溶解反応を原理とする検査はどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4・5番
解説
血清補体価〈CH〉測定とDonath-Landsteiner試験は、いずれも補体の活性や特定の抗体(溶血素)が赤血球に作用し、その膜を破壊して内容物を放出させる『溶血反応(溶解反応)』を直接的に検出・評価する検査です。一方、他の選択肢である寒冷凝集反応、RPRカードテスト、直接抗グロブリン試験は、抗原抗体反応の結果として粒子や細胞が互いに結合し塊を作る『凝集反応』を原理としています。
選択肢ごとの解説
- 1. この検査は、特定の抗体(寒冷凝集素)が低温下で赤血球に結合し、赤血球同士を凝集させる現象を利用します。細胞の溶解は起こりません。正しくは:凝集反応を原理とします。選びやすい理由:血液検査であり、一部の溶血性貧血の原因となる可能性があるため、溶血反応と混同しやすいかもしれません。混同注意:『溶血性貧血』という言葉から、検査自体が溶血を原理とするものだと誤解されることがあります。
- 2. この検査は、梅毒の診断に用いられ、トレポネーマ感染で生じるリエジン抗体と、カルジオリピン抗原が感作されたカーボン粒子が反応して凝集塊(フロキュレーション)を形成する現象を利用します。細胞の溶解は伴いません。正しくは:凝集(フロキュレーション)反応を原理とします。選びやすい理由:免疫学的な反応を利用する検査であるため、他の免疫反応と区別がつきにくい可能性があります。混同注意:梅毒の診断には様々な免疫学的検査があり、それらの原理を混同しやすいです。
- 3. この検査は、患者の赤血球表面に結合している抗体や補体を、抗ヒトグロブリン血清を用いて検出するものです。抗体が結合した赤血球同士が凝集する現象を観察することで陽性を判断するため、細胞の溶解は原理ではありません。正しくは:凝集反応を原理とします。選びやすい理由:免疫性溶血性貧血の診断に広く用いられるため、『溶血』という言葉からこの検査も溶血反応を原理とすると誤解されやすいです。混同注意:免疫性溶血性貧血の診断に用いられる検査ですが、溶血を起こしている赤血球に結合した抗体を検出する際の原理は凝集です。間接抗グロブリン試験も同様に凝集反応です。
- 4. 正解。この検査は、感作赤血球(抗体でコーティングされた赤血球)を既知量加え、検体中の補体がその赤血球をどの程度溶血させるかを測定します。したがって、補体による細胞の溶解(溶血)が直接的な原理です。
- 5. 正解。この検査は、発作性寒冷ヘモグロビン尿症の原因となるDonath-Landsteiner抗体(二相性溶血素)を検出するために用いられます。この抗体は低温で赤血球に結合し、体温近くで補体の存在下で赤血球を溶血させるため、細胞の溶解(溶血)が原理となります。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験では、免疫血清学検査の基本的な原理(凝集、沈降、溶血、酵素免疫、蛍光免疫など)と、それぞれの検査がどのような疾患の診断に用いられるかという知識が頻繁に問われます。特に、類似した名称や用途を持つ検査が多い分野であるため、各検査の根本原理を正確に理解しているかが重要です。
混同注意
免疫学的検査には「凝集反応」を利用するものが非常に多いため、「溶血反応」を原理とする検査との区別が曖昧になりやすいです。また、特定の疾患(例:溶血性貧血)の診断に関連する検査であっても、その原理が必ずしも溶血であるとは限らない点も混同しやすい原因となります。
次に同じ論点が出たら
次回は、沈降反応、蛍光抗体法、酵素免疫測定法(EIA/ELISA)などの異なる原理を利用する検査と、それぞれの具体的な応用例や測定対象物質の組み合わせについて問われる可能性があります。また、各検査の適切な検体や注意点なども重要です。
関連知識
溶血反応を原理とするその他の検査としては、溶血素価(ASLOなど、ただし現在ASLOはラテックス凝集法が主流)、補体の代替経路活性測定(AP50)などがあります。凝集反応を原理とする検査には、血液型判定、CRP定量、RAテスト、ASO定量、梅毒血清反応(TPHA、RPR)、直接・間接抗グロブリン試験、寒冷凝集反応など非常に多くの種類があります。