DNA抽出に用いられないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
メルカプトエタノールは強力な還元剤であり、タンパク質のジスルフィド結合を切断することで変性を促進しますが、DNA自体の抽出プロセスにおいて必須の試薬として一般的に用いられることはありません。DNA抽出の主な目的は、タンパク質や脂質などの夾雑物からDNAを分離・精製することであり、フェノールやクロロホルムによるタンパク質除去、エタノールやイソプロパノールによるDNA沈殿が主な工程となります。メルカプトエタノールは主にタンパク質の電気泳動のサンプル処理や、RNaseの不活化などに使われます。
選択肢ごとの解説
- 1. エタノールはDNAを沈殿させるために広く用いられます。水溶性のDNAを塩析によって有機溶媒中で沈殿させ、回収を容易にします。正しくは:DNA沈殿に使用される。選びやすい理由:有機溶媒であるため、抽出時にタンパク質変性にも関わるが、主に沈殿が目的。混同注意:他の有機溶媒との役割の違い。
- 2. フェノールは強力な有機溶媒であり、DNA抽出の際にタンパク質を変性・分離させるために不可欠です。水相からタンパク質を除去し、核酸を保護します。正しくは:タンパク質を変性・除去するために使用される。選びやすい理由:毒性が高いため、使用しない方が良いという誤解から選ばれやすいかもしれない。混同注意:クロロホルムとの役割の組み合わせ。
- 3. クロロホルムはフェノールと組み合わせて使用されることが多く、DNA抽出の過程で残存する脂質やタンパク質を除去し、有機相と水相の分離を明確にする役割があります。フェノールによるDNAの酸化を防ぐ目的でも使われます。正しくは:フェノールと併用され、脂質や残存タンパク質の除去、相分離の補助に使用される。選びやすい理由:強力な有機溶媒であるため、使用しない方が良いという誤解から選ばれやすいかもしれない。混同注意:フェノール単独での使用と、フェノール・クロロホルム混合液での使用の違い。
- 4. イソプロパノールもエタノールと同様に、DNAを沈殿させるために使用されます。エタノールと比較して、より低い濃度でDNAを沈殿させることができる場合があります。正しくは:DNA沈殿に使用される。選びやすい理由:エタノールと役割が似ているため、どちらか一方が使われないと誤解されやすい。混同注意:エタノールとのDNA沈殿効率や使用条件の違い。
- 5. 正解。メルカプトエタノールは、タンパク質中のジスルフィド結合を切断する還元剤として機能します。これは主にSDS-PAGEなどのタンパク質電気泳動のサンプル調製や、酵素活性を阻害するタンパク質の変性、RNAの分解酵素(RNase)の失活などに用いられますが、DNA抽出の主要なステップでは直接的にDNA抽出の試薬としては通常使用されません。正しくは:DNA抽出ではなく、主にタンパク質の還元やRNaseの不活化に用いられる。選びやすい理由:タンパク質を扱う場面で登場するため、タンパク質除去を伴う核酸抽出と関連があるように思える。混同注意:リシスバッファー中のタンパク質変性剤(プロテイナーゼKなど)や界面活性剤(SDS)の役割と混同される可能性がある。
国試ポイント
この問題は、DNA抽出の基本的な原理と、それぞれの試薬が果たす役割について理解しているかを問うています。特に、抽出に使用される主要な試薬(フェノール、クロロホルム、エタノール、イソプロパノール)と、それ以外の目的で使用される試薬との区別が重要です。
混同注意
メルカプトエタノールがタンパク質を変性させる効果を持つため、DNA抽出におけるタンパク質除去のステップで用いられると誤解しやすい。しかし、DNA抽出ではタンパク質分解酵素(プロテイナーゼK)や界面活性剤(SDS)、フェノール・クロロホルムが主にタンパク質除去に用いられる。
次に同じ論点が出たら
次に出題される場合、特定の抽出法の各ステップで何が起こるか、あるいは特定の試薬の代わりに何が使えるか、といった応用的な知識が問われる可能性があります。
関連知識
核酸抽出法の種類(フェノール・クロロホルム法、シリカゲル法、磁気ビーズ法など)、各抽出法における試薬の役割(リシスバッファーの成分、界面活性剤、塩類、アルコール類など)、RNaseの性質と不活化方法、プロテイナーゼKの作用機序。