悪性中皮腫の胸水で高値を示すのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
悪性中皮腫細胞は、結合組織の主要成分であるヒアルロン酸を大量に合成・分泌します。このため、悪性中皮腫の患者では胸水中にヒアルロン酸が異常に高濃度で検出され、特異性の高い診断マーカーとして用いられます。
選択肢ごとの解説
- 1. ADAは主に結核性胸膜炎の診断マーカーとして高値を示します。悪性中皮腫の胸水では通常、基準値内か軽度の上昇に留まります。正しくは:ADAは悪性中皮腫ではなく、結核性胸膜炎で高値を示すマーカーです。選びやすい理由:胸水貯留の原因疾患の一つである結核性胸膜炎のマーカーとしてよく知られているため、胸水関連疾患全般の知識として選択肢に入っていることに惑わされる可能性があります。混同注意:結核性胸膜炎の診断マーカーとしてのADAと、悪性腫瘍の診断マーカーの区別。
- 2. CEAは肺腺癌や消化器癌など、腺癌由来の悪性腫瘍による胸水で高値を示すことが多いですが、悪性中皮腫では一般的に高値を示しません。正しくは:CEAは悪性中皮腫ではなく、肺腺癌や消化器癌など他の悪性腫瘍による胸水で高値を示すことが多いです。選びやすい理由:CEAは広く知られた腫瘍マーカーであるため、悪性疾患である悪性中皮腫でも高値を示すと推測しやすいです。混同注意:一般的な癌マーカーであるCEAと、悪性中皮腫に特異的なマーカーの区別。
- 3. SP-Dは主に間質性肺炎や肺胞蛋白症、一部の肺癌などで血中やBALF(気管支肺胞洗浄液)で高値を示すことがありますが、悪性中皮腫の胸水診断マーカーとしては一般的ではありません。正しくは:SP-Dは悪性中皮腫の胸水マーカーとしては適切ではありません。肺疾患の活動性や重症度を反映することがあります。選びやすい理由:肺関連疾患のマーカーであるため、胸膜に発生する悪性中皮腫と関連があるように感じられるかもしれません。混同注意:肺疾患の活動性マーカーと、胸膜疾患の腫瘍マーカーの区別。
- 4. 胸水中のアミラーゼ高値は、膵疾患(急性膵炎、膵癌など)や食道破裂などによって引き起こされることが多く、悪性中皮腫では通常高値を示しません。正しくは:アミラーゼは悪性中皮腫ではなく、膵疾患や食道破裂による胸水で高値を示すマーカーです。選びやすい理由:胸水貯留の原因疾患として膵疾患なども鑑別されるため、その関連マーカーとして挙げられていることに惑わされる可能性があります。混同注意:膵疾患や食道破裂に伴う胸水のアミラーゼ高値と、悪性腫瘍の胸水マーカーの区別。
- 5. 正解。悪性中皮腫細胞は、ヒアルロン酸を過剰に産生し胸水中に放出する性質があります。そのため、胸水中のヒアルロン酸は悪性中皮腫に特異性が高く、診断に非常に有用なマーカーとして高値を示します。
国試ポイント
悪性胸水における様々な腫瘍マーカーの特異性と、特に悪性中皮腫に特徴的なヒアルロン酸の役割を正確に理解しているかを問う問題です。他の胸水貯留原因疾患と関連するマーカーとの鑑別も重要です。
混同注意
一般的な癌マーカー(CEA、CA19-9など)が悪性中皮腫でも高値を示すと誤解しやすいですが、悪性中皮腫にはヒアルロン酸が特異的です。また、結核性胸膜炎のADAや膵疾患のアミラーゼといった他の胸水検査項目との混同も注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出題される場合、胸水中の各マーカーがどの疾患で特に有用か、より詳細な特異性や感度の違い、または複数のマーカーを組み合わせた場合の診断的意義について問われる可能性があります。特に、悪性中皮腫の組織型(上皮型、肉腫型など)とヒアルロン酸値の関連が問われることも考えられます。
関連知識
胸水貯留の主な原因疾患(悪性腫瘍、心不全、肝硬変、腎不全、結核、肺炎、膵炎など)と、それぞれの疾患で高値を示す主要な胸水検査項目(例:蛋白、LDH、糖、細胞数、ADA、CEA、CA19-9、サイトケラチン、ヒアルロン酸など)の知識が求められます。特に悪性胸水では、原発巣の鑑別診断にどのマーカーが有用かを理解することが重要です。