、腎臓病の診断に非常に重要な情報を提供する。顆粒円柱は、一般的に腎臓の障害が比較的重度であることを示唆する。Sternheimer染色液は、細胞の核や顆粒を青紫色に染め、細胞成分の同定を助ける。