術中迅速組織標本作製法で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
凍結標本作製法では、組織の自己融解や酵素による変性を最小限に抑え、また氷晶形成による組織破壊を防ぐために、液体窒素やイソペンタンなどを用いて組織を急速に凍結させることが重要です。これにより、組織内の構造が保持され、速やかな診断が可能となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。組織を急速に凍結させることで、自己融解や酵素による変性を防ぎ、氷晶形成による組織破壊を最小限に抑え、組織構造を良好に保ちます。これにより、正確な形態学的診断が可能となります。選びやすい理由:迅速組織診断の基本原理であり、直接的な操作としてイメージしやすいため。混同注意:組織をゆっくり凍結させると、氷晶が大きくなり組織構造を破壊してアーチファクトが生じるため、ゆっくり凍結することとの違い。
- 2. 凍結標本作製においても、組織をクリオスタット内で安定させ、薄切を容易にするために、Optimal Cutting Temperature (OCT) コンパウンドなどの水溶性包埋剤を使用します。これは、組織を包埋し、支持する役割を果たします。正しくは:包埋剤(例:OCTコンパウンド)を使用します。選びやすい理由:通常のパラフィン包埋と比較して簡便なため、一切使わないと誤解されやすい。混同注意:パラフィン包埋のように脱水・透徹の工程がないため、包埋剤も不要と誤解すること。
- 3. 脂肪組織は、その構成成分である脂質が凍結すると非常に硬くなり、また粘稠性も高いため、クリオスタットで薄く切ることが困難です。特に、凍結の度合いや包埋剤との親和性の問題もあり、質の良い切片を得ることが難しい組織とされています。正しくは:脂肪組織は薄く切るのが困難です。選びやすい理由:他の軟らかい組織と同様に切れると誤解されやすい。混同注意:脂肪組織が常温で軟らかいことと、凍結時の硬さや薄切の難易度を混同すること。
- 4. 凍結標本では、通常、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色が行われます。パパニコロウ染色は、主に細胞診検体(例:子宮頸部細胞診など)に用いられる染色法であり、凍結組織診断には一般的ではありません。正しくは:ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色を行います。選びやすい理由:様々な染色法があるため、パパニコロウ染色も用いられると誤解されやすい。混同注意:細胞診で用いられる染色法と組織診断で用いられる染色法を混同すること。
- 5. クリオスタット内の温度は、組織の種類や目的によって異なりますが、一般的にはマイナス15℃からマイナス25℃程度に設定されます。0℃では組織が十分に凍結せず、薄切が不可能であるか、あるいは著しいアーチファクトが生じて診断に適さない切片しか得られません。正しくは:クリオスタット内の温度は通常-15℃〜-25℃程度です。選びやすい理由:水が凍る温度である0℃と関連付けて、凍結操作の温度と誤解されやすい。混同注意:水の氷点と、組織を薄切するために適切な凍結温度を混同すること。
国試ポイント
迅速組織診断における凍結標本の作製原理、特に凍結方法と包埋剤の有無、組織の特性による切片作製の難易度、および主要な染色法について正確に理解することが求められます。
混同注意
通常のパラフィン包埋切片作製法との違い、特に固定・包埋・凍結の各工程と染色法の違いを混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
迅速組織診断の手法に関する問題では、凍結過程の速さ、使用する包埋剤の種類、組織の切片作製の特性、および主に用いられる染色法(HE染色)に着目して判断します。
関連知識
凍結標本は、手術中の腫瘍の良悪性診断、断端の評価、リンパ節転移の有無など、緊急性の高い診断に用いられます。液体窒素やドライアイスなどで急速凍結し、包埋剤としてOCTコンパウンドなどを用います。HE染色が一般的です。