肝合成能の評価に用いられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
肝臓は、アルブミンや多くの凝固因子など、重要なタンパク質を合成する臓器です。プロトロンビン時間(PT)は、肝臓で合成されるビタミンK依存性凝固因子(II、VII、IX、X)の活性を反映するため、肝臓の合成機能が低下するとこれらの因子の産生が減少し、PTが延長します。したがって、PTは肝合成能を評価する上で信頼性の高い指標です。
選択肢ごとの解説
- 1. ICG試験は主に肝臓の血流量や薬物代謝能力、特に排泄機能を評価するもので、合成機能の直接的な指標ではありません。正しくは:ICG試験は肝血流量、薬物代謝能、あるいは肝予備能(排泄能)の評価に用いられます。選びやすい理由:肝機能検査の一つであるため、迷う可能性があります。混同注意:肝機能の他の側面(排泄能、代謝能など)と混同しやすいです。
- 2. 血清ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)値は、肝細胞の逸脱酵素であり、主に肝細胞の障害や炎症の程度を反映します。肝臓の合成能力を直接評価するものではありません。正しくは:血清ALT値は肝細胞の障害の指標として用いられます。選びやすい理由:一般的な肝機能検査項目であり、肝臓の状態を幅広く評価するイメージがあるため、選択肢として魅力的かもしれません。混同注意:肝機能障害(細胞破壊)と肝機能(合成能、代謝能など)の評価項目を混同しやすいです。
- 3. 血清ビリルビン値は、肝臓の排泄機能や胆道系の閉塞、溶血などを評価する指標です。肝臓がビリルビンを適切に処理・排泄できるかを示しますが、タンパク質などの合成能力を反映するものではありません。正しくは:血清ビリルビン値は肝臓の排泄機能や胆道系の異常を評価する際に用いられます。選びやすい理由:肝機能検査の一つとしてよく知られているため、正しいと誤解しやすいです。混同注意:肝臓の合成機能と排泄機能を混同しやすいです。
- 4. 血中アンモニア値は、主に肝臓の解毒機能(尿素サイクルによるアンモニアの処理能力)を評価する指標です。肝臓がアンモニアを処理できない場合に上昇し、肝性脳症の原因となりますが、合成能力とは異なります。正しくは:血中アンモニア値は肝臓の解毒機能を評価する際に用いられます。選びやすい理由:肝不全の重症度を反映するため、肝機能全体と関連があると誤解するかもしれません。混同注意:肝臓の解毒機能と合成機能を混同しやすいです。
- 5. 正解。プロトロンビン時間は、肝臓で合成される複数の凝固因子(II、VII、IX、X)の活性を反映します。これらの凝固因子はタンパク質であり、肝臓の合成能力が低下するとその産生が減少し、プロトロンビン時間が延長するため、肝合成能の評価に非常に有用です。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験では、肝機能の評価において、合成能、排泄能、代謝能、逸脱酵素による細胞障害の区別と、それぞれの代表的な検査項目を問う問題が頻出します。特に、プロトロンビン時間や血清アルブミン値が肝合成能の指標として重要であることがよく問われます。
混同注意
肝機能検査には多岐にわたる項目があり、それぞれが異なる肝臓の機能を反映しています。合成能(プロトロンビン時間、アルブミン)、排泄能(ビリルビン、ICG)、解毒能(アンモニア)、細胞障害(ALT、AST、LDH)などを混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、選択肢に血清アルブミン値が含まれるか、あるいは急性・慢性どちらの肝障害かという条件が加わるかに注意して判断する必要があります。また、各検査項目がどの肝機能を評価しているのか(合成、排泄、代謝、解毒、細胞障害など)を正確に理解しているか確認します。
関連知識
肝合成能の評価には、プロトロンビン時間の他に血清アルブミン値も非常に重要です。アルブミンも肝臓で合成されるタンパク質であり、その低値は慢性的な肝合成能低下を示唆します。ただし、アルブミンは半減期が約2〜3週間と長いため、急性肝障害よりも慢性肝障害の指標として優れています。