放射線感受性が最も高いのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
放射線感受性は、細胞の分裂・増殖が活発であるほど高いという「ベルゴニー・トリボンドーの法則」に基づいています。造血器細胞(特に骨髄の幹細胞やリンパ球)は、体内で常に新しい細胞を生み出すために活発な細胞分裂を行っているため、放射線の影響を非常に受けやすい細胞です。
選択肢ごとの解説
- 1. 肝細胞の放射線感受性は中程度であり、最も高い細胞とは言えません。代謝は活発ですが、一般的に増殖速度は造血器細胞ほど高くありません。正しくは:放射線感受性が高い細胞は、細胞分裂が活発で分化度の低い細胞です。選びやすい理由:肝臓は代謝が活発な臓器であるため、細胞の活動性から感受性が高いと誤解する可能性があります。混同注意:肝細胞は再生能力がありますが、これは放射線による損傷からの回復能力と放射線感受性の高さとは異なります。
- 2. 脂肪細胞は終末分化しており、増殖能力が極めて低いため、放射線感受性は非常に低い細胞です。正しくは:脂肪細胞は放射線感受性が低い細胞の典型例です。選びやすい理由:特別な病態や高線量被曝による組織レベルの変化と、細胞単体の感受性を混同する可能性がありますが、基本的には感受性は低い細胞です。混同注意:脂肪組織全体の機能や代謝と、個々の脂肪細胞の放射線感受性を混同するかもしれません。
- 3. 心筋細胞は終末分化しており、一度分化するとほとんど増殖しないため、放射線感受性は非常に低い細胞に分類されます。正しくは:増殖能力が低い細胞は、放射線感受性も低い傾向があります。選びやすい理由:心臓は生命維持に不可欠な臓器であるため、その重要性から細胞の感受性も高いと誤解する可能性があります。混同注意:高線量の放射線治療による心臓への影響(放射線誘発性心疾患など)は、細胞自体の感受性ではなく、組織全体の複雑な反応によるものと混同する可能性があります。
- 4. 成熟した神経細胞は終末分化しており、細胞分裂をほとんど行わないため、放射線感受性は非常に低い細胞です。正しくは:神経細胞は放射線感受性の低い細胞の代表例の一つです。ただし、発生途上の神経細胞は感受性が高い。選びやすい理由:放射線脳症などの重篤な中枢神経系障害が起こることから、神経細胞の感受性が高いと考えるかもしれませんが、これは主にグリア細胞の損傷や血管障害による間接的な影響が大きいとされています。混同注意:未発達な胎児の神経細胞(神経芽細胞)は放射線感受性が高いことや、グリア細胞(例:乏突起膠細胞)の感受性と混同する可能性があります。
- 5. 正解。骨髄に存在する造血幹細胞やその前駆細胞は、活発に細胞分裂を繰り返し、盛んに増殖・分化しています。細胞分裂が活発な細胞ほど放射線感受性が高いという「ベルゴニー・トリボンドーの法則」に則り、造血器細胞は放射線感受性が極めて高い細胞群の一つです。特にリンパ球は非常に感受性が高いことで知られています。
国試ポイント
放射線感受性の高い細胞・組織と低い細胞・組織の具体例を問う問題は頻出です。特に、増殖能力と分化度の関係を理解しているかが重要となります。ベルゴニー・トリボンドーの法則を理解し、その具体例を複数挙げられるようにしておくことが求められます。
混同注意
放射線感受性が高いことと、臓器の機能が重要であること(例:心臓、神経)を混同しやすいです。また、細胞分裂が盛んであること(例:肝細胞)と、最も感受性が高いことの違いも理解しておく必要があります。再生能力があることと感受性の高さは必ずしも一致しません。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出た場合、選択肢の細胞が増殖能力が低い終末分化細胞か、それとも活発に分裂している幹細胞・前駆細胞であるかを見極めることが重要です。
関連知識
放射線感受性が高い組織の例としては、リンパ組織、骨髄、生殖腺(精巣、卵巣)、消化管上皮(小腸クリプト細胞など)があります。逆に低い組織の例としては、筋肉、神経、骨、結合組織などがあります。これは細胞の分化度と増殖能力に強く関連しています。