血漿鉄消失時間が延長するのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
血漿鉄消失時間(Plasma Iron Turnover Time: PITT)は、血漿中に投与された放射性同位体標識鉄が血漿中から消失する速度を評価する検査です。この時間が延長するということは、血漿中の鉄が細胞に取り込まれにくく、利用されにくい状態を示します。再生不良性貧血では、骨髄の造血機能が著しく低下しているため、鉄が赤芽球に利用されず血漿中に停滞し、その結果、消失時間が延長します。
選択肢ごとの解説
- 1. 溶血性貧血では赤血球の破壊が亢進し、ヘモグロビンから鉄が遊離するため、鉄の利用は促進されます。血漿鉄消失時間は短縮します。正しくは:溶血性貧血では血漿鉄消失時間は短縮する。選びやすい理由:貧血であるため鉄の代謝に異常があると思いやすいが、鉄の需要と供給のバランスを理解することが重要。混同注意:鉄欠乏性貧血や再生不良性貧血との病態生理学的違い。
- 2. 鉄欠乏性貧血では、体内の鉄貯蔵が不足しているため、赤芽球への鉄供給が促進されます。血漿鉄消失時間は短縮します。正しくは:鉄欠乏性貧血では血漿鉄消失時間は短縮する。選びやすい理由:鉄の欠乏と聞いて消失時間が延長すると誤解しやすいが、鉄が不足しているため速やかに利用される。混同注意:鉄欠乏性貧血と、鉄利用障害を伴う再生不良性貧血の鑑別。
- 3. 巨赤芽球性貧血では、DNA合成障害により無効造血が起こります。鉄の利用は効率的ではないものの、赤血球の産生が低下するため、鉄は比較的蓄積しやすくなりますが、血漿鉄消失時間は正常〜やや延長にとどまります。著しい延長は見られません。正しくは:巨赤芽球性貧血では血漿鉄消失時間は正常〜やや短縮を示すことが多い。選びやすい理由:貧血の一種であり、造血異常を伴うため鉄代謝に異常があると思われやすい。混同注意:溶血性貧血や再生不良性貧血との鉄利用の違い。
- 4. 正解。再生不良性貧血では、骨髄の造血幹細胞が障害され、赤血球の産生が著しく低下します。体内に供給された鉄は、利用されるべき赤芽球が少ないため血漿中に留まり続け、結果として血漿からの消失時間が延長します。
- 5. 真性赤血球増加症では、赤血球の過剰な産生が見られます。赤血球産生が亢進しているため、鉄の需要が増加し、血漿からの鉄消失時間は短縮します。正しくは:真性赤血球増加症では血漿鉄消失時間は短縮する。選びやすい理由:赤血球が増える病気なので、鉄の利用がどうなるか判断に迷いやすい。混同注意:赤血球減少性の貧血との鉄代謝の違い。
国試ポイント
鉄代謝に関連する検査値と各疾患との関連性を問う問題です。特に、血漿鉄消失時間(PITT)がどのような病態で延長・短縮するかを理解しているかが重要です。PITTは造血活性と相関し、造血能が低下すると延長し、亢進すると短縮します。
混同注意
血漿鉄濃度、総鉄結合能(TIBC)、不飽和鉄結合能(UIBC)、フェリチンなどの他の鉄代謝指標と混同しやすい。これらの指標はそれぞれ異なる鉄の状態を反映する。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず血漿鉄消失時間が「延長」か「短縮」かを確認し、それが「鉄の利用が促進されているか抑制されているか」を意味することを思い出す。次に、各選択肢の疾患が「造血機能」や「鉄の需要」にどう影響するかを判断する。
関連知識
鉄代謝の主な指標: ・血清鉄(Fe):血中の鉄量 ・総鉄結合能(TIBC):トランスフェリンが結合できる総鉄量 ・不飽和鉄結合能(UIBC):トランスフェリンが結合していない鉄結合部位 ・トランスフェリン飽和度(TSAT):血清鉄/TIBC × 100 ・フェリチン:鉄貯蔵蛋白 ・血漿鉄消失時間(PITT):鉄の利用速度の指標。造血活性と逆相関。 各種貧血におけるこれらの指標の変化をまとめて理解することが重要。