フローボリューム曲線(別冊No. 3)を別に示す。考えられる疾患はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
フローボリューム曲線において、ピークフローの低下とその後急速に呼気流量が減少する「スクープアウト」または「スプーン状」のカーブは、気道閉塞性疾患の典型的な所見です。慢性閉塞性肺疾患 (COPD) は、この気道閉塞を特徴とする代表的な疾患であり、与えられたフローボリューム曲線がこのパターンを示しているため、COPDが最も考えられる疾患です。他の選択肢の疾患は主に拘束性換気障害や神経筋疾患による換気障害であり、フローボリューム曲線の形状が異なります。
選択肢ごとの解説
- 1. 脊椎後弯症は胸郭の変形による拘束性換気障害を引き起こしますが、フローボリューム曲線では肺容量の減少(特にVC、TLCの低下)が主で、気道閉塞の特徴的なカーブは見られません。正しくは:拘束性換気障害では、フローボリューム曲線の最大呼気・吸気流量は全体的に減少するが、曲線自体は比較的正常な形状を保ち、ループ全体が小さくなります。閉塞性換気障害のような特徴的なスクープアウトやプラトーは通常見られません。選びやすい理由:呼吸機能障害の一つとして知られているため、選択肢として考慮するかもしれませんが、フローボリューム曲線のパターンが異なります。混同注意:閉塞性換気障害と拘束性換気障害のフローボリューム曲線の特徴を混同しやすいです。
- 2. 特発性肺線維症は間質性肺炎の一種であり、拘束性換気障害を引き起こします。フローボリューム曲線は肺容量の減少を反映し、全体的に曲線が小さくなりますが、閉塞性換気障害に典型的な呼気流量の低下やスクープアウトは見られません。正しくは:拘束性換気障害では、フローボリューム曲線の最大呼気・吸気流量は全体的に減少するが、曲線自体は比較的正常な形状を保ち、ループ全体が小さくなります。FVCやFEV1の減少はありますが、FEV1/FVC比は正常〜高値を示すことが多いです。選びやすい理由:進行性の呼吸器疾患であるため、重度の呼吸機能障害をイメージしやすいですが、フローボリューム曲線のパターンが異なります。混同注意:閉塞性換気障害と拘束性換気障害のフローボリューム曲線のパターンを混同しやすいです。
- 3. 肥満低換気症候群は、著しい肥満により換気量が低下する病態です。これは主として拘束性換気障害(胸郭のコンプライアンス低下)と呼吸中枢の感受性低下によって引き起こされます。フローボリューム曲線では肺容量の減少が見られますが、気道閉塞による特徴的な呼気流量の低下(スクープアウト)は典型的ではありません。正しくは:肥満による拘束性換気障害では、フローボリューム曲線は全体的に小さくなる傾向にありますが、呼気流量の急激な低下やプラトー形成といった閉塞性換気障害に特徴的な形状は通常見られません。選びやすい理由:呼吸困難を呈する疾患であるため、関連付けるかもしれませんが、フローボリューム曲線の特定のパターンとは合致しません。混同注意:閉塞性換気障害と肥満による換気機能低下の区別がつきにくい可能性があります。
- 4. 正解。慢性閉塞性肺疾患 (COPD) は、気道の閉塞を特徴とする疾患です。フローボリューム曲線では、特に呼気相において、ピークフローの低下とその後急速に流量が減少する「スクープアウト(スプーン状の陥没)」と呼ばれる特徴的な形状を示します。これは、気道狭窄により肺内の空気を早く吐き出せないことを反映しています。設問のフローボリューム曲線はこの特徴と一致します。選びやすい理由:最も典型的なフローボリューム曲線を示す疾患であり、気道閉塞の症状と曲線が直結するため、正答を見つけやすいです。混同注意:COPD以外の疾患でも呼吸機能障害が見られますが、フローボリューム曲線の形状が明確に異なります。
- 5. 筋萎縮性側索硬化症 (ALS) は、呼吸筋を含む全身の筋力低下をきたす疾患です。呼吸筋の麻痺により、拘束性換気障害(肺容量の減少)が進行しますが、気道の閉塞性変化は通常見られません。フローボリューム曲線は、肺容量の低下により全体的に小さくなりますが、COPDのような呼気流量のスクープアウトは認められません。正しくは:呼吸筋麻痺による拘束性換気障害では、フローボリューム曲線は全体的に小さくなり、特に最大呼気・吸気流量が低下しますが、曲線自体の形状は比較的保たれ、閉塞性換気障害に特徴的なスクープアウトやプラトーは通常見られません。選びやすい理由:重篤な呼吸不全を引き起こす疾患であるため、呼吸機能異常と関連付けやすいですが、フローボリューム曲線のパターンが異なります。混同注意:神経筋疾患による呼吸機能障害と、気道病変による呼吸機能障害のフローボリューム曲線の違いを混同しやすいです。
国試ポイント
フローボリューム曲線を見て、その特徴的なパターンから代表的な呼吸器疾患(特に閉塞性換気障害と拘束性換気障害)を診断できるかどうかが問われています。COPDに典型的な「スクープアウト」は必須知識です。
混同注意
閉塞性換気障害と拘束性換気障害のフローボリューム曲線の特徴。それぞれの疾患がどちらのパターンを示すのかを正確に理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
フローボリューム曲線が提示されたら、まず呼気相の形状に着目し、スクープアウトの有無を確認する。次に、吸気相の形状や全体のループの大きさも考慮し、肺容量の変化や他の特徴的なパターン(例:上気道閉塞によるプラトー形成)がないか確認します。
関連知識
フローボリューム曲線、肺活量、1秒量、1秒率 (FEV1/FVC)、肺気量分画(TLC, RV, FRC)。閉塞性換気障害、拘束性換気障害、混合性換気障害の定義と疾患例。スパイロメトリーの検査方法と臨床的意義。