頸部リンパ節穿刺吸引細胞診のPapanicolaou染色標本(別冊No. 7)を別に示す。考えられるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
提示された画像では、細胞質が豊富で広範な、多角形の異型細胞が密に集塊を形成しています。これらの細胞は、核の大小不同、クロマチン増量、核小体の明瞭化を伴い、細胞間結合が比較的良好な上皮性細胞の特徴を示します。特に、類上皮性の増殖パターンは平上皮癌に特徴的です。頸部リンパ節への転移性病変として、平上皮癌は非常に一般的な病態であり、本画像所見は非角化型平上皮癌の転移を示唆するものです。
選択肢ごとの解説
- 1. 腺癌の細胞は、円柱状や立方状で、腺腔構造や乳頭状の配置を示すことが多いですが、本画像ではそのような特徴は見られません。特に、細胞質の豊富な多角形細胞が密に重なり合っている所見は、腺癌の特徴とは異なります。正しくは:腺癌であれば、異型腺細胞が集合し、腺腔形成や核の重積、大小不同、核小体の目立つ所見が見られます。選びやすい理由:リンパ節転移をきたす悪性腫瘍として鑑別には挙がりますが、細胞形態が異なります。混同注意:他の種類の転移性癌腫、特に腺癌特有の構造を伴わない未分化な腺癌と混同する可能性がありますが、細胞の特徴が異なります。
- 2. 小細胞癌は、その名の通り小型の細胞で、核は濃染し、細胞質は乏しいのが特徴です。また、核の圧潰や核の重なりが顕著で、しばしば核が不整形に配列する特徴があります。本画像では、比較的大型の細胞や多角形細胞が主体であり、小細胞癌の特徴とは異なります。正しくは:小細胞癌であれば、小型で均一な細胞が密に集塊を形成し、核のクロマチンは顆粒状で核小体は不明瞭、細胞質はほとんど見られないといった特徴が見られます。選びやすい理由:リンパ節転移をきたす悪性腫瘍であり、密集した細胞集塊を形成するため、一見すると選択肢として考えられるかもしれません。混同注意:他の小型細胞腫瘍、特に悪性リンパ腫の一部や神経内分泌腫瘍と混同する可能性がありますが、個々の細胞の形態が異なります。
- 3. 脂肪肉腫は、脂肪細胞由来の悪性腫瘍であり、通常は脂肪滴を含む異型細胞や多核細胞が見られます。本画像では、脂肪滴を含む細胞や肉腫に特徴的な紡錘形細胞、粘液基質などは観察されず、明らかに上皮性細胞の集塊に見えるため、脂肪肉腫である可能性は低いです。正しくは:脂肪肉腫であれば、大小不同の脂肪滴を含む細胞や、異型の核を持つ脂肪芽細胞、紡錘形細胞などが特徴的に観察されます。選びやすい理由:肉腫はリンパ節転移が稀なため、選択肢として選びにくいかもしれませんが、画像所見が全く異なります。混同注意:他の肉腫、特に粘液型脂肪肉腫と混同する可能性はありますが、形態が異なります。また、成熟脂肪組織とは形態が全く異なります。
- 4. 正解。画像には、細胞質が豊富で、多角形の形状を持つ異型細胞が密集して見られます。これらの細胞は核の大小不同やクロマチン増量、核小体の肥大を伴い、細胞間には結合が比較的保たれ、類上皮性の集塊を形成しています。また、明確な角化は見られませんが、核がやや不整形であることや、好酸性を示す細胞質の広がりは、非角化型平上皮癌の所見と一致します。頸部リンパ節への転移性平上皮癌でよく見られる所見です。正しくは:(正答のため修正不要)選びやすい理由:(正答のため記載不要)混同注意:(正答のため記載不要)
- 5. 悪性リンパ腫は、リンパ系細胞の腫瘍であり、個々の細胞はばらばらに分散しているか、凝集性が低いのが特徴です。細胞の形態は、リンパ腫のタイプによって様々ですが、通常は上皮性の細胞集塊を形成することはありません。本画像では、明らかな細胞の凝集性が見られ、個々の細胞も多角形でリンパ系細胞の特徴とは異なるため、悪性リンパ腫である可能性は低いです。正しくは:悪性リンパ腫であれば、リンパ球系の異型細胞が個々に散在するか、凝集性の低い集塊を形成し、細胞質は乏しいことが多いです。また、細胞の大小不同や核分裂像が見られます。選びやすい理由:頸部リンパ節の腫大の原因として悪性リンパ腫は頻繁に考慮されるため、臨床情報だけで判断すると誤って選びがちです。しかし、細胞所見は明らかに異なります。混同注意:リンパ節の腫大を起こす他の炎症性病変や、リンパ球過形成などと混同する可能性がありますが、異型性や細胞の凝集性が鑑別点となります。
国試ポイント
本問題は、頸部リンパ節穿刺吸引細胞診のパパニコロウ染色標本から、主な悪性腫瘍の細胞学的特徴を識別する能力を問うものです。特に、上皮性腫瘍(癌)と非上皮性腫瘍(肉腫、リンパ腫)の基本的な鑑別と、癌腫の中でも平上皮癌の典型的な形態学的特徴を正確に捉えることが重要です。
混同注意
腺癌、小細胞癌、悪性リンパ腫など、リンパ節に転移・発生する他の悪性腫瘍の細胞像と混同しやすいですが、それぞれの腫瘍に特有の細胞形態学的特徴(細胞質量の豊富さ、核の形状、細胞の凝集性、腺腔形成の有無など)を正確に理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず細胞の凝集性やバラバラさを確認し、上皮性か非上皮性かを判断します。次に、個々の細胞の形態(細胞質の量、核の形状、クロマチンの状態、核小体の有無)に注目し、どのタイプの腫瘍の特徴に合致するかを詳細に比較検討します。特に、平上皮癌であれば多角形、豊富な細胞質、核の異型性に注目します。
関連知識
頸部リンパ節は、頭頸部領域の癌(口腔癌、咽頭癌、喉頭癌など)の転移が非常に多く見られます。これらの癌の多くは平上皮癌であるため、転移性平上皮癌の細胞像は細胞診において重要な鑑別診断の一つとなります。また、Papanicolaou染色の特徴である、細胞質と核の明瞭な染め分け、クロマチンの詳細な観察能力も求められます。