Escherichia coliを対象に実施した薬剤耐性の確認試験(別冊No. 12)を別に示す。検出目的のβ-ラクタマーゼはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
大腸菌における第三世代セファロスポリン系薬剤やアズトレオナムへの耐性が確認され、かつクラブラン酸などのβ-ラクタマーゼ阻害剤との併用により耐性が消失する(阻止円が拡大する)場合、基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)の産生が強く疑われます。この試験はESBLの検出試験(確認試験)の典型的な方法です。
選択肢ごとの解説
- 1. ESBLの検出には、ペニシリン系薬のみに対する耐性を示すペニシリナーゼの検出だけでは不十分です。正しくは:ESBLはセファロスポリン系やアズトレオナムにも耐性を示すため、より広範囲のβ-ラクタマーゼの検出が必要です。選びやすい理由:β-ラクタマーゼの一種ではあるため、関連性があるように見えるかもしれません。混同注意:ペニシリナーゼとESBL(基質拡張型β-ラクタマーゼ)の作用範囲の違いを混同しやすいです。
- 2. オキサシリナーゼは主にブドウ球菌のメチシリン耐性に関与する酵素であり、ESBLとは異なる酵素です。大腸菌で検出される主要なβ-ラクタマーゼではありません。正しくは:大腸菌での薬剤耐性、特にセファロスポリン系への耐性検出を目的としているため、ESBLに焦点を当てるべきです。選びやすい理由:β-ラクタマーゼの一種であり、薬剤耐性に関与するため、一見正しそうに思えるかもしれません。混同注意:MRSAなどにみられるオキサシリナーゼと、腸内細菌科細菌のセファロスポリン耐性に関わるESBLを混同しやすいです。
- 3. セファロスポリナーゼは第三世代セファロスポリンに耐性を示すことがありますが、その耐性機序はESBLとは異なります。ESBLはセファロスポリナーゼの活性に加えて、その活性スペクトルが拡張されていることが特徴です。正しくは:ESBLは、第三世代セファロスポリンだけでなく、アズトレオナムなどにも作用し、特定の阻害剤によって阻害されることで鑑別されます。選びやすい理由:セファロスポリンに対する耐性に関わるため、関連性が高いように見えます。混同注意:誘導型セファロスポリナーゼ(AmpC型β-ラクタマーゼ)とESBLを混同しやすいですが、両者は検出方法や阻害剤に対する反応が異なります。
- 4. メタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)はカルバペネム系薬剤を分解する酵素であり、ESBLとは異なるタイプのβ-ラクタマーゼです。MBLの検出にはカルバペネム系抗菌薬に対する耐性を確認する必要があります。正しくは:大腸菌でセファロスポリン系への耐性を確認する際に、ESBLの検出が主要な目的となります。MBLは大腸菌でも報告されますが、この試験の一般的な検出目的とは異なります。選びやすい理由:近年注目されている多剤耐性菌の酵素であるため、正しい選択肢だと誤認しやすいです。混同注意:ESBLとMBLはどちらも広範な抗菌薬耐性を示す酵素ですが、分解する抗菌薬の種類や活性に必要な金属イオンの有無、阻害剤に対する反応が異なります。
- 5. 正解。大腸菌における薬剤感受性試験で、セファロスポリン系薬剤に対する耐性増加と特定のβ-ラクタマーゼ阻害剤(例:クラブラン酸)による効果の回復がみられる場合、基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)の存在が強く示唆されます。示された画像は、ESBLの検出を目的としたディスク拡散法を想定しています。正しくは:この試験はESBLの検出に特化しています。選びやすい理由:他のβ-ラクタマーゼも薬剤耐性に関与するため、それらと混同する可能性はあります。混同注意:ESBLと他のβ-ラクタマーゼ(AmpC、MBLなど)の作用機序や検出方法の違いを混同しやすいです。
国試ポイント
β-ラクタマーゼの種類とそれぞれの特徴、特に基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)の検出方法と関連する薬剤耐性の知識が問われています。画像から試験の目的を判断する能力も必要です。
混同注意
ESBLとメタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)、AmpC型β-ラクタマーゼ、ペニシリナーゼなど、異なる作用機序を持つβ-ラクタマーゼの種類とそれらが分解する基質、および検出方法の違いを混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
同様の画像問題が出た場合、ディスクに添加されている薬剤の種類(特にセファロスポリン系とβ-ラクタマーゼ阻害剤の組み合わせ)とその阻止円の変化から、検出対象となるβ-ラクタマーゼの種類を特定できるかが重要となります。
関連知識
ESBLは、ペニシリン系、第一世代から第三世代のセファロスポリン系、およびアズトレオナムを分解する能力を持ち、一般的にクラブラン酸、タゾバクタム、スルバクタムなどのβ-ラクタマーゼ阻害剤で阻害されます。この特徴を利用したディスク拡散法やEテストによる検出が一般的です。