検体の輸送を目的に使用する培地はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
Cary-Blair培地は、便検体などにおける腸内細菌(サルモネラ、シゲラなど)やビブリオなどの病原菌を、採取から検査までの間に増殖させずに生存状態を維持するために広く用いられる輸送培地です。これにより、検査時の菌数を採取時の菌数に近づけ、正確な診断を可能にします。
選択肢ごとの解説
- 1. セレナイト培地は選択増菌培地であり、サルモネラやシゲラのような腸内細菌の増殖を促し、他の常在菌の増殖を抑制する目的で使用されます。検体の輸送中も菌を「生かす」だけでなく「増やす」ことに主眼があるため、輸送培地とは異なります。正しくは:セレナイト培地は、サルモネラ属菌やシゲラ属菌などの選択増菌培地である。選びやすい理由:腸内細菌の検出に関連するため、検体採取後の処理として連想しやすい。混同注意:増菌培地と輸送培地の区別。輸送培地は菌を維持するが、増菌は目的としない。
- 2. 正解。Cary-Blair培地は、便などの微生物検体に含まれる細菌の生死を維持しつつ、増殖を極力抑えるように設計された輸送培地です。検体採取から検査までの間に菌数が大きく変動しないようにすることで、検査結果の正確性を保ちます。
- 3. Skirrow寒天培地は、カンピロバクター属菌の分離培養に用いられる選択分離培地です。輸送を目的とするのではなく、特定の菌を分離・検出するために使用されます。正しくは:Skirrow寒天培地は、カンピロバクター属菌の選択分離培地である。選びやすい理由:下痢の原因菌の検出に関連するため、検体採取後の処理として連想しやすい。混同注意:選択分離培地と輸送培地の区別。
- 4. Thayer-Martin寒天培地は、淋菌や髄膜炎菌のようなナイセリア属菌の選択分離に用いられる培地です。輸送を目的とするものではなく、特定の菌を分離・培養するために使用されます。正しくは:Thayer-Martin寒天培地は、ナイセリア属菌の選択分離培地である。選びやすい理由:性感染症の検査など、特定の菌検出と関連するため、検体採取後の処理として連想しやすい。混同注意:選択分離培地と輸送培地の区別。
- 5. 臨床用チオグリコレート培地は、嫌気性菌を含む広範囲の細菌の培養に用いられる液体培地で、特に血液培養や他の体液からの菌検出に使用されます。輸送培地のように菌数を維持する目的ではなく、増殖させて検出することを目的としています。正しくは:臨床用チオグリコレート培地は、血液培養など様々な検体からの好気性・嫌気性菌検出に用いられる液体培養培地である。選びやすい理由:様々な検体に使用され、菌の生存維持に寄与するイメージがあるため。混同注意:一般的な培養培地と輸送培地の区別。輸送培地は増殖を抑制し、菌数を維持する。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験では、微生物検体の種類とそれに応じた適切な培地の選択について知識が問われます。特に、輸送培地の役割(菌の生存維持と増殖抑制)を理解しているかが重要です。増菌培地や選択分離培地との違いを明確に区別できることが求められます。
混同注意
増菌培地、選択分離培地、一般培養培地との混同。輸送培地の目的は菌の増殖抑制による現状維持であるのに対し、他の培地は菌の増殖や分離を目的とする点が異なる。
次に同じ論点が出たら
この論点が出たら、まず「検体の輸送」というキーワードに着目し、菌の「増殖を抑えつつ生存を維持する」という輸送培地の基本機能に合致する選択肢を選ぶ。次に、他の選択肢がそれぞれどのような目的の培地であるかを確認し、役割の違いを明確にする。
関連知識
輸送培地には、Cary-Blair培地の他にStuart培地、Amies培地などがある。それぞれ含まれる成分や対象菌に若干の違いがある。セレナイト培地はサルモネラ・シゲラの選択増菌、Skirrow寒天培地はカンピロバクターの選択分離、Thayer-Martin寒天培地は淋菌・髄膜炎菌の選択分離、チオグリコレート培地は嫌気性菌を含む広範囲の菌の培養に用いられる。