ヘマトキシリンの分別に用いるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
ヘマトキシリン染色では、まず組織全体が過剰に染色されることがあります。この過剰な色素を除去し、核だけを鮮明に染め分ける工程を「分別」と呼び、これには弱酸性の塩酸アルコールが一般的に用いられます。塩酸アルコールは、組織とヘマトキシリンの結合を弱め、非特異的に結合した色素を脱色する作用があります。
選択肢ごとの解説
- 1. アンモニア水は、ヘマトキシリン染色後の青化処理に用いられます。これは、ヘマトキシリンによって赤色に染まった核を、塩基性の環境で安定した青色に定着させる目的で使用され、色素を脱色する分別作用はありません。正しくは:青化処理に使用される。選びやすい理由:ヘマトキシリン染色後に使用される主要な工程の一つであるため、分別と役割を混同しやすいです。混同注意:分別(脱色)と青化(定着・発色)の目的が混同されやすいです。
- 2. 炭酸リチウムもアンモニア水と同様に、ヘマトキシリン染色後の青化処理に用いられる試薬です。アルカリ性の溶液として、染まった核を青色に定着させる目的で使用され、分別には用いません。正しくは:青化処理に使用される。選びやすい理由:アンモニア水と並んで青化処理の選択肢として挙げられるため、役割が混同されやすいです。混同注意:分別と青化処理の目的が混同されやすいです。
- 3. 正解。塩酸アルコールはヘマトキシリン染色における分別剤として機能します。ヘマトキシリンで過剰に染色された部分から、組織によって異なる結合親和性を利用して余分な色素をゆっくりと除去し、核のみが鮮明に染色されるように調整します。これにより、背景がクリアになり、核の形態が観察しやすくなります。
- 4. カリウムミョウバンは、ヘマトキシリン色素が組織、特に核のクロマチンに結合するのを助ける媒染剤として使用されます。ヘマトキシリン単独では染色性が弱いため、媒染剤と結合して染色力を高める役割があり、分別剤とは異なります。正しくは:媒染剤として使用される。選びやすい理由:ヘマトキシリン染色液の主要成分であり、染色に不可欠な試薬であるため、その機能を見誤りやすいです。混同注意:分別剤と媒染剤の役割が混同されやすいです。
- 5. ヨウ素酸ナトリウムは、ヘマトキシリンを酸化して、実際に染色作用を持つヘマテイン(酸化ヘマトキシリン)に変化させる熟成(酸化)剤として使用されます。この反応によって染色液としての効果が発現するため重要な成分ですが、染色の分別作用はありません。正しくは:熟成(酸化)剤として使用される。選びやすい理由:染色液の調製に用いられる重要な試薬であるため、染色工程全体の役割と混同しやすいです。混同注意:分別と熟成の役割が混同されやすいです。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験では、HE染色をはじめとする主要な組織染色法について、各工程で使用される試薬の名称とそれぞれの役割(媒染、熟成、分別、青化など)を正確に理解しているかが頻繁に問われます。特に、分別と青化は染色後の処理として混同されやすいため注意が必要です。
混同注意
ヘマトキシリン染色の「分別(脱色)」と「青化(定着・発色)」の役割が最も混同されやすい点です。分別剤(塩酸アルコールなど)は色素を脱色するのに対し、青化剤(アンモニア水、炭酸リチウムなど)は色素を青色に定着させます。また、媒染剤(ミョウバン)や熟成剤(ヨウ素酸ナトリウム)も染色液の成分として重要ですが、役割は明確に異なります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、HE染色の各工程で「何のために」「どの試薬が」使われるのか、その目的と試薬の組み合わせを正確に判別できるかが問われます。特に、それぞれの試薬が「色素の結合を助ける(媒染)」のか、「色素を調整する(熟成)」のか、「色素を脱色する(分別)」のか、「色素を定着・発色させる(青化)」のかといった機能的な違いに注目して学習することが重要です。
関連知識
HE染色は病理組織検査で最も汎用される染色法であり、ヘマトキシリン(核を青紫色に染める塩基性色素)とエオジン(細胞質や結合組織を赤色に染める酸性色素)を組み合わせたものです。ヘマトキシリン染色の主要な工程には、①媒染(ミョウバンなど)、②熟成(ヨウ素酸ナトリウムなど)、③染色、④分別(塩酸アルコールなど)、⑤青化(アンモニア水、炭酸リチウムなど)があります。それぞれの試薬の役割を理解することが重要です。