尿沈渣に見られた結晶〔別冊No.1〕を別に示す。考えられるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
画像に示された結晶は、暗褐色の針状結晶が放射状に集まったチロシン結晶であり、これは肝障害や閉塞性黄疸などで尿中に排泄されるアミノ酸結晶である。特に黄疸を反映して結晶自体が暗褐色を呈していることから閉塞性黄疸が考えられる。
選択肢ごとの解説
- 1. 高尿酸血症では尿酸結晶が認められるが、その形態は菱形、樽型、ロゼット状など多様であり、画像のような暗褐色の針状放射状集合体とは異なる。正しくは:高尿酸血症では尿酸結晶(菱形、樽型、ロゼット状など)が認められる。選びやすい理由:高尿酸血症は尿路結石や腎障害の原因となることがあり、尿沈渣に結晶が出現する疾患として一般的なため、選択肢として考慮されやすい。混同注意:尿酸結晶とチロシン結晶の形態の違い。また、アミノ酸結晶全体が尿中の結晶として混同されることがある。
- 2. 正解。画像に示された結晶は、暗褐色の針状結晶が放射状に集まったチロシン結晶である。チロシン結晶は肝障害、特に重篤な肝疾患や閉塞性黄疸で尿中に排泄され、尿中の抱合型ビリルビンが酸化されて結晶に取り込まれることで暗褐色を呈することがあるため、閉塞性黄疸が最も考えられる。選びやすい理由:(正答のため該当なし)混同注意:(正答のため該当なし)
- 3. ネフローゼ症候群では、尿中に脂肪円柱や異型赤血球、あるいは卵円形脂肪体などが認められることが多いが、チロシン結晶の出現は典型的ではない。重篤な肝障害を合併しない限りチロシン結晶は稀である。正しくは:ネフローゼ症候群では脂肪円柱、卵円形脂肪体などが尿沈渣に認められる。選びやすい理由:ネフローゼ症候群も尿沈渣に異常所見を呈する疾患であり、腎臓に関連する病態として選択肢として考慮される可能性がある。混同注意:他の腎疾患による尿沈渣所見、特に結晶以外の成分(脂肪円柱など)との混同。
- 4. 先天性シスチン尿症では、特異的に六角板状のシスチン結晶が尿沈渣に認められる。画像に示すような針状の放射状集合体ではない。正しくは:先天性シスチン尿症では六角板状のシスチン結晶が尿沈渣に認められる。選びやすい理由:先天性シスチン尿症は尿中にアミノ酸結晶が出現する代表的な疾患の一つであり、アミノ酸結晶という点で関連があるため、混同しやすい。混同注意:シスチン結晶とチロシン結晶の形態の違い。両者ともアミノ酸結晶であるため、結晶の形態を正確に識別する必要がある。
- 5. 先天性アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損症では、2,8-ジヒドロキシアデニン(2,8-DHA)結晶が尿沈渣に認められる。この結晶は球形や針状を示すこともあるが、画像のような放射状集合体で暗褐色を呈するチロシン結晶とは異なる。正しくは:先天性アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損症では2,8-ジヒドロキシアデニン(2,8-DHA)結晶が尿沈渣に認められる。選びやすい理由:この疾患も尿中に特殊な結晶が出現する遺伝性疾患であるため、他のアミノ酸代謝異常症と同様に鑑別疾患として考慮されやすい。混同注意:他のアミノ酸結晶やプリン代謝産物の結晶、特に形態が類似する可能性のある他の針状結晶との混同。
国試ポイント
尿沈渣におけるアミノ酸結晶、特にチロシン結晶の形態的特徴と関連疾患を正確に識別できるか。
混同注意
尿酸結晶との混同。尿酸結晶は一般に菱形や樽型、ロゼット状などの形態をとり、チロシン結晶のような針状の放射状集合体ではない。また、シスチン結晶は六角板状であり、アデニン結晶は球形や針状だがチロシン結晶とは色調や集合形態が異なる。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、尿沈渣の結晶の形態(針状の放射状集合体か、六角板状か、菱形かなど)と色調(暗褐色、無色など)を注意深く観察し、特徴的なアミノ酸結晶を識別する。特に黄疸を示唆する色調があればチロシン結晶を強く疑う。
関連知識
尿沈渣で認められるアミノ酸結晶には、チロシン、ロイシン、シスチンなどがある。チロシン結晶は重篤な肝疾患(劇症肝炎など)や閉塞性黄疸で認められ、ロイシン結晶も同様に重篤な肝疾患で認められる。シスチン結晶は先天性シスチン尿症で特異的に出現する。これらは酸性尿で析出しやすい。