貯血式自己血採血の対象とならないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
貯血式自己血採血では、採血により患者は一時的に貧血状態になります。そのため、採血前のヘモグロビン値が低い患者(一般的には11g/dL以下、特に10g/dL未満は強い禁忌)では、さらに貧血が悪化し、めまい、倦怠感、虚血性心疾患の悪化などの重大なリスクを伴うため、原則として採血の対象から除外されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 妊娠後期であるため慎重な判断が求められますが、絶対的な禁忌ではありません。胎児への影響や母体の負担を考慮し、医師の判断で実施される場合もあるため、この選択肢が「対象とならない」という点で最も不適切とは限りません。正しくは:採血量の調整や、周術期自己血採血の場合は分娩直前を避けるなどの配慮があれば実施可能です。選びやすい理由:妊娠中の採血は胎児への影響を懸念するため、安易に禁忌と捉えられやすいです。混同注意:妊娠中の絶対的禁忌疾患や状態と混同しやすいです。
- 2. 高齢であることは循環器系への負担増大につながるため、慎重な適応判断が必要とされます。しかし、年齢のみをもって貯血式自己血採血の絶対的な禁忌とはなりません。全身状態が良好であれば実施可能です。正しくは:採血量を減らす、採血間隔を空ける、採血後の観察を厳重にするなどの対応で実施されることがあります。選びやすい理由:高齢者は様々な合併症を持つことが多いため、リスクが高いと判断しがちです。混同注意:高度な心疾患や脳血管疾患といった絶対的禁忌となる基礎疾患と年齢を混同しやすいです。
- 3. 体重が少ない場合、一度に採血できる量が制限されるため、計画通りの採血が困難になることがあります。しかし、採血量を調整したり、複数回に分けて採血したりすることで対応可能な場合があり、絶対的な禁忌ではありません。正しくは:採血量を体重に応じて減らすなどの調整を行います。選びやすい理由:採血量が確保できないという理由で対象外と考えてしまいがちです。混同注意:体重が極端に低い場合や、血液量が著しく少ない状態と混同しやすいです。
- 4. HBs抗原陽性であっても、自己血輸血は本人の血液を本人に戻すため、他者への感染リスクはありません。そのため、自己血採血の対象から除外されることはありません。ただし、医療従事者は血液を扱う際に感染予防策を徹底する必要があります。正しくは:感染管理上の特別な注意を払えば、自己血採血は可能です。選びやすい理由:感染症マーカー陽性というだけで、輸血自体が禁忌であるかのように錯覚しやすいです。混同注意:他家血輸血の際のスクリーニング基準と自己血輸血の適応基準を混同しやすいです。他家血では感染症陽性検体は除外されます。
- 5. 正解。貯血式自己血採血は、採血後に一時的に貧血状態を誘発します。すでにヘモグロビン値が低い(一般的に11g/dL未満は相対的禁忌、10g/dL未満は絶対的禁忌に近いとされることが多い)患者から採血を行うと、貧血が悪化し、虚血性心疾患などのリスクが増大するため、原則として対象とならないとされています。正しくは:貧血が改善されるまで待つか、鉄剤投与などでヘモグロビン値を上昇させてから採血を検討します。選びやすい理由:他の選択肢も相対的禁忌に見えるため、判断に迷う可能性があります。しかし、ヘモグロビン値の低下は採血によるリスクが最も直接的で高いため、除外の必要性が高いです。混同注意:貧血の基準値と、自己血採血における貧血の許容範囲を混同しやすいです。
国試ポイント
貯血式自己血採血の適応と禁忌に関する知識が問われています。特に、患者の全身状態(貧血の有無、循環器系疾患、感染症など)が採血の可否にどう影響するかを理解しているかが重要です。絶対的禁忌と相対的禁忌の区別もポイントです。
混同注意
他家血輸血の適応・禁忌基準と混同しやすいです。自己血採血は、感染症陽性患者でも自己輸血である限り感染リスクはないため、他家血とは異なる判断基準が適用される点に注意が必要です。また、相対的禁忌(慎重な判断で実施可能)と絶対的禁忌(実施すべきでない)の区別も混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次回この論点が出題された場合、貯血式自己血採血だけでなく、希釈式自己血輸血や術中回収式自己血輸血の適応・禁忌についても確認する。また、各状態(妊娠、高齢、低体重、感染症陽性、貧血)が、なぜ、どの程度、採血の対象に影響するかを詳細に問われる可能性があるため、その理由まで理解を深めておく必要があります。
関連知識
貯血式自己血採血の他に、希釈式自己血輸血、術中回収式自己血輸血といった種類があること。各採血・輸血法の特徴と適応、禁忌。採血時の注意事項(採血量、採血回数、採血間隔、鉄剤投与など)。輸血のリスク(アレルギー反応、感染症、GVHDなど)と自己血輸血のメリット(これらのリスクを低減できる)。