間接抗グロブリン試験で使用される反応増強剤はどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
間接抗グロブリン試験において抗原抗体反応を促進させる増強剤として、低イオン強度溶液(LISS)とポリエチレングリコール溶液(PEG)が代表的です。LISSは赤血球周囲の陽イオン濃度を低下させ、赤血球と抗体間の斥力を減少させて抗体の結合を促進します。PEGは溶液中の水分を排除することで、抗体と赤血球の相対的な濃度を高め、抗原抗体反応の機会を増やし、感度を向上させます。
選択肢ごとの解説
- 1. フィシンは、赤血球表面のシアル酸や糖タンパク質を分解する酵素であり、間接抗グロブリン試験の反応増強剤としては一般的ではありません。酵素法は、特定の血液型抗体の検出(特にRh式血液型)や自己抗体の分離など、異なる目的で使用されます。正しくは:フィシンは、間接抗グロブリン試験の反応増強剤ではなく、酵素法による赤血球の処理に用いられる試薬です。選びやすい理由:血液型検査や交差適合試験で「反応を増強する」という言葉を連想させるため、選択肢として紛らわしいかもしれません。しかし、その作用機序は反応増強剤とは異なります。混同注意:反応増強剤と、赤血球処理酵素(例:ブロメリン、パパイン)を混同する可能性があります。酵素は赤血球表面の抗原を修飾し、凝集反応を促進する場合もありますが、LISSやPEGとは異なる機序です。
- 2. パパインもフィシンと同様にタンパク分解酵素であり、赤血球表面を処理して抗原抗体反応の感度を上げることがありますが、間接抗グロブリン試験で一般的に用いられる反応増強剤(低イオン強度溶液や高分子溶液)とは作用機序が異なります。通常は、不規則抗体のスクリーニングや同定の補助として用いられます。正しくは:パパインは、間接抗グロブリン試験の反応増強剤ではなく、酵素法による赤血球の処理に用いられる試薬です。選びやすい理由:血液型検査の文脈で「反応を増強する」というフレーズが登場するため、選びやすいかもしれません。混同注意:LISSやPEGといった増強剤と、酵素処理剤を混同する可能性があります。
- 3. 正解。LISSは、赤血球周囲のイオン濃度を低下させることで、赤血球と抗体間の斥力を減少させ、抗体と赤血球上の抗原との結合を促進し、反応時間を短縮する効果があります。間接抗グロブリン試験において広く用いられる反応増強剤の一つです。
- 4. DTTは、ジスルフィド結合を切断する還元剤であり、IgM抗体を破壊する作用があります。間接抗グロブリン試験の増強剤としては使用されず、むしろIgM抗体を除去したい場合(例:IgG抗体のみを検出したい場合や、自己抗体の分離)に用いられます。正しくは:DTTは、間接抗グロブリン試験の反応増強剤ではなく、IgM抗体などのジスルフィド結合を持つ免疫グロブリンを不活化するために用いられる還元剤です。選びやすい理由:「反応を操作する薬剤」という広い意味で捉えたり、血液検査で使われる試薬という点から選びそうになるかもしれませんが、その具体的な作用機序は異なります。混同注意:抗体反応の「増強」ではなく、抗体の「不活化」や「除去」を行う試薬と混同しやすいです。
- 5. 正解。PEGは、溶液中の水分を除去することで抗体の濃度を相対的に高め、抗体と赤血球上の抗原との結合効率を向上させる働きがあります。間接抗グロブリン試験において、特に感度が高い反応増強剤として用いられます。
国試ポイント
間接抗グロブリン試験で用いられる代表的な反応増強剤の種類とその作用機序について、正確に理解しているかが問われています。また、他の試薬(酵素や還元剤)との区別も重要です。
混同注意
間接抗グロブリン試験の反応増強剤と、赤血球処理酵素(フィシン、パパイン)、還元剤(DTT)の区別。それぞれの試薬が血液型検査においてどのような目的で使用されるのかを混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次回出題された場合は、間接抗グロブリン試験だけでなく、血液型検査全般において使用される各種試薬(反応増強剤、酵素、還元剤など)の具体的な名称、その作用機序、使用目的、および関連する疾患や検査項目との関連性を詳細に確認することが重要です。
関連知識
直接抗グロブリン試験と間接抗グロブリン試験の原理、目的、臨床的意義。血液型抗体検出における各種反応増強剤(アルブミン、ポリブレンなど)の使用目的と作用機序。酵素法による赤血球処理の目的と具体的な酵素(ブロメリン、パパイン、フィシン)の作用。還元剤(DTT、2-メルカプトエタノール)による抗体処理の目的。クームス血清(抗ヒトグロブリン血清)の種類と反応特異性(ポリ特異性、モノ特異性)。