皮膚病変部より分離した真菌のスライド培養のラクトフェノールコットンブルー染色標本(別冊No. 15)を別に示す。考えられるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
下図に示す真菌の形態は、多隔壁性で、紡錘形から卵形、表面が粗い大分生子である。これはMicrosporum属、特にMicrosporum canisの典型的な特徴である。Microsporum属は皮膚真菌症、特に頭部白癬や体部白癬の主要な原因菌として知られている。
選択肢ごとの解説
- 1. Aspergillus属は、分生子頭(conidial head)とフラスコ状または円筒状のフィアライドを特徴とするが、下図のような紡錘形大分生子は見られない。正しくは:Aspergillus属は、柄細胞の先端にフィアライドとそこから連鎖状に生じる分生子を持つ分生子頭を形成する。選びやすい理由:一般的な真菌症の原因菌であるため、選択肢として考慮しやすい。混同注意:他の一般的な真菌属、特にカンジダやクリプトコッカスなどと混同しやすいが、形態が全く異なる。
- 2. Exophiala属は、通常、黒色酵母様真菌として知られ、暗色の菌糸や分生子を形成するが、下図に示すような特徴的な紡錘形大分生子は見られない。分生子は頂端あるいは側方に形成されることが多い。正しくは:Exophiala属は、暗色の菌糸と、頂端または側方に生じる分生子を特徴とする。選びやすい理由:皮膚病変から分離されることがあるため、選択肢として誤って選ばれる可能性がある。混同注意:皮膚病変に関わる他の黒色真菌(Dematiaceous fungi)と混同しやすい。
- 3. 正解。下図の画像は、表面が粗く、多隔壁性で、紡錘形から卵形の大きな大分生子(macroconidia)を特徴とする。これはMicrosporum属、特に白癬菌の一種であるMicrosporum canisに典型的な形態である。Microsporum属は皮膚真菌症、特に頭部白癬や体部白癬の原因菌となる。正しくは:この形態はMicrosporum属に特有である。選びやすい理由:類似の形態を持つ他の皮膚糸状菌(Trichophyton属など)と混同する可能性はあるが、大分生子の形状と表面性状がMicrosporum属の特徴を強く示している。混同注意:Trichophyton属の大分生子(細長くて隔壁が少ない傾向)やEpidermophyton属の大分生子(棍棒状で隔壁が多い)と混同しやすいが、紡錘形で表面が粗い点はMicrosporum属に特徴的である。
- 4. Mucor属は接合菌類であり、有性胞子として接合胞子を形成し、無性胞子としては胞子のう(sporangium)と胞子のう柄を特徴とする。隔壁のない幅の広い菌糸(nonseptate hyphae)を持つ。下図のような大分生子は形成しない。正しくは:Mucor属は、隔壁のない菌糸と胞子のう、胞子のう柄を特徴とする。選びやすい理由:これも真菌症の原因となりうるため、選択肢として考慮されるかもしれない。混同注意:他の接合菌類(Rhizopus属など)や、一般的な皮膚糸状菌と形態的に大きく異なるため、混同は少ないはずである。
- 5. Trichophyton属も皮膚糸状菌の一種で、大分生子を形成することがあるが、その形態は通常、細長く、隔壁は少なく、表面は滑らかな傾向がある。下図のような紡錘形で表面が粗い大分生子とは異なる。Trichophyton属は小分生子(microconidia)を豊富に形成することが多い。正しくは:Trichophyton属の大分生子は細長く、隔壁が少なく、表面は滑らかである。選びやすい理由:Microsporum属と同様に皮膚糸状菌であるため、最も混同しやすい選択肢の一つ。しかし、大分生子の形態的特徴が異なる。混同注意:Microsporum属の大分生子と最も混同しやすい。見分け方としては、Trichophyton属の大分生子は細長くて隔壁が少なく、Microsporum属は紡錘形で隔壁が多く表面が粗い点に注目する。
国試ポイント
皮膚病変から分離された真菌のスライド培養標本を見て、その形態的特徴から属を同定できるかを問う問題。特に、皮膚糸状菌(白癬菌)であるMicrosporum属、Trichophyton属、Epidermophyton属の大分生子と小分生子の形態の違いを理解しているかが重要である。
混同注意
Microsporum属とTrichophyton属の大分生子の形態的違い。Microsporum属は紡錘形で表面が粗く、多隔壁性の大分生子を特徴とするのに対し、Trichophyton属は細長く、表面は滑らかで、隔壁が少ない大分生子を形成することが多い。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、他の皮膚糸状菌(Trichophyton属、Epidermophyton属)や、その他の一般的な真菌(Candida属、Aspergillus属など)の代表的な形態学的特徴(大分生子、小分生子、菌糸、酵母様細胞、偽菌糸、分生子頭、胞子のうなど)を識別できるかどうかが問われるだろう。
関連知識
皮膚糸状菌の種類とそれらが引き起こす白癬の部位(頭部白癬、体部白癬、足白癬など)、真菌培養法、ラクトフェノールコットンブルー染色の原理と応用、主要な真菌の形態学的特徴(菌糸、分生子、胞子のうなど)。