弾性線維と膠原線維を染め分けるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
エラスチカ・ワンギーソン染色は、弾性線維を黒紫色、膠原線維を赤色、筋線維や細胞質を黄色に染め分けることができ、これらの線維成分の病変や分布を同時に評価する上で非常に有用な染色法です。他の選択肢は、目的が異なるか、あるいは弾性線維と膠原線維を同時に、かつ明瞭に染め分けるという本問の要求に合致しません。
選択肢ごとの解説
- 1. PAM染色(Periodic Acid-Methenamine Silver染色)は、主に糸球体基底膜、メサンギウム基質、真菌、細胞内グリコーゲンなどを黒色に染め出す特殊染色法です。弾性線維と膠原線維を特異的に染め分ける目的では使用されません。正しくは:糸球体基底膜の病変などを検出するのに適した染色法です。選びやすい理由:組織の特殊染色法の一つであるため、知識が曖昧な場合に選んでしまう可能性があります。混同注意:PAS染色(グリコーゲン、ムチンなど)や、他の基底膜・真菌染色と混同しやすいです。
- 2. 渡辺の鍍銀法は、細網線維(レチクリン線維)を黒色に染め出すために用いられる染色法です。膠原線維の一種である細網線維を染めますが、弾性線維と膠原線維全体を染め分けて区別する目的とは異なります。正しくは:肝臓や脾臓などで細網線維の増生や破壊を検出するのに適した染色法です。選びやすい理由:銀染色なので、特殊な線維を染めるイメージから選んでしまう可能性があります。混同注意:他の鍍銀法(例えばゴモリの鍍銀法)や、細網線維以外の線維染色と混同しやすいです。
- 3. ビクトリアブルー(Victoriablue)染色は弾性線維を青色に染め出すことができる染色法の一つです。しかし、この染色法は主に弾性線維の存在を確認する目的で用いられ、弾性線維と膠原線維を明確に染め分けて両者の分布を比較する、という点でエラスチカ・ワンギーソン染色には劣ります。正しくは:主に弾性線維の検出に用いられる染色法です。選びやすい理由:弾性線維を染めるという点で部分的に正しい知識が含まれているため、誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:オルセイン染色やワイゲルト染色など、他の弾性線維染色と混同しやすいです。
- 4. マッソントリクローム(Masson's trichrome)染色は、膠原線維を青色または緑色に、筋線維や細胞質を赤色に染め分け、線維性結合組織の増生を評価するのに有用です。しかし、弾性線維を特異的に染め分けて膠原線維と区別する第一選択の染色法ではありません。正しくは:膠原線維と筋線維、細胞質などを染め分け、線維化の程度の評価に適した染色法です。選びやすい理由:膠原線維を染めるため、選択肢として関連性があると感じやすく、誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:ワンギーソン染色(膠原線維を赤色)や、他の結合組織染色と混同しやすいです。
- 5. 正解。エラスチカ・ワンギーソン(Elastica-Van Gieson)染色は、ワイゲルトの弾性線維染色とワンギーソン染色を組み合わせたもので、弾性線維を黒紫色に、膠原線維を赤色に、筋線維や細胞質を黄色に染め分けることができます。これにより、弾性線維と膠原線維の病変や分布を同時に、かつ明確に評価することが可能です。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験において、主要な組織特殊染色法の名称と、それがどの組織成分をどのような色に染め出すのか、さらにその染色がどのような病態の診断に用いられるのかという知識が問われます。特に、複数の線維成分を同時に染め分けられる染色法は頻出です。
混同注意
弾性線維を染める他の染色法(オルセイン染色、ワイゲルト弾性線維染色、ビクトリアブルー染色など)や、膠原線維を染める他の染色法(ワンギーソン染色単独、マッソントリクローム染色など)との区別が混同しやすい点です。また、PAM染色や鍍銀法のように全く異なる目的の特殊染色法と混同しないことも重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が問われた際には、各特殊染色法が「何を(染色対象)」「何色に(染色色)」「どのような目的で(診断的意義)」染め出すのかを、より詳細に確認するようにしましょう。特に、エラスチカ・ワンギーソン染色のように複数の組織成分を同時に染め分ける染色法については、それぞれの成分が何色に染まるかまでを把握していることが重要です。
関連知識
弾性線維染色にはオルセイン染色(茶褐色)、ワイゲルト弾性線維染色(黒青色)、ビクトリアブルー染色(青色)などがあります。膠原線維染色にはワンギーソン染色(赤色)、マッソントリクローム染色(青色/緑色)などがあります。細網線維染色には鍍銀法(渡辺、ゴモリ、アザン・マルキ法など)が用いられ、黒色に染まります。基底膜染色にはPAM染色(黒色)が用いられます。これらの主要な組織成分とそれらを検出する染色法について、色と目的を正確に理解しておくことが必須です。