交差適合試験の主試験が陽性になる可能性が高いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
交差適合試験の主試験は、患者血漿中の不規則抗体(同種抗体など)と、提供者赤血球上の抗原との反応を確認するものです。提供者の赤血球が直接抗グロブリン試験(DAT)陽性である場合、これは提供者の赤血球表面にすでに抗体や補体が結合していることを意味します。この状態の赤血球は、交差適合試験の抗グロブリン相において、患者血漿中の抗体がなくても非特異的に凝集反応を示す可能性があり、結果として陽性と判定される原因となります。これは、提供血液自体に問題がある可能性を示す重要な兆候です。
選択肢ごとの解説
- 1. 患者がA型で提供者がO型の場合、主試験(患者血漿と提供者赤血球の反応)では通常陽性になりません。患者の抗A抗体は提供者のO型赤血球とは反応しないためです。副試験では患者の抗体と提供者の赤血球が反応しないことが確認されます。正しくは:この組み合わせでは主試験は通常陰性となります。選びやすい理由:ABO血液型不適合が交差適合試験で問題となることは知られているため、関連性があるように見えるかもしれません。混同注意:ABO不適合における副試験(提供者血漿と患者赤血球)と混同する可能性があります。また、O型からA型への輸血は「適合輸血」であるため、患者の抗A抗体がO型赤血球に反応することはないという基本的な理解が不足していると誤解しやすいです。
- 2. 患者がAB型の場合、抗A抗体も抗B抗体も持っていません。提供者がO型赤血球の場合、その赤血球にはA抗原もB抗原も存在しないため、患者の血漿と提供者の赤血球が反応することはありません。正しくは:この組み合わせでは主試験は陰性となります。選びやすい理由:ABO血液型不適合の知識の一部として、O型が「ユニバーサルドナー」として認識されていることから、常に適合すると錯覚する可能性があります。混同注意:O型赤血球が「万能供血者」であることを知っていると、問題がないと判断しがちですが、それはあくまで「赤血球製剤」に限った話であり、交差適合試験の原理を理解している必要があります。
- 3. 患者のDAT陽性は、患者自身の赤血球にすでに抗体や補体が結合している状態を示します。これは自己抗体による溶血性貧血や薬剤性溶血などを示唆しますが、主試験は患者の血漿と提供者の赤血球の反応を見るものです。患者の赤血球の状態が、直接的に主試験の陽性反応を引き起こすわけではありません。正しくは:患者のDAT陽性は、輸血後のDICリスクや、不規則抗体の存在を示唆することはありますが、主試験の直接的な陽性原因ではありません。選びやすい理由:DAT陽性という情報は臨床的に重要であり、輸血関連の検査として知られているため、陽性反応の原因となるように見えるかもしれません。混同注意:提供者のDAT陽性と混同しやすいです。また、患者に不規則抗体がある場合(間接抗グロブリン試験陽性の場合)は主試験が陽性になる可能性があるため、単に「患者のDAT陽性」という情報だけでは主試験陽性の直接的な原因にはなりません。
- 4. 正解。主試験は、患者の血漿(抗体成分)と提供者の赤血球を反応させて不適合がないかを確認する検査です。提供者の赤血球がDAT陽性であるということは、その赤血球表面にすでに抗体(自己抗体や同種抗体など)が結合している状態を意味します。このような赤血球は、交差適合試験の抗グロブリン相で非特異的に凝集を起こす可能性があり、結果として主試験が陽性と判定されることがあります。これは、提供者の赤血球の異常を示す重要な所見です。正しくは:提供者のDAT陽性赤血球は、交差適合試験において非特異的な凝集反応を引き起こし、陽性となる可能性が高いです。選びやすい理由:他の選択肢がABO型や患者側のDAT陽性で、提供者側のDAT陽性が直接的な陽性反応の原因となりやすいことが理解できていれば、正答を選びやすいです。混同注意:患者のDAT陽性と混同しないように注意が必要です。DATの対象が「患者の赤血球」か「提供者の赤血球」かで意味合いが大きく異なります。
- 5. 患者がRhD陽性の場合、抗D抗体を持っていません。提供者がRhD陰性の場合、提供者の赤血球にはD抗原が存在しません。したがって、患者の血漿と提供者のRhD陰性赤血球が反応することはないため、主試験は陰性となります。正しくは:RhD陽性の患者にRhD陰性の血液を輸血することは問題ありません。この組み合わせでは主試験は陰性です。選びやすい理由:Rh血液型不適合が輸血副作用の主要な原因の一つであるため、関連性があるように見えるかもしれませんが、具体的な組み合わせが重要です。混同注意:RhD陰性患者にRhD陽性血液を輸血した場合(患者が抗D抗体を産生している、または産生する可能性がある)と混同しやすいです。本設問では患者がD陽性であるため、この状況は当てはまりません。
国試ポイント
交差適合試験の目的と、主試験が陽性となる具体的な状況(特に血液製剤側の問題)を理解しているかを問う問題です。DATの原理と、それが交差適合試験に与える影響(特に提供者側のDAT陽性の意味)を正確に把握していることが重要です。
混同注意
患者のDAT陽性と提供者のDAT陽性の区別、およびABO・Rh血液型不適合が交差適合試験の主試験に与える影響に関する知識の混同。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出た場合、まず主試験が「患者の血漿」と「提供者の赤血球」の反応を見ていることを確認し、どの選択肢が提供者赤血球に問題を引き起こす可能性が高いかを判断します。特にDATの対象が患者側か提供者側か、そしてそれが抗原抗体反応にどう影響するかを再確認します。
関連知識
交差適合試験の主試験と副試験の対象、DAT(直接・間接)の原理と臨床的意義、ABO・Rh血液型不適合輸血のリスク。