室内気(1気圧)における動脈血ガス分析の所見を示す。 pH 7.24 PaCO₂ 24 Torr PaO₂ 84 Torr HCO₃⁻ 10 mEq/L 呼吸商を0.8とした場合の肺胞気-動脈血酸素分圧較差〈A-aDO₂〉に最も近いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
この問題は、肺胞気酸素分圧(PAO₂)を算出し、それから動脈血酸素分圧(PaO₂)を引くことで肺胞気-動脈血酸素分圧較差(A-aDO₂)を求める基本的な能力を問うています。PAO₂の計算式はPAO₂ = PiO₂ - (PaCO₂/R)です。ここで、PiO₂は吸入気酸素分圧であり、PiO₂ = (大気圧 - 水蒸気圧) × 吸入気酸素濃度で計算されます。1気圧 = 760 Torr、水蒸気圧 = 47 Torr(体温37℃の場合)、室内気O₂濃度 = 0.21。したがって、PiO₂ = (760 - 47) × 0.21 = 149.73 Torr。PaCO₂ = 24 Torr、呼吸商R = 0.8を代入すると、PAO₂ = 149.73 - (24 / 0.8) = 149.73 - 30 = 119.73 Torr。最終的にA-aDO₂ = PAO₂ - PaO₂ = 119.73 - 84 = 35.73 Torrとなり、最も近いのは36 Torrです。
選択肢ごとの解説
- 1. 計算結果と一致しません。肺胞気酸素分圧(PAO₂)を正確に求め、そこから動脈血酸素分圧(PaO₂)を引く必要があります。正しくは:正しい計算を行い、その結果に近い値を選択する。選びやすい理由:計算間違いや、一部の因子を考慮し忘れた場合に選択してしまう可能性があります。混同注意:PAO₂の計算式を誤って覚えていたり、各値を代入する際にミスがあったりすると、このような誤った結果を導くことがあります。
- 2. 計算結果と一致しません。肺胞気酸素分圧(PAO₂)の計算式を正しく適用し、A-aDO₂を算出する必要があります。正しくは:正しい計算を行い、その結果に近い値を選択する。選びやすい理由:計算過程で軽微なミスがあった場合や、定数を誤って使用した場合に選択される可能性があります。混同注意:気圧や水蒸気圧、呼吸商などの影響を適切に考慮せずに計算すると、この選択肢のような値になることがあります。
- 3. 計算結果と一致しません。A-aDO₂はPAO₂からPaO₂を引いて算出されますが、PAO₂の正確な計算ができていない可能性があります。正しくは:正しい計算を行い、その結果に近い値を選択する。選びやすい理由:PAO₂の計算式(PAO₂ = PiO₂ - PaCO₂/R)のPiO₂(吸入気酸素分圧)を誤解したり、呼吸商(R)の取り扱いを間違えたりするとこの値を選ぶかもしれません。混同注意:動脈血ガス分析のデータPaCO₂をPACO₂として使用する点や、呼吸商の適用方法を混同するとこの選択肢を選びがちです。
- 4. 正解。この値は肺胞気-動脈血酸素分圧較差(A-aDO₂)の計算結果に最も近いです。計算手順は以下の通りです。1. 肺胞気酸素分圧(PAO₂)の計算:PAO₂ = PiO₂ - (PaCO₂/R)。ここでPiO₂(吸入気酸素分圧)は、(気圧 - 水蒸気圧) × O₂濃度で求められます。気圧1気圧 = 760 Torr、水蒸気圧47 Torr、室内気O₂濃度21%(0.21)とすると、PiO₂ = (760 - 47) × 0.21 = 713 × 0.21 = 149.73 Torr。2. これにPaCO₂(24 Torr)と呼吸商R(0.8)を代入すると、PAO₂ = 149.73 - (24 / 0.8) = 149.73 - 30 = 119.73 Torr。3. A-aDO₂の計算:A-aDO₂ = PAO₂ - PaO₂ = 119.73 - 84 = 35.73 Torr。この値に最も近いのは36 Torrです。正しくは:選択肢の解説にある計算過程を理解し、正確に適用することが重要です。選びやすい理由:計算が複雑なため、途中で小数点の丸め方や定数の選択を誤ると、僅かに異なる値になることがあります。混同注意:水蒸気圧や呼吸商の役割を正確に把握していないと、PAO₂の計算を誤りがちです。
- 5. 計算結果と一致しません。肺胞気酸素分圧(PAO₂)の計算、またはその後のA-aDO₂の計算のいずれかに誤りがある可能性があります。正しくは:正しい計算を行い、その結果に近い値を選択する。選びやすい理由:PAO₂の計算で大きく値がずれた場合や、特定の仮定を誤って適用した場合に選びがちです。混同注意:複数の計算ステップがあるため、どこかの段階で大きな計算ミスをするとこのような選択肢を選んでしまう可能性があります。
国試ポイント
肺胞気-動脈血酸素分圧較差(A-aDO₂)の計算は、呼吸生理学の基本であり、臨床検査技師国家試験で頻繁に出題される重要なポイントです。特に、PAO₂の計算式とその各変数の意味(大気圧、水蒸気圧、吸入気酸素濃度、PaCO₂、呼吸商)を正確に理解し、適用できることが求められます。計算問題では、数値の丸め方や単位の一致にも注意が必要です。
混同注意
PAO₂の計算で用いられるPaCO₂と、動脈血ガス分析で直接得られるPaCO₂を混同したり、水蒸気圧や呼吸商の値を忘れたりすることがあります。また、吸入気酸素分圧の計算で大気圧から水蒸気圧を引くことを忘れる、あるいは呼吸商の扱いを誤るなどもよくある間違いです。
次に同じ論点が出たら
A-aDO₂が拡大している場合、その原因としてどのような呼吸器疾患が考えられるか、さらに鑑別診断を進めるために必要な追加検査は何かを考察できるか。
関連知識
A-aDO₂は、ガス交換障害の有無や種類を評価する指標として用いられます。正常値は若年者で5-15 Torr程度ですが、加齢とともに上昇します。A-aDO₂の拡大は、換気血流比不均等、シャント、拡散障害などを示唆します。この問題で求められる計算能力は、これらの病態生理を理解する上で不可欠です。