糞便検査で虫卵が検出されるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・5番
解説
日本住血吸虫は終宿主の腸管静脈に寄生し、虫卵は腸壁を通過して便中に排出されます。ウエステルマン肺吸虫は主に肺に寄生しますが、虫卵は喀痰中、または嚥下されて便中に排出されます。したがって、これら2種類の寄生虫は便検査で虫卵が検出されます。一方、有棘顎口虫は幼虫が組織内に寄生し、バンクロフト糸状虫は血液中にミクロフィラリアが出現するため便検査では検出されません。ビルハルツ住血吸虫は主に尿中に虫卵が排出されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 有棘顎口虫は便検査で虫卵は検出されません。通常は組織内(皮下、臓器など)で幼虫として存在し、診断は幼虫の検出や血清学的検査によります。正しくは:有棘顎口虫は便検査では診断されず、組織中の幼虫や血清学的検査で診断されます。選びやすい理由:寄生虫であるため、便検査で検出されると誤解しやすいかもしれません。しかし、顎口虫の幼虫は宿主の消化管を介して排出されるサイクルを持たないため、便からは検出されません。混同注意:広節裂頭条虫や日本海裂頭条虫など、腸管に寄生して便中に虫卵を排出する他の寄生虫と混同する可能性があります。
- 2. 正解。日本住血吸虫は終宿主の腸管静脈に寄生し、産生された虫卵は腸壁を通過して便中に排出されるため、便検査で検出されます。
- 3. ビルハルツ住血吸虫は主に膀胱の静脈叢に寄生し、産生された虫卵は膀胱壁を通過して尿中に排出されるため、便検査ではなく尿検査で検出されます。正しくは:ビルハルツ住血吸虫の虫卵は主に尿検査で検出されます。選びやすい理由:同じ住血吸虫であるため、日本住血吸虫と同様に便検査で検出されると誤解しやすいですが、寄生部位が異なるため、検出経路も異なります。混同注意:マンソン住血吸虫(便中虫卵)や日本住血吸虫(便中虫卵)と混同しやすいですが、ビルハルツ住血吸虫の虫卵は主に尿中に排出されます。
- 4. バンクロフト糸状虫はリンパ管に寄生し、感染診断は夜間採血した血液中のミクロフィラリアの検出によります。便検査で虫卵は検出されません。正しくは:バンクロフト糸状虫は便検査では診断されず、血液中のミクロフィラリアの検出で診断されます。選びやすい理由:寄生虫であるため、便検査で検出されると誤解しやすいかもしれません。しかし、ミクロフィラリアはリンパ管から血液中に移行し、消化管を介して排出されるサイクルを持たないため、便からは検出されません。混同注意:糞線虫や鉤虫など、腸管に寄生して便中に虫卵や幼虫を排出する他の寄生虫と混同する可能性があります。
- 5. 正解。ウエステルマン肺吸虫は主に肺に寄生しますが、産生された虫卵は喀痰中または嚥下されて便中に排出されるため、便検査で検出されます。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験では、主要な寄生虫の感染経路、寄生部位、そしてそれぞれの寄生虫の診断に用いられる検体(便、尿、血液、喀痰など)と検出される病期(虫卵、幼虫、ミクロフィラリアなど)の組み合わせが頻繁に問われます。特に、同じ属の寄生虫であっても、寄生部位や排出経路の違いによって検査方法が異なるケース(例:住血吸虫各種)に注意が必要です。
混同注意
住血吸虫属(日本住血吸虫、マンソン住血吸虫、ビルハルツ住血吸虫)の虫卵排出経路の違い。特に日本住血吸虫とビルハルツ住血吸虫の区別。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の問題が出た場合は、各寄生虫のライフサイクル、特に終宿主における寄生部位と、そこからの虫卵(または幼虫、ミクロフィラリアなど)の排出経路を正確に把握しているかを確認する。特定の寄生虫が複数の検体から検出される可能性も考慮に入れる。
関連知識
吸虫類: 肝吸虫(便)、横川吸虫(便)、広東住血線虫(髄液、血液)、宮崎肺吸虫(喀痰、便)。線虫類: 鉤虫(便)、回虫(便)、蟯虫(肛門周囲塗抹)、糞線虫(便、喀痰)。条虫類: 広節裂頭条虫(便)、有鉤条虫(便)、無鉤条虫(便)。