大腸癌の特殊染色標本(別冊No. 9)を別に示す。この染色法が目的とする対象はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
大腸癌の組織診断において、癌細胞の浸潤様式や深達度を評価する際に、弾性線維の破壊や増生が重要な指標となることがあります。示された特殊染色標本が弾性線維を染め出している場合、それは癌細胞と周囲の弾性線維との関係を評価する目的で使用されているため、この染色法が対象とするのは弾性線維であると考えられます。典型的な弾性線維染色にはワイル染色、オルセイン染色、EVG染色などがあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 筋線維は主にヘマトキシリン・エオジン染色やマッソントリクローム染色などで評価されます。弾性線維染色とは異なります。正しくは:筋線維を染める染色法として、ヘマトキシリン・エオジン染色(H-E染色)やマッソントリクローム染色があります。選びやすい理由:組織標本でよく見られる構成要素のため、選択肢として考慮しやすいかもしれません。混同注意:膠原線維や細網線維など、他の結合組織線維と混同する可能性があります。
- 2. 正解。大腸癌組織の特殊染色標本で弾性線維が染められている場合、通常はワイル染色、オルセイン染色、あるいはエラスチカ・ワンギーソン染色(EVG染色)などが用いられます。これらは弾性線維を特異的に染色し、周囲の膠原線維などと区別する目的で使用されます。
- 3. 細網線維はアゾカルミン染色では染められません。細網線維の検出には通常、鍍銀染色(例:ゴモリ染色、ギムザ染色)が用いられます。正しくは:細網線維を検出するには、主に鍍銀染色(ゴモリ染色など)が用いられます。選びやすい理由:結合組織の主要な要素であり、特にリンパ節や肝臓などで重要な構造であるため、選択肢として考えやすいです。混同注意:他の結合組織線維、特に膠原線維と混同しやすいです。
- 4. 膠原線維はワイル染色やオルセイン染色では一般的に濃染されず、弾性線維と区別するために背景として薄く染まるか、異なる色で染め分けられます。膠原線維の染色にはマッソントリクローム染色やワンギーソン染色が特異的に用いられます。正しくは:膠原線維を染める染色法として、マッソントリクローム染色やワンギーソン染色があります。選びやすい理由:結合組織の最も主要な成分であるため、特殊染色でよく標的になるというイメージから選びやすいかもしれません。混同注意:細網線維や弾性線維など、他の結合組織線維と混同する可能性があります。
- 5. 神経線維の検出には、主に免疫染色(S-100タンパク、ニューロフィラメントなど)や鍍銀染色(ガバラゴルジ染色、ホルムズ銀染色など)が用いられます。弾性線維染色とは目的が異なります。正しくは:神経線維を染めるには、免疫染色(S-100など)や神経線維に特異的な鍍銀染色(ガバラゴルジ染色など)が用いられます。選びやすい理由:癌の浸潤などと関連して重要視される構造であるため、選択肢として魅力的かもしれません。混同注意:他の組織線維、特に結合組織線維と混同する可能性があります。
国試ポイント
病理組織学における主要な特殊染色とその対象となる組織成分を正確に理解しているかが問われます。特に、結合組織線維(弾性線維、膠原線維、細網線維)の区別とそのための代表的な染色法は頻出です。
混同注意
結合組織を構成するさまざまな線維(弾性線維、膠原線維、細網線維)それぞれの特性と、それらを識別するための特殊染色法。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず提示された画像がどのような構造を特異的に染め出しているように見えるかを確認し、その構造に対応する代表的な特殊染色法とその目的を想起する。特に、結合組織線維の区別とそれぞれの染色法(例:弾性線維→ワイル、オルセイン、EVG / 膠原線維→マッソン、ワンギーソン / 細網線維→鍍銀)を迅速に判断できるかを確認する。
関連知識
ワイル染色、オルセイン染色、エラスチカ・ワンギーソン(EVG)染色の原理と、それぞれの染色で弾性線維がどのように染まるか。マッソントリクローム染色、ワンギーソン染色(膠原線維)。鍍銀染色(細網線維)。H-E染色での各組織成分の見え方。